華氏65度の冬

うたを翻訳するということ

Long Black Veil もしくは愛か友情か もしくは愛と友情と (1995. The Chieftains feat. Mick Jagger)

チーフタンズがアルバムタイトルにしているぐらいなので、この歌もWhiskey in the JarMy Irish Molly-Oと同じように、古いアイリッシュトラッドなのだろうとずっと私は思っていた。けれども今回改めて調べてみて、アメリカのカントリー歌手のレフティ・フリゼルという人が1959年につくった曲だったのだということを初めて知った。

この歌は、いろんな人が歌っている。ザ・バンドがファーストアルバムで取りあげているし、エミルー・ハリスも歌っている。ブルース・スプリングスティーンも歌っていたのだということは、youtubeで検索してみるまで知らなかった。

この歌の第2連の最後の行を聞いた時に、「吹き出した」もしくは「爆笑した」という人が洋の東西を問わずものすごく多いのだということを、ネットの時代になるまで私は想像したこともなかった。

この歌を聞いて笑える人がいることを、私は信じられない。


'Long Black Veil' - The Chieftains featuring Mick Jagger

Long Black Veil

Ten years ago
on a cool dark night
There was someone killed
'neath the town hall light
There were few at the scene
and they all did agree
That the man who ran
looked a lot like me

10年前の冷たい夜に
役場の灯りの下で
ひとりの男が殺されていた
現場には何人か目撃者がいて
かれらはみんな口をそろえた
逃げた男は
おれとそっくりだったと



The judge said
"Son, what is your alibi?
If you were somewhere else
then you won't have to die"
I spoke not a word
although it meant my life
I had been in the arms
of my best friend's wife

裁判官は言った
「きみ アリバイはあるのかね」
「もし別の場所にいたのなら
きみは死ぬ必要はない」
自分の命がかかっていても
おれは何も答えなかった
一番の親友と結婚したひとの
腕の中におれはいたんだ



She walks these hills
in a long black veil
She visits my grave
where the night winds wail
Nobody knows, no, and nobody sees
Nobody knows but me

そのひとは長い黒いヴェールに身を包み
いくつもの丘を歩いてゆく
夜の風がしのび泣いているおれの墓を
そのひとは訪れる
だれも知らないし だれも見ていない
おれ以外には だれも知らないこと



The scaffold was high
and eternity neared
She stood in the crowd
and shed not a tear
But sometimes at night
when the cold wind moans
In a long black veil
she cries over my bones

絞首台は高かった
永遠の時間が目の前に近づいていた
群衆の中にそのひとは立っていて
その目に涙はなかった
けれどもときどき冷たい風が
かなしい声をあげる夜
長い黒いヴェールに身を包み
そのひとはおれの骨の上で
泣いてくれるんだ



She walks these hills
in a long black veil
She visits my grave
where the night winds wail
Nobody knows, no, and nobody sees
Nobody knows but me

そのひとは長い黒いヴェールに身を包み
いくつもの丘を歩いてゆく
夜の風がしのび泣いているおれの墓を
そのひとは訪れる
だれも知らないし だれも見ていない
おれ以外には だれも知らないこと

The Long Black Veil

The Long Black Veil

Long Black Veil

Long Black Veil