華氏65度の冬

うたを翻訳するということ

Such a Night もしくはドアをノックするのは誰だ? (1973. Dr.John)

Q. 小沢健二さんのドアノックダンスを知らないので詳しく教えてください。
A. 誰かにとっての歌いはじめから 右で二回手拍子左で二回手拍子×2。で、マーク外す勢いのとこから右左右左右と、身体を肩を内側に入れ気味少しクネクネした感じでで揺らす。基本 右 左 右 左 右 ドアノック!です。ライブ中だと ステージ上の女性が踊ってくれるので見ながら踊るといいですよ。


ーYahoo知恵袋より。

…ドアノックダンスを知らない?

誰かにとって特別だった君を
マークはずす飛びこみで僕はサッと奪いさる
寒い冬にダッフル・コート着た君と
原宿あたり風を切って歩いてる
たぶんこのまま素敵な日々がずっと続くんだろ
風冴える クリスマス 君の心の扉を叩くのは
いつも僕さって考えてる

という多幸感あふれる小沢健二の歌に合わせて、20年前は少なからぬ人が右へ左へと体を揺すっていたのである。世代が古すぎるか新しすぎるかして雰囲気がよくわからない人は、下の動画を見てもらいたい。

小沢健二-ドアをノックするのは誰だ?(LIVE AT BUDOKAN)
…それにつけてもこれだけの数の人間が一堂に会していた中で、「自分にとって特別だった人を誰かにサッと奪われた」ような経験の持ち主は1人もいなかったのだろうか。いたけど、仕方なく一緒に踊ってたのだろうか。それって屈辱ではなかったのだろうか。まあ、あらゆる種類の人間の集団というものは、排他性によって結びついている側面を持っているものなのだけど。

基本的に私は人間に対して取るとか奪うとか盗むとかそういう言葉を使えるタイプの人のことをあまり好きにはなれないし、むろんそういう歌も積極的には聞く気にならない。1人の人の人格というものはその人自身にしか属していないものだと信じたい。ドクター・ジョンの話をするのにどうして小沢健二の話から始めなければならなかったというと、彼のこの歌も「そういう歌」だったのだということに、翻訳作業を通じて今回初めて気づかされたからである。従って私としては全然積極的に紹介したい気持ちにはなれないのだけど、ラストワルツで歌われている曲はとりあえず全部翻訳しようと決めてしまったので、淡々とやるしかないと思う。この人のファッションやピアノの弾き方は、決してキライじゃなかったんだけどな。


Dr. John - Such a Night

Such A Night

Such a night, it's such a night
Sweet confusion under the moonlight
Such a night, such a night
To steal away, the time is right

そういう夜だ。
今夜はそういう夜だ。
めくるめく甘い感じが
月の光の下にあふれてる。
そういう夜だ。
そういう夜なんだ。
盗みをやるのに
うってつけの時がきた。



Your eyes caught mine, and at a glance
You let me know that this was my chance
But you came here with my best friend Jim
And here I am, tryin' to steal you away from him

きみの瞳がぼくの視線を受け止めた
その感じが
ぼくにチャンスが来たことを教えてくれた。
けれどきみがここに来たのは
ぼくの親友のジムとだ。
そしてぼくは今
あいつからきみを盗もうとしてるわけだ。



Oh, but if I don't do it, you know somebody else will
If I don't do it, you know somebody else will
If I don't do it, you know somebody else will
If I don't do it, you know somebody else will

でもぼくがやらなきゃ
わかるだろう
他のだれかがやるんだよ。
ぼくがやらなきゃ
他のだれかがやるんだよ。



And it's such a night, it's such a night
Sweet confusion under the moonlight
It's such a night, such a night
To steal away, the time is right

そして今夜はそういう夜だ。
そういう夜なんだ。
めくるめく甘い感じが
月の光の下にあふれてる。
そういう夜だ。
そういう夜なんだ。
盗みをやるのに
うってつけの時がきた。



Yeah, I couldn't believe my ear
And my heart just skipped a beat
When you told me to take you walkin' down the street
Oh yeah, you came here with my best friend Jim
Here I am, I'm stealin' you away from him

ああ ぼくは自分の耳が信じられなかった。
ぼくの心臓はスキップを始めた。
きみの方から一緒に街に出ようって言われた時には。
いやはや きみがここに来たのは
ぼくの親友のジムとだ。
そしてぼくは今
あいつからきみを盗もうとしてるわけだ。



Oh, but if I don't do it, you know somebody else will
If I don't do it, you know somebody else will
If I don't do it, you know somebody else will
If I don't do it, you know somebody else will

でもぼくがやらなきゃ
わかるだろう
他のだれかがやるんだよ。
ぼくがやらなきゃ
他のだれかがやるんだよ。



'Cause it's such a night
だって今夜は そういう夜だから。

…そんでもってこの何曲か後にはザ・バンドの面々はクラプトンと一緒にFurther On Up The Roadを演奏するわけなのだから、何だかなあ。そんな適当なことでいいのだろうか、という気が、ちょっとだけする。



ボ・ガンボス - ワクワク
私にとってドクター・ジョンという名前は、Dr.Kyonと呼ばれていたボ・ガンボスのきょんさんとまっすぐに結びついている。前回ボ・ディドリーを聞いて今回このピアノを聞いてみると、知り合いもいないし行ったこともないけれど、これがニューオリンズの音なのだな、ということが、おぼろげながらわかってくる気がする。となると、次はあの曲しかない。ではまたいずれ。近いうち。