華氏65度の冬

うたを翻訳するということ

Bad もしくはマレットと学ラン (1984. U2)


子どものころ、街で一番「強いひと」は、散髪屋のおばさんだと私は思っていた。

散髪屋のおばさんの前では、学校でどんなに恐れられているヤンキーやツッパリの兄ちゃんでも、週刊明星のヘアカタログか何かをオズオズと差し出して「すいません、この髪型でお願いします」と、頭を下げる以外にどうしようもないのである。

おばさんは腰に手を当てて「スポーツ刈りにしときーさ。その方がよっぽど男前やで」などと、言いたいことを言う。いかつい顔をしたヤンキーの兄ちゃんは、ひたすら神妙な顔をして、その屈辱に耐えている。

その様子をマンガの棚と観葉植物の間からのぞき見しながら、自分も散髪屋の子どもに生まれていたなら、一生いじめられる心配なんてしなくていいんだろうなと、幼かった私は感じていたものだった。

90年代のとある真夜中、テレビでやっていた昔のロックの番組に、85年のライブ・エイドで観客席の女性を抱きしめてクルクルとダンスを踊るU2のボノの映像が映ったのを見て、私は思わず「ああっ」と声をあげた。

その時のボノの髪型こそ、あの時のツッパリの兄ちゃんがおばさんにリクエストしていた髪型そのものだったからである。

ニック・カーショウの「The Riddle」の回でも触れたけど、80年代のあの頃バリバリのヤンキーだった私のイトコをはじめ、私の周りにいた「こわいひとたち」は、こぞってあの髪型で武装していた。あんな悪魔的な髪型をどうやったら思いつけるのだろうと思っていたけれど、それにはちゃんと「元ネタ」があったのだ。そして子どもの頃にあれほど北斗の拳の悪役のごとく巨大で凶悪に見えた怖い兄ちゃんたちも、実は外国の「かっこいいミュージシャン」にひたすら子どもっぽく憧れて、何とかそのマネをしようと悪あがきをしていただけだったのだ。

ヤンキーの正体見たりただのガキ。その時いらい私の中で、子どもの頃にあれほど恐ろしく見えていた人生の先輩たちの姿は、何となく「愛すべき人たち」へと形を変えた。それは私自身が子どもからオトナへと少し生まれ変わった、そういう瞬間だったのかもしれない。

あの髪型は「マレット」と呼ばれていたのだということを、今回この記事を書くために調べていた過程で初めて知った。英語で「ボラ」という意味らしい。お腹にソロバン玉みたいなのが入っていて、卵巣からカラスミを作るあの魚のボラである。このマレットは90年代にビースティ・ボーイズの雑誌で「史上最悪の髪型」であるという排撃キャンペーンが繰り広げられたことをきっかけに、世界の多くの地域で絶滅に追い込まれたのだけど、地域によってはいまだに行けてる髪型として、愛され続けているケースも見られるのだという。そういうことに私が詳しくなるのは、いつもその時代が終わってしまった後になってからのことなんだよな。

ボノ自身はこの髪型で決めていた過去を現在では激しく恥じているらしく、「ロックミュージシャンにとって麻薬の誘惑以上に危険なのはマレットの誘惑だ」といった趣旨の発言を至るところで繰り返している。ボノのそういう軽薄なところが私はキライである。"Bad" は麻薬に命を奪われた自分の親友に捧げた歌じゃなかったのかよ。

それはいいとして (ちっともよくないけれど) もうひとつの問題は、ライブエイドの映像の中でボノが着ている上着である。90年代に夜中のテレビで見た時はチラッと映っただけなので気づかなかったけど、今youtubeで見ることのできる20分間のステージ映像を改めて確認してみると、あれってどう見ても「学ラン」なのではないだろうか。

最初、私は、学ランって実はアイルランドの伝統的な服装だったのだろうかと思って、いろいろ調べてみた。そしたらあにはからんや、あれは1983年の日本ツアーの時にボノが街で見かけて気に入って、その後わざわざ日本から取り寄せた「本当の学ラン」だったのだということが明らかになった。まったくもって、調べてみようという気持ちさえ起こせばどんな細かいことでも分かってしまう時代になったものだ。

ということはである。

U2みたいになりたくて。ポリスみたいになりたくて。韓信の股くぐりみたいな屈辱に耐えながら散髪屋のおばさんに頭を下げていたあの時代のツッパリ兄ちゃんたちの姿から、実はU2の方でも「学んで」いたのだという感動的なコミュニケーションが、あの時代には成立していたのだということになる。そのことを知っていた人たちって、はたして当時の日本にはどれぐらいいたのだろうか。それとも洋楽雑誌か何かに取り上げられたりして、当時からすでに有名なエピソードだったりしたのだろうか。私は花京院典明みたいなキャラクターは完全に日本ローカルの文化の中から出てきたものだと思っていたのだけれど、実はユーラシア大陸の両端の島国の文化が相互に影響を与え合う中から誕生した存在であったわけで、そのスケールの壮大さを思うと、何だか気が遠くなってくるような気がする。

U2も正体見ればただのガキ。世界がひとつになったような感覚にみんながひたれていた時代って、あったのだなあ。もちろんその感覚はいろんなことを無視したり切り捨てたりした上に成立していた勘違いに過ぎないといえば言えるわけだけど、その感覚にあこがれる感覚自体は、今でも割と捨てたもんではないんじゃないかという気が私はする。東西の悪ガキが互いにマネしあっていた80年代の映像を眺めながら、今の私の心の中には「どんな人でも僕と大差はないのさ」という90年代の懐かしい歌謡曲が、ぐるぐると回っている。

そんなわけでこのU2の Bad に関しては、85年のライブ・エイドで演奏されたそのままのバージョンを、MCまで含めて完全に翻訳してみたい気持ちになった。子どもだった私にとってはすべてが新しくて、いいことも悪いこともすべてをあるがままに受け入れるしかなかった80年代というあの心の神話のような時代が、youtubeでいつでも見られるようになったこの演奏の中には、凝縮されているような感じがするからである。


U2 Bad - Live Aid - July 1985

Bad (Live Aid 1985)

We're an Irish band. We come from Dublin City, Ireland. Like all cities, it has its good, it has its bad. This is a song called Bad.
ぼくらはアイリッシュのバンドです。アイルランドのダブリンから来ました。他のいろんな街と同じように、グッドなところもあればバッドなところもある街です。この曲は「バッド」と言います。

(Lou Reed “Satellite of Love”)
Satellite of love
Satellite of love
Satellite of love

ルー・リード「愛の人工衛星
愛の人工衛星
恋の人工衛星
宇宙をめぐる愛…



If you twist and turn away
If you tear yourself in two again
If I could, you know I would
If I could, I would let it go
Surrender, dislocate

もしきみが
体をよじって苦しみから逃れようとしていても
もしきみが再び
自分の体を引き裂いてしまおうとしていても
できるなら ぼくは
そのままにしておこうと思う
身を引いて
場所を変えて



If I could throw this lifeless
Lifeline to the wind
Leave this heart of clay
See you walk, walk away
Into the light
Through the rain
Into the half-light
Through the flame

もしぼくが
この命を持たない命綱を
空に放り投げてしまえたなら
粘土細工の心臓を
置き去りにして
きみが歩いてゆくのを
見ることができたなら
きみが
雨の中へ
薄明かりの中へ
燃える炎を突き抜けて



If I could through myself
Set your spirit free
I'd lead your heart away
See you break, break away
Into the night
Through the day

もしぼくが
自分を突き抜けて
きみの魂を
解き放つことができたなら
ぼくはきみのハートを連れてゆく
きみが崩れさるのを
駆け出すのを
見届ける
夜の中へ
昼間を突き抜けて



Hoo hoo...
「ほうほう」とリトル・ピープルが囃した


So let it go
And so find a way
Let it go
And so find a way

だから何もしない
そうやって道を見つけだそう
じっとしてるんだ
そうやって答えを探し出そう



Wide awake
I'm wide awake
Wide awake, yeah
I'm not sleeping
Oh, no, no, no
I'm not sleeping

起きてるよ
ぼくはしっかり起きている
起きてるよ
眠ってなんかいない
そうじゃないんだ
眠ってなんかいない



If they should ask, well maybe
They'd tell you what I should say
True colours fly in blue and black
Blue silken skies and burning flag
Colours crash, collide in bloodshot eyes

ほかの人が
きみに何か言うとしたら
たぶんぼくが言おうとしてるのと
同じことを言うのだと思う
真実の色彩は
青と黒とに落ちつく
絹のような青い空
そして燃えあがる旗
色彩がぶつかりあい
はじきあう
血走った瞳の中で



Hoo hoo...


If I could, you know I would
If I could, I would let it go

もしできるなら
ああ ぼくは
そのままにしておく



This desperation
Separation
Condemnation
Revelation
In temptation
Isolation
Desolation
Isolation

このデスペレーション(絶望)を
セパレーション(別離)を
カンデムネーション(糾弾)を
レヴェレーション(啓示)を
テンプテーション(衝動)の中で
アイソレーション(孤独)の中で
ディソレーション(荒廃)の中で
アイソレーション(孤独)の中で



Let it go
And so find a way
Let it go
And so find, find, find a way
Find a way, no

そのままにしておく
そうやって道を見つけだすんだ
動いちゃいけない
そうやって答えを探し出すんだ
違うそうじゃない



Tonight give it up
待つのは今夜でやめよう


Let it go, go, go
Don't let it go, no, no
Let it go
And so fade away
Let it go
And so fade away

ほっといてやれ
ほっとけ
ほっとけ
ほっとくわけにはいかない
いや そうじゃない
じっとしていれば
きっと消えてゆくよ
動いちゃいけない
消えるにまかせるんだ



Wide awake
I'm wide awake
Wide awake, yeah
I'm not sleeping
Oh, no, no, no
I'm not sleeping

起きてるよ
ぼくはしっかり起きている
起きてるよ ああ
眠ってなんかいない
そうじゃないんだ
ぼくは眠ってなんかいない



(The Rolling StonesRuby Tuesday”)
Goodbye, Ruby Tuesday
Who's gonna hang a name on you
Goodbye, Ruby Tuesday
Who's gonna hang a name on you
Goodbye
Who's gonna hang

ローリング・ストーンズ「ルビー・チューズデイ」
さよなら ルビー・チューズデイ
誰がきみに名前をつけるんだろうね
さよなら ルビー・チューズデイ
きみに名前をつけるのは誰なんだろうね
さよなら いったい誰が



(The Rolling Stones “Sympathy for the Devil”)
Pleased to meet you
I hope you guessed my name, oh yeah
Pleased to meet you
I hope you guessed my name, yeah

ローリング・ストーンズ「悪魔を憐れむ歌」
んあー
お会いできて光栄です!
私の名前がわかりますかな
会えてうれしいよ
ぼくの名前がわかるといいんだけど



(A parody of “Take A Walk On The Wild Side” by Lou Reed)
Hurricane from Miami, FLA
Hitchhiked all the way across the USA
She could hear the satellite coming down
Pretty soon she was in London town
In Wembley Stadium
And all the people were going
Do do do do do do do

ルー・リード「ワイルドサイドを歩け」の替え歌で
フロリダ州はマイアミから
ハリケーンがやってきた
アメリカ中をヒッチハイクしているあいだに
人工衛星が降りてくるのを聞きつけた
彼女はたちまち
ロンドンの街のウェンブリー・スタジアム
そしてそこではみんなが歌っていた
トゥッ、トゥッ、トゥッ、
トゥットゥトゥッ…



Sing it, thank you, God bless you
歌ってください
ありがとう
かみさまの祝福を!

翻訳をめぐって

  • この歌は70年代末から80年代初頭にかけてアイルランドの若者を蝕んでいたヘロインの影響の中から、生まれた曲であるらしい。あるところでボノは、21歳の誕生日の日にヘロイン中毒で命を落とした友人の話をしてからこの曲を歌い始めたという。だからその友人にささげた曲なのだと私は思っていたけれど、別のところでは「ヘロインがはびこっていたあの時代、苦しんでいた友人がいました。今日はその友人がこの会場に来ています」と言って歌い始めている。必ずしも特定の友人にささげているわけでは、ないのかもしれない。さらにボノ自身も、語っているのは聞いたことがないけど、ヘロインは、やっていたはずである。だから簡単に「アンチ・ドラッグ・ソング」だとも言い切れない気がする。ただし確実に言えるのは、若かったボノたちにヘロインが「ものすごい苦しみ」をもたらしたということであり、その苦しみと向き合う中から、この曲は生まれてきたということだと思う。
  • U2の歌詞の特徴として、「あまり理路整然としていない」ということがある。何かイメージ的な言葉のカケラのような歌詞がポツリポツリと吐き出されて、あるいは絶叫されて、そのイメージにどんな解釈を施すかは完全に聞き手にゆだねられているといった感じだろうか。とにかく、いかようにも解釈できるような曲が多い。だからボノ自身は、自分の歌詞が外国語に翻訳されることをあんまりよく思っていないらしい。たぶん、解釈が限定されてしまうからだと思う。そのうえ彼の歌う歌詞は、時代やステージに合わせてしょっちゅう変わる。今回翻訳したのはあくまで「ライブ・エイドで演奏されたBad」である。
  • どんな風にも解釈できるという但し書きをつけたうえで、この歌に歌われていることを要約するなら"Let it go"の三語に尽きることになる。そしてこの"Let it go"が、またいろんな意味を持っている。「そのままにしておく」「放っておく」「何もしない」「まかせる」「行かせる」…もちろん「ありのままの姿見せるのよ」と訳しても、決して間違いではない。ただし文脈から、その"Let it go"にどのような意味を見出すかが、結局は問題になってくるのだと思う。
  • 一応この歌が持っている「風景」についての、私なりの解釈はある。ある特定の友人に向けて、やはりボノは歌っているのだろうという、イメージである。ただしその友人が生きているのか死んでいるのかについては、定かではない。また今まさに息を引き取ろうとしている友人に向けられた歌だと解釈できる幅もある。以上を踏まえて、一行一行の歌詞を検討していきたい。

If you twist and turn away
If you tear yourself in two again
If I could, you know I would
If I could, I would let it go
Surrender, dislocate

  • 歌に入る前に「愛の人工衛星」の一節をボノが口ずさんでいるのは、この「ライブ・エイド」が確か史上初の衛星同時中継でイギリスの会場とアメリカの会場を結んで行われたイベントだったという背景によっているのだと思う。衛星中継でライブを見ている世界中のファンへの、たぶんサービスである。
  • twist awayは「身をよじって逃げる」。turn awayは「顔をそむける」。この最初の一行に、外国では十字架にかけられたキリストの姿をイメージする人が多いという。そういう友人に対して「できることなら、何もしない」と言っているのだから、たぶん「君にクスリを渡してあげることができたらきっと楽にしてあげられると思うんだけど、でもそれはやっちゃいけないことなんだ」という葛藤がうたわれているのだろうというのが、私の最初のイメージだった。しかし、それが正しい解釈だとは限らない。「絵」として存在しているのは、苦しみもがいている一人の人間と、それを前にして「何もしないでいる」一人の人間の姿だけである。
  • Surrender, dislocate…たぶんI would Surrender,I would dislocateということだろうと思い、上のように訳した。Surrenderという言葉には「身をゆだねる」という意味、dislocateという言葉には「混乱」という意味も、それぞれ存在している。

If I could throw this lifeless
Lifeline to the wind
Leave this heart of clay
See you walk, walk away
Into the light
Through the rain
Into the half-light
Through the flame

  • lifeless lifeline…この「命なき命綱」という言葉は「とりあえず楽になるため」のヘロインだという解釈もできるが、文字通りの「生命維持装置」を意味しているという解釈も、排除できない。だとしたら、すごくイヤな想像だけど、歌い手は末期的な苦しみにあがいている友人を前にして「死なせてやったほうが楽になるんじゃないか」と感じている可能性がある。しかし私は、そうは考えたくない。
  • heart of clay…「粘土の心臓」。歌い手の心臓なのか友人の心臓なのかは定かではない。また内臓としての心臓なのか心の核としてのハートなのかも定かではない。苦しむ友人を前にして何もできない自分が、まるで人間の心を持っていないかのように感じられる。そういう意味かもしれない。しかしあるいは「抜け殻になった肉体で物質と化した心臓」という、文字通りの死のイメージなのかもしれない。

If I could through myself
Set your spirit free
I'd lead your heart away
See you break, break away
Into the night
Through the day

  • この部分についても、歌の「風景」をどのように想像するかで、全く違った解釈が成立することになる。ただ言えるのは、歌い手は苦しんでいる友人を前にしてその肉体的な苦しみを自分が共有できずにいることが、たまらなく苦しいのだろうということだと思う。

Hoo hoo...

  • 村上春樹の「IQ84」となんとなくイメージがダブったので思わず書いてしまったけど、やっぱり書かなきゃよかったかもしれない。

So let it go
And so find a way
Let it go
And so find a way

  • 「何もしない」という訳自体については「これしかない」という確信があるが、麻薬の禁断症状と闘っている友人に対して「何もしない」というのと、今まさに死んでいこうとしている友人に対して「何もしない」というのでは、まったく意味が変わってくる。私には、それは特定のしようがない。
  • find a way…「見つけ出す」という意味だけど、これとfade away(「消えてゆく」)を耳で聴き分けるのは、完全に不可能である。英語話者にとってもそれは不可能みたいで、文字になった歌詞にはさまざまな表記が入り乱れている。歌っているボノ自身にとっては、たぶん「どっちでもいい」と言うか「どちらでも同じこと」なのだろうと思う。しかしやっぱり歌う時には確実にどちらかを「選んで」いるのである。何だろう。このダマされているようなタブらかされているような気持ちは。

Wide awake
I'm wide awake
Wide awake, yeah
I'm not sleeping
Oh, no, no, no
I'm not sleeping

  • I'm wide awake…苦しむ友人に対して「自分もその苦しみを引き受ける」「一緒に頑張ろう」と励ましている言葉だともとれるし、死にゆく、あるいは死んでしまった友人に対してなら「自分は生きていく」という決意を語りかけていると同時に「自分が生きている」ことへの違和感の表明のような言葉だとも受け取れる。ただし海外サイトの解説によると、「寝てない」「起きてる」というのはヘロイン中毒患者自身が幻覚の中で最も多く口にする言葉でもあるのだという。この歌の中でYouとIとの境目は、ひょっとしたら、なくなっているのかもしれない。

Tonight give it up

  • 単純きわまる「ギブアップ」だけど、こういうのの翻訳が実は一番難しい。「あきらめる」という言葉で訳するなら敗北宣言になってしまうけど、「待つのをやめる」という言葉で訳するなら「明日からは自分の意志で生きよう」という闘いのよびかけになる。少なくとも言えるのは、「あきらめる」という言葉で「前向きな意思」を表現するのは困難だけど、「待つのをやめる」という言葉は「あきらめる」という意味を含みつつも結論的にはやっぱりポジティブな言葉だということである。だから「待つのをやめる」で私は訳した。ただしそういうところが私という人間の「甘さ」なのかもしれないということも、半分では感じている。


…あとは、特に翻訳をめぐって「説明」しなければならないようなことは、ないと思う。マレットと学ランの話から楽しく翻訳に取りかかったにもかかわらず、訳し終えてみると今までで一番重たい歌だったかもしれない。それでも85年のU2は、こんな重たい歌を演奏しながら最後はやはり明るくステージを去っている。そういう時代だった、ということなのだと思う。この歌をめぐって私に残された最後の謎は、ボノが歌の途中で舞台から飛び降りて一緒に踊った女性は、彼がステージの上から「選んだ」人だったのかはたまた「誰でもよかった」のか。そのことだけである。

みんなが大好きな「ルビー・チューズデイ」の翻訳も、よかったら合わせて読んでほしいです。ではまたいずれ。そのうちに。

はじめての方へ(INDEX)

ナギと申します。

海外の歌も日本の歌も大好きなのですが、海外の歌に関しては長年こういう内容だと思い込んでいた歌詞が実は全然ちがった内容だったと言ったような経験が、しょっちゅうあります。

ある時はレコード会社の誤訳のせいだったり、ある時は自分の一知半解に原因があったりするのですが、そういう経験をするたびに思い知らされるのが、自分は今までどれだけ「一人よがりな人生」を送ってきたのだろうかということです。

だからそうした生き方を問い直す意味からも、自分が10代の頃からずっと大好きだったいろいろな歌と、一度あらゆる先入観を捨てて向き合い直してみる必要があるのではないか。と考えたことが、歌詞対訳を始めた理由でした。

そしてそれをブログにしようと思い立ったのは、一人で翻訳した歌詞である限りそれはやっぱり一人よがりな内容にならざるをえないということを、これまたやればやるほど痛感させられずにいられなかったからでした。ですからここで取り上げたひとつひとつの楽曲について、読んでくれるみなさんの力を借りながら「正しいといえる対訳」を完成させていきたいというのが、このブログで私がやりたいことです。

私は自分が書いた文章を読んでくれる人に対しては、一番最初の古い記事から順番に読んでほしいという気持ちを持っているのですが、ブログというのはなぜかそういう仕組みになっていないようで、どう工夫しても古い記事はどんどん、埋もれていきます。これを防ぐためには記事を古い順番で紹介したインデックスを自分で作り、それを常に一番新しい記事としてブログの先頭に掲げ続けるという方法しか、ないみたいです。ですから当面、新しい記事を5つ書くごとにこのインデックスも新しく更新し、古い記事をできるだけ埋もれさせないようにするやり方を取っていきたいと考えています。

ブログタイトルの「華氏65度の冬」という言葉の意味については、一番上の001の記事に。当ブログにおける私自身の歌詞対訳への基本姿勢については、その下の002の記事に記載してありますので、初めて来られた方はぜひそこからご覧ください。また、翻訳の過程で歌詞の内容に幻滅させられた歌を「※好きな曲ではありません」という但し書き付きで紹介してゆくことに決めた経緯については、034の記事に書いておきました。

それでは、末長いお付き合いをよろしくお願いします。
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001 The Night They Drove Old Dixie Down もしくは華氏65度の冬 (1969. The Band)
002 Waiting for the sun もしくは自由のスプラッシュ (1970. The Doors)
003 Hateful もしくは憎むべきこと (1979. The Clash)
004 Ruby Tuesday もしくは赤石加代子さん (1967. The Rolling Stones)
005 Strawberry Fields Forever もしくは誰か1人がみんなの見本 (1967. The Beatles)
006 海闊天空 もしくはまた新しい、物語を、生きるよ (1993. Beyond)
007 Мне осталась одна забава もしくはエセーニンとマヤコフスキー (1923. Сергей Есенин)
008 春天里 もしくは願わくは花の下にて春死なむその如月の望月のころ (2009. 汪峰)
009 She もしくはヨシュアの木の下に (1973. Gram Persons)
010 With or Without You もしくはもしくは君なしで (1987. U2)
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011 Message in a Bottle もしくは1000ディナールでエッサッサ (1979. The Police)
012 Alasdair Mhic Cholla Ghasda もしくは聖なることば (1989. Capercaillie)
013 Thousands are Sailing もしくは涙にむせぶ人形たち (1988. The Pogues)
014 Greetings to the New Brunette もしくは彼氏によろしく (1986. Billy Bragg)
015 Goodbye Yellow Brick Road もしくはもういちど抱きしめて (1973. Elton John)
016 The Riddle もしくは木枯らしに抱かれて (1984. Nik Kershaw)
017 夢中人 もしくは Dreams (1994.王菲)
018 Nothing Rhymed もしくは間違う権利 (1970. Gilbert O'sullivan) 好きな曲ではありません
019 Video Killed the Radio Star もしくはラジオスターの悲劇 (1979. The Buggles)
020 And It Stoned Me もしくは終わった後でよくあるように (1970. Van Morrison)
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021 The Unfaithful Servant もしくはおじぎなんかはやめようぜ (1969. The Band)
022 (Sittin' on) The Dock of the Bay もしくはおーてぃすがった、ふぃーりん (1968. Otis Redding)
023 Catfish Blues もしくは私の沼 (1950. Muddy Waters)
024 Voodoo Child (Slight Return) もしくは手刀で山をまっぷたつ (1968. Jimi Hendrix)
025 Top of the World もしくは有頂天 (1973. The Carpenters)
026 神々の詩 もしくは捏造された言語 (1997.姫神) 好きな曲ではありません
027 Beyond the Century もしくは人工の言語 (1999. Adiemus)
028 白虎野の娘 もしくは解釈を拒む言語 (2006. 平沢進)
029 何をくよくよ川端柳 もしくは明日の風が吹く (1862. 坂本龍馬)
030 Watching the River Flow もしくは水の流れを見て暮らす (1971. Leon Russell)
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031 Save the Last Dance for Me もしくはラストダンスは私に (1960. The Drifters)
032 勧酒 もしくはさよならだけが人生だ (9世紀 于武陵)
033 You Can't Always Get What You Want もしくは「いくら泣いても叫んでも、決して奇跡は起こらない、そんな歌を」 (1968. The Rolling Stones)
034 Eve of Destruction もしくは東の空が燃えてるぜ (1965. Barry McGuire) 好きな曲ではありません
035 A World Without Love もしくはあの時ビートルズは危うかったらしいぜ (1964. Peter & Godon)
036 The End of the World もしくは世界の終わり (1962. Skeeter Davis)
037 No Woman, No Cry もしくはすべてはオーライ (1974. Bob Marley and the Wailers)
038 (White Man) In Hammersmith Palais もしくはハマースミス・パレスの白人 (1978. The Clash) 好きな曲ではありません
039 Reach Out I'll Be There もしくは君の心がわかるとたやすく誓える男に (1966. Four Tops)
040 紅日 もしくはそれが一番大事 (1992. 李克勤)
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041 Whiskey in the Jar もしくは父ちゃんのためならえんやこら (1972. Thin Lizzy)
042 My Irish Molly O もしくはモリーに首ったけ (1978. De Dannan)
043 Ob-La-Di, Ob-La-Da もしくは明るい南の街のモリー(1968. The Beatles)
044 Across the Great Divide もしくは大分水嶺モリー (1969. The Band)
045 Minnie the Moocher もしくはオリオンへの道 (1931. Cab Calloway)
046 東方的威風 もしくはホトトタイマホー (1983. 成龍) 好きな曲ではありません
047 Gasoline Alley もしくは帰ろうおいらが生まれたあの油小路へ (1970. Rod Stewart)
048 Don't Let Me Be Misunderstood もしくは悲しき願い (1964. Nina Simone)
049 Those were the Days もしくは悲しき天使 もしくはДорогой длинною (1968.Mary Hopkin)
050 風にハーモニカ もしくは50曲目にあたって (1995. Heatwave)
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051 We Are the World もしくはごく限られたその一部 (1985. USA for Africa) 好きな曲ではありません
052 Sun City もしくはマイルス・デイヴィスの7分03秒 (1985. Artists United Against Apartheid)
053 Who'll Stop the Rain もしくは Have You Ever Seen the Rain (1970. CCR)
054 King of Pain もしくは傷つき王におれはなる (1983. The Police) 好きな曲ではありません
055 Broken Arrow もしくは永遠行きのブラスターで (1967. Buffalo Springfield) 好きな曲ではありません
056 Helpless もしくは孤立無援の唄 (1970. Crosby, Stills, Nash & Young)
057 Evangeline もしくは新世紀に聞く歌として (1976. Emmylou Harris)
058 Coyote もしくは自由な自由なフリーウェイの囚人の恋人 (1967. Joni Mitchell)
059 Further On Up The Road もしくは 待つわ (1975. Eric Clapton)
060 Long Black Veil もしくは愛か友情か もしくは愛と友情と (1995. The Chieftains feat. Mick Jagger)
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061 It Makes No Difference もしくは同じことさというのと何も変わらないさというのは同じではないと思う (1975. The Band)
062 Who Do You Love もしくは をまへは誰に恋してる (1956. Bo Diddley)
063 Such a Night もしくはドアをノックするのは誰だ? (1973. Dr.John)
064 Down South in New Orleans もしくは夢の中 雲の上 (1976. Bobby Charles)
065 Buckets of Rain もしくはアイデン&ティティ24歳 (1974. Bob Dylan)
066 Hoggy Warty Hogwarts もしくはホグワーツ魔法魔術学校校歌 (1997. J.K.Rowling)
067 Acadian Driftwood もしくはエバーラスティングサマーはイルコンテンツ (1975. The Band)
068 500 miles もしくは810km: 東京〜広島間に相当 (1964. Peter Paul & Mary)
069 Kilkelly もしくは案山子 3300マイル (1988. Moloney, O'Connell & Keane)
070 Somewhere in America もしくは世界の半分だけ離れて (1992. Eric Bogle)
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071 2000 Light Years From Home もしくは風ぐるま (1967. The Rolling Stones)
072 2000 Light Years Away もしくはマラカイトって何やねん (1992. Green Day)
073 From a Distance もしくは茄子や胡瓜の花盛り (1987. Nanci Griffith)
074 Starman もしくはマザー2に出てきたあの悪いひと(1972. David Bowie)
075 Satellite of Love もしくは宇宙をめぐる愛と言うか執着と言うか (1972. Lou Reed)

対訳歌詞索引(2017.6.27現在)

対訳歌詞索引(2017.6.27現在)

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曲名索引(ABC順)

A
A World Without Love (1964. Peter & Godon)
Acadian Driftwood (1975. The Band)
Across the Great Divide (1969. The Band)
Alasdair Mhic Cholla Ghasda (1989. Capercaillie)
And It Stoned Me (1970. Van Morrison)

B
Beyond the Century (1999. Adiemus)
Broken Arrow (1967. Buffalo Springfield) 好きな曲ではありません
Buckets of Rain (1974. Bob Dylan)
白虎野の娘 (Byakkoya-no-Musume.2006. 平沢進)

C
Catfish Blues (1950. Muddy Waters)
Coyote (1967. Joni Mitchell)
春天里 (Chuntian-ri.2009. 汪峰)

D
Дорогой длинною (Darogai-Dzlinnayu.1968.Mary Hopkin)
東方的威風 (Dongfongdik-Waifong.1983. 成龍)
Don't Let Me Be Misunderstood (1964. Nina Simone)
Down South in New Orleans (1976. Bobby Charles)

E
Evangeline (1976. Emmylou Harris)
Eve of Destruction (1965. Barry McGuire) 好きな曲ではありません

F
From a Distance (1987. Nanci Griffith)
Further On Up The Road (1975. Eric Clapton)

G
Gasoline Alley (1970. Rod Stewart)
Goodbye Yellow Brick Road (1973. Elton John)
Greetings to the New Brunette (1986. Billy Bragg)

H
Hateful (1979. The Clash)
Have You Ever Seen the Rain (1970. CCR)
Helpless (1970. Crosby, Stills, Nash & Young)
Hoggy Warty Hogwarts (1997. J.K.Rowling)
海闊天空 (Hoikut-Tiankong.1993. Beyond)
紅日 (Hongyat.1992. 李克勤)

I
It Makes No Difference (1975. The Band)

K
風にハーモニカ (Kaze-ni-Harmonica. 1995. Heatwave)
神々の詩 (Kamigami-no-Uta.1997.姫神) 好きな曲ではありません
Kilkelly (1988. Moloney, O'Connell & Keane)
King of Pain (1983. The Police) 好きな曲ではありません

L
Long Black Veil (1995. The Chieftains feat. Mick Jagger)

M
Message in a Bottle (1979. The Police)
Minnie the Moocher (1931. Cab Calloway)
Мне осталась одна забава (Mne Ostalas' Odna Zabava. 1923. Сергей Есенин)
夢中人 (Mongzhong-Yan.1994.王菲)
My Irish Molly O (1978. De Dannan)

N
何をくよくよ川端柳 (Nani-wo Kuyo-kuyo...1862. 坂本龍馬)
No Woman, No Cry (1974. Bob Marley and the Wailers)
Nothing Rhymed (1970. Gilbert O'sullivan) 好きな曲ではありません

O
Ob-La-Di, Ob-La-Da (1968. The Beatles)

Q
勧酒 ―さよならだけが人生だ (Quanjiu.9世紀 于武陵)

R
Reach Out I'll Be There (1966. Four Tops)
Ruby Tuesday (1967. The Rolling Stones)

S
Satellite of Love (1972. Lou Reed)
Save the Last Dance for Me (1960. The Drifters)
She (1973. Gram Persons)
(Sittin' on) The Dock of the Bay (1968. Otis Redding)
Somewhere in America (1992. Eric Bogle)
Starman (1972. David Bowie)
Strawberry Fields Forever (1967. The Beatles)
Such a Night (1973. Dr.John)
Sun City (1985. Artists United Against Apartheid)

T
The End of the World (1962. Skeeter Davis)
The Riddle (1984. Nik Kershaw)
The Night They Drove Old Dixie Down (1969. The Band)
The Unfaithful Servant (1969. The Band)
Thousands are Sailing (1988. The Pogues)
Those were the Days (1968.Mary Hopkin)
Top of the World (1973. The Carpenters)

V
Video Killed the Radio Star (1979. The Buggles)
Voodoo Child (Slight Return) (1968. Jimi Hendrix)

W
Waiting for the sun (1970. The Doors)
Watching the River Flow (1971. Leon Russell)
We Are the World (1985. USA for Africa) 好きな曲ではありません
Whiskey in the Jar (1972. Thin Lizzy)
(White Man) In Hammersmith Palais (1978. The Clash) 好きな曲ではありません
Who Do You Love (1956. Bo Diddley)
Who'll Stop the Rain (1970. CCR)
With or Without You (1987. U2)

Y
You Can't Always Get What You Want (1968. The Rolling Stones)

#
500 miles (1964. Peter Paul & Mary)
2000 Light Years Away (1992. Green Day)
2000 Light Years From Home (1967. The Rolling Stones)

=============================

邦題索引(アイウエオ順)

※ 基本的にどんなデタラメなタイトルであれ、レコードやCDとして発売された邦題を掲載しています

あいうえお
愛なき世界 A World Without Love (1964. Peter & Godon)
愛の人工衛星 Satellite of Love (1972. Lou Reed)
アケイディアの流木 Acadian Driftwood (1975. The Band)
明日なき世界 Eve of Destruction (1965. Barry McGuire) 好きな曲ではありません
雨のバケツ Buckets of Rain (1974. Bob Dylan)
雨を見たかい Have You Ever Seen the Rain (1970. CCR)
アラスデイル・ミック・コーラ・ガスダ Alasdair Mhic Cholla Ghasda (1989. Capercaillie)
アンド・イット・ストーンド・ミー And It Stoned Me (1970. Van Morrison)
ウィー・アー・ザ・ワールド We Are the World (1985. USA for Africa) 好きな曲ではありません
ウィズ・オア・ウィズアウト・ユー With or Without You (1987. U2)
ウイスキー・イン・ザ・ジャー Whiskey in the Jar (1972. Thin Lizzy)
ヴードゥー・チャイルド Voodoo Child (Slight Return) (1968. Jimi Hendrix)
エヴァンジェリン Evangeline (1976. Emmylou Harris)
オールド・ディキシー・ダウン The Night They Drove Old Dixie Down (1969. The Band)
同じことさ! It Makes No Difference (1975. The Band)
オブラディ・オブラダ Ob-La-Di, Ob-La-Da (1968. The Beatles)
折れた矢 Broken Arrow (1967. Buffalo Springfield) 好きな曲ではありません

かきくけこ
風にハーモニカ (Kaze-ni-Harmonica. 1995. Heatwave)
ガソリンアレイ Gasoline Alley (1970. Rod Stewart)
悲しき天使 Those were the Days (1968.Mary Hopkin)
悲しき願い Don't Let Me Be Misunderstood (1964. Nina Simone)
神々の詩 (Kamigami-no-Uta.1997.姫神) 好きな曲ではありません
河の流れを見つめて Watching the River Flow (1971. Leon Russell)
勧酒(かんしゅ)―さよならだけが人生だ (Quanjiu.9世紀 于武陵)
キャットフィッシュ・ブルース Catfish Blues (1950. Muddy Waters)
キルケリー Kilkelly (1988. Moloney, O'Connell & Keane)
キング・オブ・ペイン King of Pain (1983. The Police) 好きな曲ではありません
紅日(こうじつ=それが大事) (Hongyat.1992. 李克勤)
孤独のメッセージ Message in a Bottle (1979. The Police)
この世の果てまで The End of the World (1962. Skeeter Davis)
500マイル 500 miles (1964. Peter Paul & Mary)
コヨーテ Coyote (1967. Joni Mitchell)

さしすせそ
サッチ・ア・ナイト Such a Night (1973. Dr.John)
サムウェア・イン・アメリカ Somewhere in America (1992. Eric Bogle)
ザ・リドル The Riddle (1984. Nik Kershaw)
サン・シティ Sun City (1985. Artists United Against Apartheid)
シー She (1973. Gram Persons)
シェリー Greetings to the New Brunette (1986. Billy Bragg)
春天里(しゅんてんり) (Chuntian-ri.2009. 汪峰)
スターマン Starman (1972. David Bowie)
ストロベリー・フィールズ・フォーエバー Strawberry Fields Forever (1967. The Beatles)

たちつてと
太陽を待ちながら Waiting for the sun (1970. The Doors)
ダウン・サウス・イン・ニューオリンズ Down South in New Orleans (1976. Bobby Charles)
黄昏のレンガ路 Goodbye Yellow Brick Road (1973. Elton John)
ツーサウザント・ライト・イヤーズ・アウェイ 2000 Light Years Away (1992. Green Day)
東方的威風(とうほうてきいふう) (Dongfongdik-Waifong.1983. 成龍)
ドック・オブ・ベイ (Sittin' on) The Dock of the Bay (1968. Otis Redding)
トップ・オブ・ザ・ワールド Top of the World (1973. The Carpenters)

なにぬねの
ナッシング・ライムド Nothing Rhymed (1970. Gilbert O'sullivan) 好きな曲ではありません
何をくよくよ川端柳 (Nani-wo Kuyo-kuyo...1862. 坂本龍馬)
2000光年のかなたに 2000 Light Years From Home (1967. The Rolling Stones)
ノー・ウーマン・ノー・クライ No Woman, No Cry (1974. Bob Marley and the Wailers)

はひふへほ
ハマースミス宮殿の白人 (White Man) In Hammersmith Palais (1978. The Clash)
遥かなる夢に ~Far away~ 海闊天空(かいかつてんくう) (Hoikut-Tiankong.1993. Beyond)
ひとつの楽しみ Мне осталась одна забава (Mne Ostalas' Odna Zabava. 1923. Сергей Есенин)
白虎野の娘 (Byakkoya-no-Musume.2006. 平沢進)
ビヨンド・ザ・センチュリー Beyond the Century (1999. Adiemus)
ファーザー・オン・アップ・ザ・ロード Further On Up The Road (1975. Eric Clapton)
フー・ドゥー・ユー・ラブ Who Do You Love (1956. Bo Diddley)
フール・ストップ・ザ・レイン Who'll Stop the Rain (1970. CCR)
不忠実な召使い The Unfaithful Servant (1969. The Band)
フロム・ア・ディスタンス From a Distance (1987. Nanci Griffith)
ヘイトフル Hateful (1979. The Clash)
ヘルプレス Helpless (1970. Crosby, Stills, Nash & Young)
ホグワーツ魔法魔術学校校歌 Hoggy Warty Hogwarts (1997. J.K.Rowling)

まみむめも
マイ・アイリッシュ・モリー・オー My Irish Molly O (1978. De Dannan)
ミニー・ザ・ムーチャー Minnie the Moocher (1931. Cab Calloway)
みんな海を渡ってゆく Thousands are Sailing (1988. The Pogues)
無情の世界 You Can't Always Get What You Want (1968. The Rolling Stones)
夢中人(むちゅうじん) (Mongzhong-Yan.1994.王菲)

らりるれろ
ラジオスターの悲劇 Video Killed the Radio Star (1979. The Buggles)
ラストダンスは私に Save the Last Dance for Me (1960. The Drifters)
リーチ・アウト・アイル・ビー・ゼア Reach Out I'll Be There (1966. Four Tops)
ルビー・チューズデイ Ruby Tuesday (1967. The Rolling Stones)
ロッキー越えて Across the Great Divide (1969. The Band)
ロング・ブラック・ベイル Long Black Veil (1995. The Chieftains feat. Mick Jagger)

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アーティスト名索引(ABC順)

…これからつくります

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アーティスト名索引(アイウエオ順)

…つくるよていです


Satellite of Love もしくは宇宙をめぐる愛と言うか執着と言うか (1972. Lou Reed)


♪ 愛の人工衛星、愛の人工衛星、と口ずさんでいて、ふと「愛の…」と口ごもってしまう感覚というのは、われわれ日本語話者にもよく理解できる。と言うか、日本語話者が口ごもる時には言葉の構造上、必然的にそういう口ごもり方になる。

しかし ♪ 愛の人工衛星、愛の人工衛星、と口ずさんできて「人工衛星」という言葉では、ふつう口ごもらない。「人工衛星」が出てくるとしたらそれは「口ごもって」いるのではなく、何かに「ハッとしている」状態である。

まして「人工衛星オブ」などという言葉は、われわれの感覚からは絶対出てこない。出てきたとして、それをどう日本語的に表現すればいいのかと思うと、困ってしまう他ない。現にいま私は、それで困っている。

ところが英語話者が口ごもる時には、必ず「人工衛星オブ…」という口ごもり方になるのである。そして逆に「愛の…」で言葉を切るということが、かれらにはできないのである。だったらやはり、同じように口ごもっているようには見えても、その口ごもっている気持ちの中味は全然違っているのだろうなという風に、とりあえず我々は想像するしかない。それは、何て不思議な感覚なのだろうと思う。

…そんな風に「翻訳をめぐるあれこれ」の話で、ルー・リードという人が4年前に亡くなった現実をスルーしたままブログの記事をでっちあげてしまおうとしている私は、弱くて卑怯な人間なのかもしれない。

でもそのことについて書こうとしたら、私の中からはいまだに何も言葉が出てこないのである。


Lou Reed - Satellite of Love

Satellite of Love

Satellite’s gone
up to the skies
Things like that drive me
out of my mind
I watched it for a little while
I like to watch things on TV

人工衛星が飛んで行った。
空高く。
そういうことって
ぼくから現実感覚を失わせる。
しばらく見つめていた。
ものごとをテレビで見るのは
好きだ。



Satellite of love
satellite of love
Satellite of love
satellite of

愛の人工衛星
恋の人工衛星
地球を回る愛
衛星…何の?



Satellite’s gone
way up to Mars
Soon it will be filled
with parking cars
I watched it for a little while
I love to watch things on TV

人工衛星が飛んで行った。
火星に向かって。
火星もそのうち
迷惑駐車でいっぱいになるだろう。
しばらく見つめていた。
ものごとをテレビで見るのは
好きだ。



Satellite of love
satellite of love
Satellite of love
satellite of

愛の人工衛星
恋の人工衛星
宇宙をめぐる愛
衛星…何の?



I’ve been told that you’ve been bold
with Harry, Mark and John

きみは大胆にも
ハリーやマークやジョンと一緒にいたらしいね。



Monday and Tuesday, Wednesday through Thursday
with Harry, Mark and John

月曜日 月の日と
火曜日 火星の日。
水曜日 水星の日から
木曜日 木星の日まで
ハリーやマークやジョンと一緒にいたらしいね。



Satellite’s gone
up to the skies
Things like that drive me
out of my mind
I watched it for a little while
I love to watch things on TV

人工衛星が飛んで行った。
空高く。
そういうことって
ぼくから現実感覚を失わせる。
しばらく見つめていた。
ものごとをテレビで見るのは
好きだ。



Satellite of love
satellite of love
Satellite of love
satellite of

愛の人工衛星
恋の人工衛星
宇宙を回る愛
衛星…何の?



Satellite of love
Satellite of love
Satellite of love
Satellite of love
Satellite of love
Satellite of love
Satellite of love
Satellite of love
Satellite of love…

愛の人工衛星
恋の人工衛星
愛の衛星
恋の衛星
地球を回る愛
宇宙を回る愛
宇宙から見つめる愛
離れてゆけない愛
いつまでもつきまとう愛…

翻訳をめぐって

  • Satellite という言葉はもちろん「人工衛星」をさしているのだけれど、本来の意味は「衛星」であり、「人工の」という限定条件は言葉の中には含まれていない。だから月もひとつのSatelliteだし、木星の衛星イオや冥王星の衛星カロンといったああいうのも全部Satelliteということになる。(ただし、地球や火星や木星は「衛星」ではなく「惑星」なので、訳語はplanetとなる)。 だから英語話者の人たちが Satellite of loveという言葉から受け取るイメージは、我々が「愛の人工衛星」という半ば固有名詞みたいな言葉から想像するよりも遥かに幅が広く、いろいろな内容を含んでいるのだと思う。そのイメージについて、上の訳詞では思いつく内容を片っ端から列挙してみた。こういうのは必ずしも「意訳」ではないと私は考えている。
  • Monday and Tuesday...曜日の名前というものはそもそも「星の名前」に対応しているではないかということに最初わたしは気づかなかったので、気づいた時には「わ、すげえ」と思ったが、わかりやすい日・月・土曜日を除くなら、英語の曜日名も日本語と同じように惑星の名前に対応しているのかどうかということは、確かめてみないと分からなかった。で、調べてみると、英語の火曜日から金曜日までの曜日名はゲルマン神話の神の名に対応しており、その1人1人がローマ神話マルス(火星)やマーキュリー(水星)と対応している関係にあるので、やっぱり「星の名前」と考えていいのだということが分かった。自分で訳してみようと思わない限り、たぶん私は一生このことに気がつかなかっただろう。だからルー・リードの連想は「人工衛星」から「曜日の名前」へと飛んだのだ。
  • そういう「仕掛け」があったことが分かった以上、ハリーやマークやジョンという名前にも何らかの意味が込められているのかもしれないと思っていろいろ考えてみたが、こちらは何も思い浮かばなかった。フツーに実在の人たちの名前なのかもしれない。


アンジー パンを一切れ

トランスフォーマーのジャケットのルー・リードの顔が、パンダメイクの三戸さんとあまりにそっくりだったもので、思わず貼りつけてしまった。何か、レクイエムっぽい曲なので、場違いにはなっていないと思う。ではまたいずれ。やっと地球が見えてきた。

Starman もしくはマザー2に出てきたあの悪いひと(1972. David Bowie)


「うたを翻訳すること」がテーマのこのブログ、取り上げたい曲はいくらでもあるのだけれど、その曲について一言コメントを付け加えるその一言を書くのが、最近になってしんどくなってきている。書こうとすれば一言で終わらなくなるし、一言で終わらせようとすれば取りあげない方がマシだったような話に、どうしてもなってしまう。

言いたいことが山ほどあるのに、その機会も与えてくれないままこの世を去ってしまったミュージシャンたちの曲については、なおさらだ。

人にあれだけ美しい夢ばかり見せておいて、夢だけでは通用しない時代がやってきたら自分だけ先にいなくなってしまうなんてことが、どうしてあの人たちにはできるのだろう。

あまりにも、無責任なんじゃないだろうか。


David Bowie Starman (1972) official video

Starman

Didn't know what time it was
and the lights were low
I leaned back on my radio
Some cat was layin' down some rock 'n' roll
'lotta soul, he said
Then the loud sound did seem to fade
Came back like a slow voice on a wave of phase
That weren't no D.J. that was hazy cosmic jive

それが何時だったのかはわからない。
あたりは暗くなってきていた。
ぼくはのんきにラジオを聞いていた。
ラジオではジャズ好きのDJが
ロックンロールのレコードをかけていて
「こいつはソウルフルだ」とか言ってたんだけど
その大きな音がなぜか消えたみたいになって
位相の違う周波数の
ゆっくりした声みたいなものが聞こえてきた。
DJの声じゃなかった。
はっきりしないけどそれは
何か宇宙的なジャイブだった。



There's a starman waiting in the sky
He'd like to come and meet us
But he thinks he'd blow our minds
There's a starman waiting in the sky
He's told us not to blow it
'Cause he knows it's all worthwhile
He told me
Let the children lose it
Let the children use it
Let all the children boogie

空にはスターマンが待っている。
ぼくらに会いたがっているけれど
そうしたらぼくらの心を
吹っ飛ばしちゃうんじゃないかと気にしてる。
空にはスターマンが待っている。
しくじるなよってそう言ってた。
それがどんなに値打ちのあることか
あのひとにはわかっているから。
ぼくにあのひとは言った。
子どもたちにわれを忘れさせてやれって。
子どもたちにやり方を教えてやれって。
すべての子どもたちに
ブギーを踊らせてやれって



I had to phone someone so I picked on you
Hey, that's far out so you heard him too
Switch on the TV
we may pick him up on Channel Two
Look out your window I can see his light
If we can sparkle he may land tonight
Don't tell your poppa
or he'll get us locked up in fright

だれかに電話をかけなくちゃいけなかったから
ぼくはきみを選んだんだ。
ねえ 本当にぶっ飛んでるだろう。
きみもあのひとを聞いたんだろう。
テレビをつけよう。
きっと2チャンネルであのひとに会える。
窓の外をごらん。
ぼくにはあのひとの光が見える。
もしぼくらに輝くことができたら
あのひとは今夜きっと降りてくる。
パパにだけには知らすなよ。
きっと怖がってきみを閉じこめてしまう。



There's a starman waiting in the sky
He'd like to come and meet us
But he thinks he'd blow our minds
There's a starman waiting in the sky
He's told us not to blow it
'Cause he knows it's all worthwhile
He told me
Let the children lose it
Let the children use it
Let all the children boogie

空にはスターマンが待っている。
ぼくらに会いたがっているけれど
そうしたらぼくらの心を
吹っ飛ばしちゃうんじゃないかと気にしてる。
空にはスターマンが待っている。
しくじるなよってそう言ってた。
それがどんなに値打ちのあることか
あのひとにはわかっているから。
ぼくにあのひとは言った。
子どもたちにわれを忘れさせてやれって。
子どもたちにやり方を教えてやれって。
すべての子どもたちに
ブギーを踊らせてやれって



Starman waiting in the sky
He'd like to come and meet us
But he thinks he'd blow our minds
There's a starman waiting in the sky
He's told us not to blow it
'Cause he knows it's all worthwhile
He told me
Let the children lose it
Let the children use it
Let all the children boogie



La, la, la, la, la, la, la, la
La, la, la, la, la, la, la, la
La, la, la, la, la, la, la, la
La, la, la, la, la, la, la, la

=翻訳をめぐって=

  • この曲について本当に知ろうとしたら、Ziggy Stardust というアルバムとデヴィッド・ボウイという人のすべてを知るしかない。それを「解説」するのは私の手に余ることなので、ちゃんと知りたい人はこんなブログやWikipediaに頼るのではなく、とりあえずCDを聞いてください。LPでもいいです。
  • また「オズの魔法使い」のテーマソングの歌詞を探してこの記事にたどりついた方がいたなら、あれには "Over the Rainbow" という別の名前がついていますので、そちらで探し直して下さい。一応、別の曲です。
  • I leaned back on my radio…lean back は「くつろぐ」という意味。初めは、ラジオにもたれているのかと思っていた。
  • Some cat was layin' down some rock 'n' roll 'lotta soul, he said…この部分が分からなくて、この歌の翻訳はずっと昔に投げ出したままになっていたのだけど、今回本気で調べてみたら、catsというのはジャズのスラングで「ジャズ好きの人/ ジャズの演奏者」を指す言葉であるらしい。「本当か?」と思いさらにいろいろ確かめたが、デヴィッド・ボウイ自身がモダンジャズを聞いて育ったことは明らかだし、この曲の中にはjiveとかboogieとかいったジャズ用語が他にいくつも散りばめられているのだから、おそらくそれが正解である。"layin' down" はこれまたジャズ用語で「演奏する/レコードをかける」の意味。「ロンドンで猫が寝転んどん」という関西地方に古くから伝わる駄じゃれのイメージに、今までどれだけ惑わされてきたことだったろうか。
  • ただしSome catsという複数形の名詞で始まるこのフレーズが、いつの間にか he said という単数形の名詞に主語の座を明け渡しているのは、どういう事情にもとづくのか私にはよく分からない。Some catsheも同じDJのことを指している言葉だと思うのだけど、違う可能性もある。また 'lotta soulという言葉の意味も、正確なニュアンスは全くわからない。誤訳の可能性も高い。(後日付記: heはDJがかけた曲を歌っているミュージシャンで、'lotta soulはその曲の歌詞の一部である可能性に、こちらの記事へのコメントを読んで気がつきました。)
  • hazy cosmic jive…ジャイブというのはよく聞く言葉だけど、改めて調べてみるとジャズ用語で「ヘンなスタイルだけどイケてるもの」を指すらしい。この言葉も私の説明文も、どうも相当時代遅れになっている感じがする。しかし歴史は螺旋を描いて前進するのである。そのうちまた新しくなるさ。
  • He's told us not to blow it…blowという言葉を連続して使っているから混乱させられるけど、blow it は「台無しにする/ 大失敗をする」という意味の熟語。
  • lose it は「熱中する/ われを忘れる」という意味の熟語。さらに英語圏には Use it or lose it (知識や技術は、使わなければ忘れてしまう) ということわざがあり、このフレーズはそれを踏まえたものとなっている。と思う。
  • boogieについても改めて調べてみたら、「ロックに合わせて踊ること」と書いてあった。本当かよ。別の辞書には「スウィングまたはシャッフルのリズムによる反復フレーズで、ブルース、スウィング・ジャズ、ロックンロールなどの音楽で用いられる」とあった。つまるところ、ブギーはブギーなのである。ただし、ブギではないと思う。
  • Hey, that's far out so you heard him too…be far out は60年代のスラングで「イカしている/ ぶっ飛んでる」という意味だとのこと。私は、辞書の言葉を丸写ししただけである。自分で選んだ言葉では断じてない。ただし「イカしている」を採用しなかった点については、確かに、選んでいる。
  • we may pick him up on Channel Two…何で別のチャンネルにしてくれなかったのだろうと思う。これではどう翻訳しても、誰もがあのロクでもない掲示板を連想するような日本語詞になってしまう。ちなみに2チャンネルは近畿地方ではNHKで、1チャンネルがファミコン用の砂嵐のチャンネルだったのだけど、70年代のロンドンで2チャンネルというチャンネル番号がどういうイメージを伴っていたのかということまでは、私には分からない。


David Bowie – Rock 'n' Roll Suicide, taken from ‘Ziggy Stardust The Motion Picture’


…この曲は、翻訳してやらないのだからな。死んだりなんかするからだ。ではまたいずれ。いつになったら地上に戻れるのだろう。

From a Distance もしくは茄子や胡瓜の花盛り (1987. Nanci Griffith)

カーズは2度と地球へは戻れなかった…。鉱物と生物の中間の生命体となり永遠に宇宙をさ迷うのだ。そして死にたいと思っても死ねないのでーーそのうちカーズは、考えるのをやめた。

ー「ジョジョの奇妙な冒険」第2部よりー


Nanci Griffith - From A Distance (Legendado)

From a Distance

From a distance the world looks blue and green,
And the snow-capped mountains white,
From a distance the ocean meets the stream,
And the eagle takes to flight

遠くから見れば
地球は青と緑色の世界
そして雪をいただいた山々が白く光る
遠くから私は見ている
海と川とが出会い
ワシが空へと飛び立ってゆく



From a distance, there is harmony,
And it echoes through the land.
It's the voice of hope, it's the voice of peace,
It's the voice of every man.

遠くから見れば
そこにはハーモニーがあり
大地にこだましているのがわかる
それは希望の声 平和の声
すべての人々の声



From a distance we all have enough,
And no one is in need.
And there are no guns, no bombs, and no disease,
No hungry mouths to feed.

遠くから見れば
私たちは満ち足りていて
困っている人はいない
そこには銃もなく 爆弾もなく 病気もない
飢えて食べ物を必要としている人もいない



From a distance we are instruments
Marching in a common band.
Playing songs of hope, playing songs of peace.
They're the songs of every man.

遠くから見れば
私たちは楽器で
同じ楽隊の一員として
行進している
希望の歌をかなで 平和の歌をかなで
みんなの歌をかなでている



God is watching us. God is watching us.
God is watching us from a distance.

神はわれらを見そなわす
神はわれらを見そなわす
神はわれらを見そなわす
遠きより



From a distance you look like my friend,
Even though we are at war.
From a distance I just cannot comprehend
What all this fighting is for.

距離をおいて見れば
あなたは私の友人のようだ
私たちは互いに戦争しているというのに
距離をおいて見ると
私はただ わからなくなる
この戦いはいったい
何のためのものなのか



From a distance, there is harmony,
And it echoes through the land.
It's the voice of hope, it's the voice of peace,
It's the voice of every man.

遠くから見れば
困っている人や飢えた人がいても
無視できるレベルになるので
全体として世界は美しく見える
遠くから見れば
傷ついている人や泣いている人がいても
大した問題だと思わなくてすむので
何も考える必要がなくなる



And God is watching us, God is watching us,
God is watching us from a distance.
Oh, God is watching us, God is watching.
God is watching us from a distance

そしてカーズは私たちのことを見ている
カーズは私たちのことを見ている
カーズは私たちのことを見ている
何も考えてないけど

読者各位:今回は途中から真面目に翻訳していません。真面目な翻訳が読みたい方は他の和訳サイトをご覧ください。ただし、この歌を真面目に歌えるような人が真面目な人生を生きているとは、私は個人的には、あまり思えません。ナンシー・グリフィスは、決してキライじゃないのだけどね。せめてベット・ミドラー湾岸戦争の時にこの曲を歌っていなければね。私は、中学生でした。はい。むりやり歌わされた歌のひとつでした。

2000 Light Years Away もしくはマラカイトって何やねん (1992. Green Day)


この歌が流行っていた頃、クラスの男子生徒のあいだで「マラカイトって何やねん」ということが、論争になったことがあった。比較的平易な言葉で書かれたこの歌詞の中に登場する、唯一の謎の英単語である。

歌詞カードの日本語訳にも「彼女は俺のマラカイトを固く握りしめ」とカタカナで書かれているだけで、そのマラカイトというものがいったい何であるかということには、何の説明も書かれていなかった。そのことがいっそう、謎を深めていた。

「これって、訳さはった人にも意味が分からへんかったから、カタカナになってるのんとちゃうやろか?」

だれかが口を開いた。みんなが、うーむ、とウナった。

「グリーンデイの人らの、造語と違うやろか? 何やそれっぽい感じはするけど、意味は作った人以外には誰も分かれへん、ちゅーやつ。クラッシュの『サタマサガナ』とか、あるがな」

また、みんなが「うんうん」とうなづいた。クラッシュなんか一度も聞いたことがないやつも含めてである。

「日本語にでけへんぐらい、えろい言葉やから、そのままになったあるってことは、あれへんやろか?」

ひとりが、ものすごく厳粛な表情を浮かべながら、そう切り出した。やや間をおいて、ひとりが口を開いた。

「日本語にでけへんぐらい、えろい言葉って、たとえばどおゆう言葉やねん?」

…恐ろしいほどの沈黙が、その場を支配した。

「むしろ、実はこれは日本語やった、ちゅーような可能性が、あるのんちゃうか?」

何か言わねばならない、と思ったのかもしれないが、とんでもないことを口走るやつが現れた。

「おれらも知らん、どっか東京の方の言葉で、たとえばそういう部分にたまって、放っといたらカユくなるものを指すような…」

わかったからみなまで言うてくれるな、とみんながそいつを押しとどめた。誰もがその先を聞くのを恐れたのは、誰の心にも実は最初からそういうイメージが浮かんでいたからなのかもしれない。

…結局、図書館まで行って調べてきたやつがいたおかげで、マラカイトとは「孔雀石」をさす言葉であるらしいことまでは、明らかになった。

(「孔雀石」)


だがそうなってみると、クジャク石って何やねん、そないな鉱物名を唐突に持ち出すことにどおゆう意味があるねん、クジャク石は何を象徴してるねん、といったように、議論はいっそう抽象的な深みへとハマりこんでゆくばかりだった。

特筆すべきは、「要するに、マラカイトというのは歌の主人公が彼女にプレゼントした宝石の名前だったのではないか」という、今から思えば誰にでも想像できた答えを、想像しえた人間はその時その場に1人もいなかった、という事実である。

(「孔雀石」=マラカイトのペンダント )



ちなみにその時ガン首をそろえていた少年たちの中に、彼女のいたやつは1人もいなかった。だから想像がつかなかったのか、それともそんな想像もつかないやつらだったから彼女ができなかったのか、そのことは私にとっても謎のままである。

もしこれがルビーとかダイヤモンドとか書かれていたならば、少年たちもよもやその意味を勘違いすることはなかったに違いない。しかしパンクの歌にそういう宝石名が登場するということは、それこそありえないことだ。そういうのは当然ムリだけど「マラカイトぐらいなら何とかなる」というところにこの歌のリアリティは存在していたのではないかと、オトナになった今では思う。

たぶんこの歌の持つそういうリアリティが、聞く人の心をせつなくさせるのだ。

今でもである。


Green Day -2000 Light Years Away [Lyrics]

2000 Light Years Away

I sit alone in my bedroom
Staring at the walls
I've been up all damn night long
My pulse is speeding
My love is yearning

ひとりで部屋に座って
カベを見つめている。
このクソ夜に起きっぱなしでいる。
おれの鼓動は早くなり
おれの愛はほしがっている



I hold my breath and close my eyes and...
Dream about her
Cause she's 2000 light years away
She holds my malachite so tight so...
Never let go
Cause she's 2000 light years away
Years Away!

おれは息を整えて目を閉じて…
彼女を夢見る。
彼女は2000光年も離れたところにいるから。
彼女はおれが贈ったマラカイトを固く握りしめて…
離さない。
彼女は2000光年も離れたところにいるから。
2000光年も!



I sit outside and watch the sunrise
Lookout as far as I can
I can't see her, but in the distance
I hear some laughter,
We laugh together

表に座って日の出を見る。
できるかぎり遠くまで見つめる。
彼女は見えないけど 遠いところに
笑い声が聞こえる。
おれたちは一緒に笑う。



I hold my breath and close my eyes and...
Dream about her
Cause she's 2000 light years away
She holds my malachite so tight so...
Never let go
Cause she's 2000 light years away
Years Away!

おれは息を整えて目を閉じて…
彼女を夢見る。
彼女は2000光年も離れたところにいるから。
彼女はおれが贈ったマラカイトを固く握りしめて…
離さない。
彼女は2000光年も離れたところにいるから。
2000光年も!



I sit alone in my bedroom
Staring at the walls
I've been up all damn night long
My pulse is speeding
My love is yearning
I sit alone in my bedroom
Staring at the walls
I've been up all damn night long
My pulse is speeding
My love is yearning

ひとりで部屋に座って
カベを見つめている。
このクソ夜に起きっぱなしでいる。
おれの鼓動は早くなり
おれの愛はほしがっている



I hold my breath and close my eyes and...
Dream about her
Cause she's 2000 light years away
She holds my malachite so tight so...
Never let go
Cause she's 2000 light years away

おれは息を整えて目を閉じて…
彼女を夢見る。
彼女は2000光年も離れたところにいるから。
彼女はおれが贈ったマラカイトを固く握りしめて…
離さない。
彼女は2000光年も離れたところにいるから。