華氏65度の冬

うたを翻訳するということ

Hoggy Warty Hogwarts もしくはホグワーツ魔法魔術学校校歌 (1997. J.K.Rowling)


今週のお題は「もしも魔法が使えたら」なのだとのことで、一応そちらにもつきあっておこうと思う。直接それがテーマになっている歌というのは「おねがいサミアどん」のテーマ曲ぐらいしか思い浮かばない私なのだけど、こういう「お題」でも出されない限りおそらく絶対にとりあげる機会はなかったであろう曲がひとつあったのを、思い出した。「ハリー・ポッター」に出てくる、ホグワーツ魔法魔術学校の校歌である。


Hogwarts School Song!

Hoggy Warty Hogwarts

Hogwarts, Hogwarts,
Hoggy Warty Hogwarts,
Teach us something please,
Whether we be old and bald,
Or young with scabby knees,
Our heads could do with filling,
With some interesting stuff,
For now they're bare and full of air,
Dead flies and bits of fluff,
So teach us things worth knowing,
Bring back what we've forgot,
Just do your best, we'll do the rest,
And learn until our brains all rot

ホグワーツ、ホグワーツ、
ホギーでウォーティな
つまりブタっぽくてイボだらけのホグワーツ、
なにか教えてくださいよ。
ぼくらが頭のはげた年寄りであれ
ひざにかさぶたのある若者であれ
頭に詰め込むものがほしいんです。
何かおもしろいものが。
今はからっぽで空気しか入ってなくて
死んだハエや綿ぼこりみたいな
つまらないものでいっぱいなんですよ。
だから知る値打ちのあることを教えてください。
忘れたことを思い出させてください。
そちらがベストを尽くしてくれたら
あとはこちらでやります。
脳みそが腐るまで勉強します。

=翻訳をめぐって=

  • この「校歌」は、シリーズ第1作目である「ハリー・ポッターと賢者の石」の、魔法学校の入学式のシーンで登場し、後は最後まで出てこない。一作目のハリーは11歳で、物語の対象年齢も大体小学生だったと思うのだけど、最終巻の7巻では18歳になっており、読者もほとんど大人になっていたので、まあ、出てこなくなるのも無理はないと思う。物語も4巻ぐらいからどんどんシリアスになっていきましたしね。
  • 貼りつけた動画は、4作目の映画である「炎のゴブレット」で使われる予定だったけど、カットされたシーンなのだとのこと。マルフォイ以外はみんな楽しそうなのに、もったいないことである。
  • 翻訳は、一応正確を期してはいるのだけれど、コメントするようなことは特にない。ライミングがすべてと言っていいような歌詞なのだから、日本語に移したらとことんナンセンスになるのは致し方ない。もっとも「マザー・グース」の翻訳だって、やってる中身は同じようなものなのだから、一概に無意味とまでは思わないのだけど。なお、松岡佑子さんの翻訳による日本語版の歌詞は、以下のようになっています。

ホグワーツ ホグワーツ
ホグホグ ワツワツ ホグワーツ
教えて どうぞ 僕たちに
老いても ハゲても 青二才でも
頭にゃ何とか詰め込める
おもしろいものを詰め込める
今はからっぽ 空気詰め
死んだハエやら がらくた詰め
教えて 価値のあるものを
教えて 忘れてしまったものを
ベストをつくせば あとはお任せ
学べよ脳みそ 腐るまで

…おそらく日本語の読み物として成立するような歌詞にしようと思ったら、多少意味の正確さを犠牲にしてでも、語数を合わせるなどして「歌っぽく」仕上げなければならなかったのだろうなという苦労の痕がうかがえる。しかし "Hoggy Warty Hogwarts" は言うなればこの歌の魂と言うべき部分なのだから、そこだけはきちんと意味まで含めて翻訳してほしかったと思う。英語圏の子どもたちはみんなこの歌のおかげでホグワーツについて「ブタっぽくてイボだらけの学校」というイメージを持っているのに、日本の子どもたちはそれを共有できないというのは、ちょっとあんまりである。ちなみに中国語訳は以下の通り。

霍格華茲,霍格華茲,霍霍格格霍格華茲
请你教給我們一些知識,
不論我們是禿顶的老人,
還是跌伤膝盖的孩子,
我們的腦袋需要裝進
一些有趣的事情,
因為現在裡面空空洞洞,充滿空氣,
死蒼蠅和鸡毛蒜皮,
所以請教給我們一些值得學習的東西,
召回我們遺忘已久的記憶,
你們只要盡力去做,其他的就交給我們自己,
我們會努力學習,直到化为尘土。

…やはり「フォフォゲゲフォゲファツ」と、「音」しか再現されていない。さらにちなみにハングルになったものはというと

호그와트, 호그와트, 호기 와티, 호그와트
제발 좀 가르쳐 주세요
노인이건 대머리이건
무릎에 때가 낀 어린애들이건
머리에 채울 것이 필요해요
아주 재미있는 걸로 말이에요
우리 머리는 지금 텅 비어 있어요
파리 시체와 솜털만 조금 있을 뿐이죠
그러니 배울 만한 것들을 가르쳐 주세요
우리가 잊었던 것을 알려 주세요
그저 최선을 다해 주세요, 나머진 우리가 할게요
그리고 머리가 썩어 버릴 때까지 배우고 또 배울게요

…ここでも「ホギーワーティホグワートゥ」と「音」の再現のみになっている。もっとも原語の響きに一番近い音を再現できているあたり、さすが最強の表音文字だと思う。しかしやっぱり、翻訳というのは難しいものなのだなあ。

というわけでこんな風に毎回「うたを翻訳すること」をテーマにいろいろ考えたり怒ったり泣いたりしているブログです。初めての方はこれを機会にぜひ末長いお付き合いをお願いします。ではまたいずれ。今度こそ次回に乞うご期待。


長山洋子 - ハーフムーンの気持 ( おねがい!サミアどん 音楽集 /Extended Version)