華氏65度の冬

うたを翻訳するということ

Louisiana mama もしくは誰がカバやねんロックンロールショーのこと (1961. Gene Pitney)


このブログは「翻訳ブログ」のはずだったのに、U2の「バッド」のあたりからだんだん随筆ブログになってしまってきている気がする。どうも、いけない。しかし今夜には次の「お題」も出てきて流れも変わることだと思うし、しばらくダラダラ書き続けることにしてみたい。

セブンティーン」に星をくださった各位へ:たいへん励みになりました。私はみなさんのことを大切にしなければならないと思います。

"Good ole rock and roll" という表現が前回出てきたわけだけど、そういうものがもしあるものならば、私にとってそれは「誰がカバやねんロックンロールショー」の人たちがやってたような音楽なのだろうな、ということを、思わず名前を出してしまったはずみに、思ったのだった。

「誰カバ」という名前にもしも心当たりのないみなさんがいらっしゃったら、と言うよりそういうみなさんがむしろ大半なのだろうとは思いますが(「はてなキーワード」の下線さえ、つかなかったもんな)、音声だけの以下の動画を、まずはいっぺん虚心坦懐に聞いてみて頂けたらと思います。


誰がカバやねんロックンロールショー

誰がカバやねんロックンロールショーは、1980年前後に関西を中心に活躍した日本のロックバンド。

滋賀県大津市出身の家紋料や松浦円一郎が中心となって結成された『誰がカバやねんブルースバンド』が発祥で、お笑いやライブパフォーマンスで関西に住む若者の人気を集めた。

このバンドがホストを務めた同名のテレビ番組に、漫才ブームで全国的にブレイクする前の明石家さんま島田紳助が出演していたことから、バンド、番組ともに現在では伝説的な存在となっている。
誰がカバやねんロックンロールショー - Wikipedia

…何か、Wikipediaなんかに頼って「説明」しようとすると、すごく味気ない感じになってしまうなあ。でも私自身、リアルタイムではほとんど覚えていないのである。私が生まれる前に結成されて、幼稚園に入る頃にはテレビに出なくなってしまったバンドだったから。

けれどもこの人たちがやっていた音楽やその時代の空気というものは、私の身体のいちばん深い部分に今でも染み込んでいることを、折に触れて実感させられることがある。

ボーカルをとっているのはダンシング義隆という人なのだけど、間奏のあいだに弾丸のように挟まれるこの人のMCに注目してみてほしい。私と同んなじようにどうしようもなく関西人な人なのに、歌の一部となっているこの「語り」は全く「訛って」いない。

それはこの人の喋っているのが「ロックンロールの言語」だからである。

別のブログにも書いたことだけど、その人が使っている言語の構造というものは、その人のモノの考え方にとどまらず、その人のモノの感じ方に対してまで、いちばん決定的な影響を与えるものだと私は考えている。あんまり深く考え始めると破産しそうなのが目に見えているので細かい話はしないけど、その「ロックンロールの言語」というものが私の中には物心ついた頃からずっと「もうひとつの母語」として存在し続けていたのではないかというような気が、40年も昔に歌われていたこの歌を聞くと、してくるのである。

ちなみに観客に踊ることを呼びかける時に「ダンシング!」という風に現在進行形を使うのは、英語の用法としては、間違いである。「ダンス!」と原形を使わなければならない。

でもそんなことは、実はどうでもいいのである。これは「日本のロックンロールの言語」なのだから。

…だんだん自分でも何を書いてるか分からなくなってきたな。

ギタリストの家紋料という人が、またスゴい人だった。もっとも還暦を過ぎた現在でもなおご活躍中なのだから、「だった」などと過去形を使ったら失礼に当たるだろう。とりあえず、下の動画をご覧になって頂きたい。


The Beatles Medley (ビートルズメドレー) 家紋 料
…あれこれ分析したり意味をくっつけたりすることはもうやめる。要するにこれが「私にとってのロックンロール」なのである。子どもの頃から私にとってロックンロールとはずっと「こういうもの」だったのである。そういうロックンロール観を持っている人間が運営しているのがこのブログなのだということの参考にして頂ければ、それでいい。それで離れて行く人を私は、止めはしない。

今回改めて調べてみて、「誰カバ」は現在も滋賀県大津市を拠点に活動を続けていること、しかも驚いたことに私と同世代のアモーレ猪熊さんという女性が新メンバーとして加入し、親ぐらいの年齢の旧メンバーの人たちを圧倒するような活躍をしていることを知って、何だかとても幸せな気持ちになった。動画で見たけどアモーレさん、すごくいい。もしロックというものが私の思っているようなものであればの話だけれど、ものすごくロックンロールを「わかって」いる。こういう感性を持った人が同世代には自分だけではなかったのだということが、私には素直にうれしい。遠い空の下からではあるけれど、これからは陰ながら応援させてもらいたいと思う。


ミネソタの卵売り (アモーレ猪熊と若気の至り) @ Unshu-do in Kitahama Osaka.

翻訳ブログの筋を通すということで、今回は誰カバの皆さんの日本語カバーを通じて私にも小さい頃からずっとおなじみだった、「ルイジアナ・ママ」の対訳を掲載しておきたい。この歌、日本ではすごく売れたけど、アメリカではほとんど知ってる人がいないんですってね。


Gene Pitney - Louisiana Mama (HQ)

Louisiana mama

She`s my red hot Louisiana mama
From a town called New Orleans
Golden hair and eyes of blue
My real live Dixie queen
My Louisiana mama from New Orleans

彼女はぴちぴちのルイジアナ
ニューオリンズと呼ばれる町の生まれ
黄金の髪に藍碧の瞳
まさに南部の女王さま
ぼくのルイジアナ・ママは
ニューオリンズの生まれ


She lives down on the bayou
When she`s really wild as can be
My heart longs to be there
So that once again I can see
My Louisiana mama from New Orleans

あの子は地元のバイユーで
本能のおもむくままに暮らしてる
ぼくのハートはそこに行きたがってる
あの子をもいちど見るために
ぼくのルイジアナ・ママは
ニューオリンズの生まれ


I met her at the Mardi Gras
On a warm and bright sunny day
I had to leave her standing there
But I`m going back to stay

マルディグラのお祭りであの子に会った
暖かくてよく晴れた日だった
そこに立っていたあの子から
ぼくは離れて行かなくちゃいけなかったけど
きっと戻ってきてここで暮らすよ


So if you ever go down the south my friend
To see what you can find
Remember when you get there
She`s mine all mine all mine
My Louisiana mama from New Orleans

だからもしきみが出会いを求めて
南に行くことがあったなら
よく覚えておいてほしい
よしんばきみがそこに行っても
あの子はぼくのだ ぼくのだよ
ぼくのルイジアナ・ママは
ニューオリンズの生まれ


She lives down on the bayou
When she`s really wild as can be
My heart longs to be there
So that once again I can see
My Louisiana mama from New Orleans

I met her at the Mardi Gras
On a warm and bright sunny day
I had to leave her standing there
But I`m going back to stay

So if you ever go down the south my friend
To see what you can find
Remember when you get there
She`s mine all mine all mine
My Louisiana mama from New Orleans

  • red hot…「赤マル急上昇」という訳語が一瞬アタマに浮かんで、ぶるぶると打ち消した。完熟トマトの宣伝文句に使われる言葉だと聞くと「わかりやすい」けど、そういう言葉を人間に対して使うのってどうなのだろうという違和感が、この訳詞を全体的に不自然なものにしている。
  • Mamaというのはこの場合「母親」ではなく、「セクシィな女性」のことをさす南部の俗語なのだとのこと。つまり、昔から気になってたことだったけど、「ルイジアナ・ママ」は別に「ひとづま」ではない。
  • バイユー (bayou) とはニューオリンズを中心としてアメリカ南部に広がる低湿地帯のこと。ケイジャン文化を象徴する言葉ともされている。


夢の乱入者 総集編 '90-91(1)木村秀勝,石田長生,近藤房之助,他

90年代の深夜に近畿地方で放送されていた「夢の乱入者」という番組で、家紋料さんのものすごい演奏が流れたことがあったのだけど、残念ながらその動画は見つからなかった。しかし他の動画を見ていると、これはこれで、止まらなくなった。眠れぬ夜を過ごしている方がいらっしゃったら、ご一緒にぜひどうぞ。この番組についても、いずれまた書くことがあるかもしれません。ではまたいずれ。