華氏65度の冬

うたを翻訳するということ

Somebody Loan Me A Dime もしくはブルースブラザーズ特集#0 (1967. Fenton Robinson)


訳者敬白:今回以降翻訳してゆく映画「ブルース・ブラザーズ」の台詞およびト書きは、基本的にすべて下記のオフィシャルサイトから転載した英文の翻訳です。著作権上の問題は存在しないはずだと信じています。

bluesbrothersofficialsite.com


SCENE 1
Location: EXT. JOLIET PRISON - DAWN - WIDE ESTABLISHING SHOT ジョリエット刑務所

as the sun begins to rise. Joliet, an ancient sandstone fortress. The morning sun lends a bright red hue to the walls and parapets. A dog barks o.s. A black 1974 Plymouth Fury, four-door sedan pulls up and parks. The driver cuts the motor -- it dies with a rumble. The motor and metal cool down with a series of pings. The driver hunches down in the front seat.Camera: CUT TO
朝日が昇ろうとしている。ジョリエット刑務所は古い砂岩の要塞だ。朝日はその壁に明るい光を投げかける。一匹の犬が吠えている。4ドアセダンの74年型プリムス・フューリーがそこに止まり、ドライバーはエンジンを切る。ブルッとして止まる。ノッキングが起こる。ドライバーはフロントシートで丸くなる。カメラ、切り替わる。
※ 今回の翻訳にあたり私が参照している映像は、iTunesストアで新しくダウンロードしたものなのだけど、この台本と実際の映画とは、ところどころが違っている。実際の映画ではまず始めに、シカゴの隣町のインディアナ州ゲーリー(Gary)の上空から撮影されたミシガン湖畔の工業都市の夜明けの様子が1分間ほど映され(コメディ映画と思えないほど荒涼とした光景である)、その後でシカゴのジョリエット刑務所の映像に切り替わる。「車」はまだ出てこないし、実際にこの後で出てくる有名な「ブルースモービル」は、プリムス・フューリーではなくダッジモナコの74年型である。そしてシーン2から5までは、YouTubeでは映像が見つかるものの、配信されている映画ではカットされている。なお、以降、基本的にこのピンクの文字は「訳注」です。



SCENE 2
Location: INT. JOLIET CELL BLOCK ジョリエット刑務所の監房
four stories of tiers. The sound of many men snoring. Two GUARDS enter through electric doors and walk down the gangway on one of the tiers. They stop in front of a cell.Camera: CUT TO
4階層に分かれている。大勢がいびきをかく音。2人の看守が電動ドアを通り抜け、ある階層に向かい、ひとつの監房の前で止まる。カメラ、切り替わる。


SCENE 3
Location: INT. CELL - GUARDS' POINT OF VIEW - A BLACK INMATE 監房にて。看守の視点から。黒人の受刑者が目に入る。
in jockey shorts and T-shirt is lying on his back smoking a cigarette on the bottom bunk. A white man in a prison blue shirt and jeans sleeps on his side on the top bunk facing the wall.
黒人の受刑者はTシャツと短パン姿で壁にもたれ、寝台の上でタバコをふかしている。1人の白人受刑者が、青い囚人服とジーンズ姿で寝台に横たわり、壁に向かって寝ている。



GUARD #1: He slept in his clothes.
看守1: 服のまま寝てやがる。

GUARD #2: Yeah. A lot of them do the night before.
看守2: ああ。大体のやつは前の夜からやるのさ。
…出所にそなえて前日から服を着て寝る、という意味だろうか?

GUARD #1: Deputy Warden told me to get this one out of the block early. He wants to get it over with fast.
看守1: 副所長がこいつを早めに引っ張り出せって言ってた。さっさと済ませたいんだろうよ。

guard #2: Okay. Let's do it.
看守2: オッケー。じゃあやるか。

GUARD #1: Sssst! Hey! Sssssst! Wake up! Come on, it's time.
看守1: シュッ!おい!シューッ!起きろ!出てこい。時間だ。

Guard #1 pokes his night stick through the bars, nudging the man in the top bunk in the ribs. He sits up wearily. We are unable to see his face.
看守1が警棒を鉄格子の間から突っ込んで、寝ている男の脇の下をつつく。彼はだるそうに立ちあがる。映画を見ている人にその顔は見えない。

GUARD #1: Let's go, Jake. It's time.
看守1: 行くぞ、ジェイク。時間だ。

The BLACK PRISONER sits up and offers his cigarette to Jake. Jake takes a long drag. As Guard #l unlocks the cell door, Jake hands the cigarette back to the Black Prisoner.
黒人の受刑者が起き上がり、ジェイクにタバコを勧める。ジェイク、深々と吸い込む。看守1が監房の扉を開け、ジェイクは黒人の受刑者にタバコを返す。

'BLACK PRISONER: So long, Jake.
黒人受刑者:じゃあな。ジェイク。

Jake and the Black Prisoner exchange a soul handshake.
ジェイクと黒人受刑者、魂の握手を交わす。

SCENE 4
Location: INT. GALLERY AT CELL - DAY 房内の廊下
Both Guards step back into the gangway and stand shoulder to shoulder, obscuring the prisoner who turns and walks out of the cell. Guard #1 slides the cell door closed.
2人の看守は肩を並べて立ち、監房から出てくる囚人を覆い隠す。看守1が監房のドアを閉める。

SCENE 4-A
Location: EXT. GANGWAY 所内の通路
They escort the prisoner down to the end of the gangway, away from the camera. The electric door slides open. They exit.Camera: CUT TO
2人は囚人を警護しながら通路を進み、カメラから遠ざかる。自動ドアが開き、彼らは外に出る。カメラが切り替わる。

SCENE 5
Location: INT. CELL 監房
The Black Prisoner watches Jake and the Guards as they disappear down the hallway.
黒人受刑者は、ジェイクと看守が見えなくなるのを見送っている。

BLACK PRISONER: Sleep tight, Jake.
黒人受刑者:おやすみよ。ジェイク。
…シーン2からここまでが、配信されている映画ではカットされている。

SCENE 6
Location: INT. PRISON 刑務所
Guards hustle the prisoner through a series of electric doors, a set of caged-in stairs, past a guard station down a hall to a thick door with a small, round, wire-mesh porthole. The Guard presses a button.
看守は囚人を乱暴に歩かせながら、自動ドアをいくつかくぐり、カゴに覆われた階段を抜け、看守の詰所を通り過ぎ、小さい丸い金網つきの覗き穴のついた厚い扉の前に出る。看守がボタンを押す。



GUARD #1: Well, this is it.
看守1: さあ、ここだよ。
…配信されている映画の最初のセリフ。なお、実際の映画では緑の芝生を横切って保管室に向かっており、ドアの様子もト書きと違う。ブザーも鳴らない。

A loud buzzer sounds as the door latch clicks open. The Guard and prisoner enter the room.
大きなブザーが鳴って、扉の掛け金が外される。看守と囚人は部屋に入る。

SCENE 7
Location: INT. PROPERTY ROOM 保管室

It is divided by a counter. Behind the counter is a wall of small cubicle shelves, like the stockroom of a shoestore. There are numbers over each shelf. A CORRECTIONAL OFFICER emerges from behind the shelves. He walks to the counter.
カウンターで区切られており、カウンターの後ろは壁で仕切られた小部屋になっている。靴屋の倉庫部屋のような感じ。棚の上にはそれぞれ番号がかかっている。棚の後ろから刑務官が現れて、カウンターの方へ歩いてくる。

GUARD #2: (reading off a clipboard) 7474505-B
看守2: (クリップボードを読む) 7474505-Bです。

OFFICER: What wing?
刑務官:何棟だ?

GUARD #2: Maximum wing, Block 9.
看守2: 最上棟の9ブロックです。
…Maximum wingは、辞書にない言葉。最大の房棟という意味かもしれないし、「素行が最も良い者」の房棟という意味かもしれない。

OFFICER: Standard release?
刑務官:満期出所か?

GUARD #2: Parole, three out of five, good behavior.
看守2: 仮出所です。5年の刑期を3年に。素行良好につき。

OFFICER: Okay. Give me a minute.
刑務官:オーケー。ちょっと待ってくれ。

The officer behind the counter disappears into a row of shelves. The Guards move the prisoner tight to the counter.Camera: CUT TO
カウンターの向こうの刑務官は、棚の列の中に見えなくなる。看守は囚人をカウンターにぴったりくっつけて立たせる。

SCENE 8
Location: CLOSEUP - COUNTER - PRISONER'S TORSO カウンターと囚人の胴体のクローズアップ
His belly is pressed up to the counter, his hands are drumming a clear, rhythmic beat on the counter top. The Officer returns and enters frame, placing two boxes on the counter. He opens them, dispensing various articles.
囚人の腹がカウンターを圧迫している。その指はカウンターの板をリズミカルに叩いている。(ここでその左手の指に彫られた「JAKE」という刺青が映される。実際の映画では、その態度が横柄だからだろうか。看守が囚人を白線の後ろに下がらせる)。刑務官が画面の中に戻ってきて、カウンターに2つの箱を置き、中身を出し始める。



OFFICER: One Timex digital watch, broken. One unused prophylactic, one soiled,
刑務官タイメックスのデジタル時計、1。未使用コンドーム、1。(胸ポケットからピンセットを出して)使用済み、1。


…映画ではここで画面が切り替わり、上述の74年型ダッジモナコが刑務所の前に止まる。ハンドルを握る指に彫られた「ELWOOD」という刺青が映し出される。


OFFICER: One black suit jacket. One pair black suit pants. One hat, black. One pair sunglasses. Twenty-three dollars and seven cents. Sign here.
刑務官:黒のスーツジャケット、1。黒のスーツパンツ、1。そして帽子。黒。サングラス、1。現金23ドルと7セント。ここにサインしな。

The prisoner signs with an "X". Camera: CUT TO
囚人、サイン欄にXマークを書く。(ジェイクが正規の教育を受けておらず、字を書けないことを示しているシーンだと思う。なおこのサインをする時、ジェイクはわざと白線の後ろ側から、体を伸ばしてサインするというしんどいことをやっている)。カメラ、切り替わる。


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  • ジョリエット刑務所は、2002年まで監獄としてつかわれていたシカゴ郊外の実在の刑務所。ロケもそこで行われている。ジョリエット刑務所 - Wikipedia
  • 配信されている映画ではカットされているが、看守がジェイクを起こしに来るシーンでBGMのように流れているのがフェントン・ロビンソンのSomebody Loan Me A Dimeという曲。アメリカの刑務所では受刑者がラジオを聞けるのだろうか。いずれにしてもこの映画に登場する最初の楽曲なので、本編の方はいまだタイトル画面にすらたどり着いていないが、今回はこの曲を翻訳してブルースブラザーズ特集の#0回としたい。


FENTON ROBINSON somebody loan me a dime

Somebody Loan Me A Dime

Somebody loan me a dime,
I need to call my old time, used to be.
Somebody loan me a dime,
Mmm, I need to call my old time, used to be.
Oooo, little girl's been gone so long,
You know it's worryin me.
Hey, it's worryin, worryin me.

誰か10セント玉を貸しとくれ。
昔のあの娘に電話しなくちゃいけないんだ。
誰か10セント玉を貸しとくれ。
あの日の思い出に電話しなくちゃいけないんだ。
あああ あの娘はもうずっといない。
すごく悲しいんだよ。
つらいんだ。心配なんだ。


I know she's a good girl,
But, at that time I just didn't understand.
I know she's a good girl,
But, at that time I just didn't understand.
Oh, you know I didn't.
Somebody loan me a dime,
You know I need, I need a helpin hand.
Somebody.

あの娘はいい子だよ。
でもあのとき
おれは全然わかってなかったんだ。
あの娘はいい子だよ。
でもあのとき
おれは全然わかってなかったんだ。
わかってなかったんだよ。
誰か10セント玉を貸しとくれ。
おれには誰かの
誰かの助けが必要なんだ。


Yeah, she's a good girl,
But, at that time I just didn't understand.
Oooo, I know she's a good girl,
But, at that time I just could not understand.
Whoa, no.
Somebody better loan me that dime,
To ease my worried mind.
Whoo.

ああ あの娘はいい子だよ。
でもあのとき
おれは全然わかってなかったんだ。
ううう あの娘はいい子だよ。
でもあのとき
おれは全然わからなかったんだ。
うわあ いやだあ。
誰か10セント玉を貸しとくれよ。
弱気になったこの心を
落ち着かせてやってくれよ。
おおお。

Now, I cried, just cried,
Just like a baby, all night long.
Ooo, you know I cried, just cried,
Just like a baby, all night long.
Whooo, somebody better loan me that dime,
I need my baby, I need my baby here at home.
Oooo, yeah.

おれ、もう、泣いちゃったよ。
ただ泣いたよ。
赤ん坊みたいに一晩中だよ。
ううう わかんないかな。
泣いたんだよ。
ただ泣いたんだよ。
赤ん坊みたいに一晩中だよ。
うおおお 誰か10セント玉を貸してくれよ。
あの娘が、あの娘がここに
おれんとこにいてくれなきゃ
だめなんだよ おおお
ゐゑ井。

…だだだ大丈夫なんだろうかいきなりのっけからこんなどうしようもない歌で。とまれこうまれ賽は投げられた。ルビコン川は渡られた。根性のある人だけついて来てください。ではまたいずれ。