華氏65度の冬

うたを翻訳するということ

The Band

I Shall Be Released もしくは男らしいってわかるかい (1968. The Band)

1994年の春のこと。私のホームタウンだった奈良県奈良市は東大寺大仏殿前において、ユネスコ主催のとんでもないコンサートが開かれるという情報が、街を駆け巡った。「The Great Music Experience '94 "AONIYOSHI"」と題して、日本と沖縄からは布袋寅泰、X-JAP…

Lonesome Suzie もしくは最低の君を忘れない (1968. The Band)

Lonesome Suzie Lonesome Suzie 英語原詞はこちら Lonesome Suzie never got the breaks She's always losing and so she sits and cries and shakes It's hard just to watch her and if I touch her Oh, poor Suzie, I'm wondering what to do ひとりぼっ…

Chest Fever もしくは胸が痛い (1968. The Band)

Chest Fever 「ミュージック·フロム·ビッグ·ピンク」のB面、「We Can Talk」から「Long Black Veil」を挟んでいよいよこの曲。ガース·ハドソンの魅せ場の到来である。 1937年8月2日にオンタリオ州ロンドンで生まれたガース·ハドソンは、ザ·バンドの中で一番年上で…

We Can Talk もしくは そろそろ話し合ってもいい頃なんじゃないか (1968. The Band)

We Can Talk We Can Talk 英語原詞はこちら We can talk about it now It's that same old riddle, only starts from the middle I'd fix it but I don't know how Well, we could try to reason, but you might think it's treason One voice for all Echoi…

Caledonia Mission もしくはカレドニアで果たすべき使命 (1968. The Band)

Rick Danko ↑1976. ↓1992. 「リック·ダンコが肉団子になっていた」というのは、1992年10月のボブ·ディラン30周年トリビュートライブをニューヨークまで見に行って来たというみうらじゅんが、当時のロック雑誌に書いていたレポートだった。「なっていた」も何も、…

In A Station もしくはホールにて (1968. The Band)

In A Station In A Station 英語原詞はこちら Once I walked through the halls of a station Someone called your name In the streets I heard children laughing They all sound the same いつだったか 駅のホールを歩いていたとき だれかがきみの名前を …

To Kingdom Come もしくは やってくる王国に (1968. The Band)

(画像はこちらのブログの方からお借りしました) 何年か前に上のような写真がネット上に出回っているのを見つけて、吹き出したことがある。こういう看板は、そういえば私の実家の近所でもよく見かけた。もとよりイタズラされる前の文面は「神の国は近づいた」「…

Tears Of Rage もしくは怒りの涙 (1968. The Band)

Tears Of Rage Tears Of Rage 英語原詞はこちら We carried you in our arms On Independence Day And now you'd throw us all aside And put us all away Oh, what dear daughter 'neath the sun Could treat a father so To wait upon him hand and foot Y…

Daniel And The Sacred Harp もしくは 竪琴をあがなふべしと云ひ置きて男は去れりガレリの海へ (1970. The Band)

Daniel And The Sacred Harp Daniel And The Sacred Harp 英語原詞はこちら Daniel, Daniel and the sacred harp Dancing through the clover Daniel, Daniel would you mind If I look it over ダニエル、ダニエル そしてあの聖なるハープ クローバーの真ん…

The Weight もしくは重荷 (1968. The Band)

The Weight The Weight 英語原詞はこちら I pulled into Nazareth, was feelin' about half past dead; I just need some place where I can lay my head. "Hey, mister, can you tell me where a man might find a bed?" He just grinned and shook my hand…

The Great Pretender もしくは「ふりをする」ことにかけての偉大な人 (1955. The Platters)

前回の曲で「Young Pretender」という歌詞が出てきたのを見た瞬間から、頭の中を回り出して止まらなくなったのがこの曲である。「pretender」=「ふりをする人」。ものすごく「使える」言葉なのに、直接それに対応する日本語が見つからないのは、どうしてなのだろう。…

Loving You Is Sweeter Than Ever もしくはそうですそうなんです (1966. Four Tops)

リーヴァイ・スタッブスの名前が出てきたことだし、せっかくなのでフォー・トップスの曲も久しぶりに取りあげておくことにしようと思う。R&Bのコーラスグループの曲の翻訳はブルース・ブラザーズ特集以来なので、訳していて妙になつかしい感じがした。あれか…

Katie's Been Gone もしくは世界で一番美しい歌 (1975. The Band)

世界で一番美しい歌というのは、文字通り世界にひとつしかない。だからこんな言葉をタイトルに使えることは、後にも先にもこの1回しかありえない。 作詞/作曲はリチャード・マニュエルとロビー・ロバートソン。録音されたのはおそらく1967年。長らく海賊盤と…

This Wheel's On Fire もしくは あめつち に われ ひとり ゐて たつ ごとき この さびしさ を きみ は ほほゑむ (1968. The Band)

「燃える電話ボックス」と「燃える車」。 元々は「ロック史上初の海賊盤」として市場に出回ったというディラン&ザ·バンドのプライベートな録音が、1975年に「地下室」というタイトルで公式発売された際、この2曲がそういう順番で収録されていたことにはやはりそれな…

Long Distance Operator もしくは長距離電話交換手さん (1967. The Band)

90年代になったかならないかぐらいの頃、京都の丹後半島で1回だけ「100番電話」というものに出会ったことがある。部活の合宿先から実家に電話をかけさせてもらおうと、その民宿のおばさんにたずねたところ、「廊下に黒電話があるからそこで100番を回してくださ…

Stage Fright もしくは舞台恐怖症 (1970. The Band)

「失敗できない若者たち」の歌に続く歌と言えば、これしかない。ザ·バンドの「ステージフライト」。「舞台が怖い」という曲である。 そう。舞台はとっても怖いのだ。がんばれ。負けるな。リック・ダンコ。 The Last Waltz -Stagefright- Stagefright 英語原詞はこ…

When You Awake もしくは祖谷の谷から何が来た (1969. The Band)

…5人中4人が、20代です。右から2人目のガース・ハドソンすら、30代になったばかりです。 前回のクラッシュの曲からザ・バンドにつなげられる要素を見つけるのはなかなか難しかったので、「お題」の力を借りることにする。はてなブログの今週のお題は「私のおじ…

Acadian Driftwood もしくはエバーラスティングサマーはイルコンテンツ (1975. The Band)

1755年、アカディアの住民たちがイギリスによって強制的に故郷を追われた"Great Expulsion (大追放 )" の様子を描いた絵画。 この曲がラストワルツのコンサートで、しかもカナダ人であるニール・ヤングとジョニ・ミッチェルをステージに迎えて演奏されていた…

It Makes No Difference もしくは同じことさというのと何も変わらないさというのは同じではないと思う (1975. The Band)

歌詞対訳のブログもかれこれ60回を越えているわけだけど、それ以前に英語の歌を聞き続けて20年以上にもなるわけなのだけど、「耳で聞いただけで歌の意味がわかる」ようには、いまだになれない。10代の頃には、いっしょうけんめい勉強すれば、ラップだろうが…

Long Black Veil もしくは愛か友情か もしくは愛と友情と (1995. The Chieftains feat. Mick Jagger)

チーフタンズがアルバムタイトルにしているぐらいなので、この歌もWhiskey in the JarやMy Irish Molly-Oと同じように、古いアイリッシュトラッドなのだろうとずっと私は思っていた。けれども今回改めて調べてみて、アメリカのカントリー歌手のレフティ・フ…

Across the Great Divide もしくは大分水嶺のモリー (1969. The Band)

ここにもモリーである。このブログの第1回目を飾る "Old Dixie Down" が入ったアルバムの最初の曲でありながら、私がずーっと何を歌った曲なのかよく分からずにきた "Across the Great Divide" である。正直言って今でもよくわからない。今から改めて訳そう…

The Unfaithful Servant もしくはおじぎなんかはやめようぜ (1969. The Band)

20回も続けてきたのだから、そろそろ同じアーティストをもう1度取り上げても構わないのではないかと思う。 「おじぎなんかはやめようぜ」というのは大昔に古本屋で買った忌野清志郎の「十年ゴム消し」というそのまた大昔に出された詩集に載っていた「不忠実…

The Night They Drove Old Dixie Down もしくは華氏65度の冬 (1969. The Band)

いきなり、長い話から始めることになるのだけれど。 1992年にボブ・ディランがデビューから30周年を迎え、その記念コンサートがNHKで放映された時、中学生だった私は偶然テレビの前に座っていた。そして「オージェイズ」というものすごくかっこいい黒人のお…