華氏65度の冬

うたを翻訳するということ

Peter Gun Theme もしくはブルースブラザーズ特集#7 (1959. Henry Mancini)

SCENE 94
Location: EXT. DOWNTOWN CHICAGO - STATE STREET - NIGHT - THE BLUESMOBILE シカゴのダウンタウン 州道 夜 ブルースモービル
rumbles slowly down State Street with the traffic, past the hookers, pimps, and the street people hanging out in front of the all-night movie theatres.Camera: CUT TO
ブルースモービル、ゆっくりと州道を走る。hookersやポン引き、オールナイトの映画館の前でたむろしている人々の前を通り過ぎる。
…hookersは性産業に従事している女性への蔑称です。批判を込めて原文をそのまま転載しました。


SCENE 95
Location: EXT. ALLEY BEHIND BOND HOTEL - NIGHT ボンド・ホテルの裏道 夜
A street of dark theatre marquees and elevated train tracks. Elwood is taking the car down under the el tracks. There are alleys and freight bays. Elwood stops the car, throws it into reverse, turns it to train the headlights on a building on one side of the alley and walks over to a steel door in the wall.
劇場のひさしと高架の鉄道線路の陰になった、暗い道。エルウッドは高架の下に入る。路地に挟まれて倉庫が並んでいる。(誤訳の可能性あり)。エルウッドは車を止め、バックして高架の壁にヘッドライトを当てる。そしてそこにある鉄のドアに向かって歩いてゆく。


SCENE 96
Location: CLOSEUP - STEEL DOOR
A plaque is bolted on it: C.T.A. E-TRAIN POWER TRANSFORMER - HIGH VOLTAGE - DANGER
ドアには以下の文字「CTA鉄道の変電所。こわいでんきがながれています。たいへんきけんです」


SCENE 97
Location: CLOSEUP - ELWOOD'S HANDS - RING OF KEYS キーホルダーを持ったエルウッドの手
He unlocks a heavy brass padlock and flips the latch on the steel door. Elwood opens the door out into the alley, The headlights illuminate a 7 foot wide blind crevice between two buildings. Elwood walks over to the car and gets in. Jake gets out of the Bluesmobile. Elwood drives into the crevice, the rear bumper scraping both walls. It is a tight fit with no room at all to open the doors. Elwood shuts the car off, turns off the lights and crawls out the passenger window onto the car's roof, He walks over it to the back, jumps to the ground, closes and padlocks the steel door. Jake and Elwood walk out toward the street.
エルウッド、重たい南京錠の鍵を開けて鉄のドアを開く。ヘッドライトが、ビルに挟まれたドアの向こうの幅7フィートの隙間を照らし出す。エルウッドは車に戻り、ジェイクは車を降りる。エルウッド、その隙間に車を入れる。後ろのバンパーの両側がこすれる。隙間は狭くてドアを開けるスペースもない。エルウッドはサンルーフから外に出て地面に飛び降りる。ドアを閉めて南京錠をかけ、2人は通りの方へ歩いてゆく。
…要するに、違反ドライバーのエルウッドはこんな風にして車を隠しているのである。苦労して翻訳したけどこのシーンはカットされている。


SCENE 98
Location: EXT. BOND HOTEL - NIGHT
The Bond Hotel is a weathered old building crammed up against a set of elevated train tracks. A neon sign swings over the entrance: TRANSIENTS WELCOME. A red 1977 Pontiac Grand with body damage rolls up and parks across the street from the hotel.
ボンド・ホテルはボロボロの古い建物で、鉄道の高架の隙間に挟まれるようにして建っている。入口にはネオンサインがかかっている。「短期滞在歓迎」。そこへ傷だらけの車体の赤い77年型ポンティアック・グランドが現れ、通りを隔てたホテルの反対側に止まる。




SCENE 99
Location: INT. PONTIAC ポンティアック
A beautiful woman is smoking a cigarette in the dark, as Jake and Elwood walk into view towards the hotel. On the other side of the street she raises a Solethean Anti-Tank Rifle onto her shoulder and sights down the infra-red sight.
車内では1人の美女がタバコをふかしている。ジェイクとエルウッドがホテルに向かって歩いてくるのが目に入ると、彼女は肩にソウルザーンの対戦車用ライフルを構え、照準を合わせる。
…Soletheanという文字列は、検索しても何も出てこない。架空の兵器会社なのだろうか。


SCENE 99-A
Location: P.O.V. THRU INFRA RED SITE - JAKE IN CROSSHAIRS
the crosshairs centered on Jake's head
照準の十字型がジェイクの頭に合わさる。


SCENE 100
Location: EXT. BOND HOTEL - FRONT DOOR - NIGHT - JAKE AND ELWOOD
They approach the seedy Bond Hotel unaware of their danger.
2人は危険に気づくこともなく、みすぼらしいボンド・ホテルに近づく。


ELWOOD: Nice place, huh?
エルウッド:いいとこだろ?

The MYSTERY WOMAN opens fire, getting off four tracer shells in rapid succession. Jake and Elwood hit the dirt as the three projectiles, explode spectacularly taking out a good chunk of the front of the Bond Hotel. The red Pontiac burns rubber and roars away. Jake and Elwood get up and brush themselves off. They look at each other, shrug and enter the hotel.
謎の女、引き金を引く。4発の曳光弾が連続して発射される。ジェイクとエルウッド、とっさに身を伏せる。3発の発射体がボンド・ホテルの正面を劇的に粉々にする。赤いポンティアック、タイヤを鳴らして走り去る。ジェイクとエルウッド、立ちあがり、互いの体を払い、肩をすくめてホテルに入る。(何ごともなかったかのように)

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キャリー・フィッシャー - Wikipedia

…このあたりからこの映画はどんどんわけがわからなくなってゆくのだけど、ここで登場するキャリー・フィッシャーさんはスター・ウォーズレイア姫を演じていた人。去年亡くなっていただなんて、調べてみるまで全然知らなかった。Wikipediaの記事にはこんなエピソードが書かれている。

スター・ウォーズ』での成功後、その成功によるプレッシャーもあり、『ブルース・ブラザース』で共演し、友人であったジョン・ベルーシダン・エイクロイドらとドラッグに溺れていた。のちに回復し、その体験を自伝『崖っぷちからのはがき』(Postcards From The Edge)として著したが、これは『ハリウッドにくちづけ』として映画化されている。

…ジェイクを演じたジョン・ベルーシ自身、この映画のわずか2年後の1982年に、ドラッグのために命を落としている。ポリスのギタリストだったアンディ・サマーズという人はベルーシの親友だったとのことで、当時のことを自伝にいろいろ綴っているのだけれど、その頃のかれらは朝起きるとまずドラッグの塊を鼻の穴に詰め込んでものすごい勢いで遊びに行くという調子だったそうで、読んでいるだけで疲れてタイハイ的な気持ちになってしまった。昨日オーティスのことを書いていた時にも思ったのだけれど、あれほど「元気」な人たちにどうしてドラッグが必要だったのだろう。しかしいろんなアーティストの人生について知れば知るにつけ、人並み外れて元気な人ほど「もっと元気になりたくて」ドラッグにはまり込んで行く傾向があるのだという現実が、見えてくる気がする。私にはそれがいいことだとか悪いことだとかは、とても簡単に言えない。ともすれば「生きるに値しない」と思えてくるような人生を「生きる」ための、それはその人たちにとって唯一(であるように見えた)の選択だったかもしれないのである。

ドラッグから「回復」できるか否かの別れ目になるのは、結局「この人のために生きなければならない」と思えるような相手がその人にいるかいないか、という問題にかかっているような気がする。私がそういう存在になれるものならば「ドラッグなんてやめてほしい」と100回でも200回でも言うけれど、全部の人にとってのそういう存在になるなんて、ムリである。だとしたらできることは、決してその人たちのことを爪弾きにしたりすることなく、一緒に「生きるに値する社会」をどうすれば作ってゆけるのかということにかかっているのではないかという気がする。フィリピンのドゥテルテがやっているような、麻薬に関わる人たちを完全に人間扱いしない殺人政策を、私は絶対に許す気持ちになれない。

今回のシーンを通じて流れているのは、昔のアメリカの探偵ドラマの主題曲だった「ピーター・ガンのテーマ」。この古畑任三郎的なサウンドは誰の耳にも馴染みがあるもので、当初私は当然インスト曲だと思っていたのだけれど、あたかもルパン三世のテーマに歌詞が存在するごとく、この曲にもやはり歌詞がついていたのだということを今回はじめて知った。もっともYouTubeに上がっていた「歌詞付きの動画」は、見つかる限り再生回数わずか130数回のこの動画だけである。とはいえこういう「しろーとっぽい人たち」が、自分たちの楽しみのために演奏している動画をダラダラと眺めていることを、私は割とキライではない。


The Oracle Show: Lost Lyrics - Peter Gunn Theme

Bye-Bye (Peter Gunn Theme)

Every night your line is busy
All that buzzin' makes me dizzy
Couldn't count on all my fingers
All the dates you had with swingers

あなたの電話は毎晩話し中
電話が鳴るたびに私はクラクラする
あなたがデートしてる取り巻きの数は
両手の指を使っても数えきれない


Bye, bye, bye, baby
I'm gonna kiss you goodbye and go right through that doorway
So long, I'm leaving
This is the last time we'll meet on the street going your way

バイバイ、バイ、ベイビー
さよならのキスを送ってあげるから
せいぜいうまくやりなさい
あのドアを抜けて
じゃあね 行くわ私
街角で会うのはこれが最後
あなたの道を行きなさい


Don't look surprised, you know you've buttered your bread
So now it's fair, you should stare at the back of my head
If you write a letter to me
My former friend, don't you end with an R.S.V.P.

びっくりしたような顔、しないでよ
私の気を引こうとしただけでしょ
空も晴れたわ
せいぜい私の後ろ頭を見ていることね
昔の友達として言っとくけど
もし私に手紙を書くなら
「返事をお願いします」は
なしにしといてよ


I'm going bye, bye, I'm moving
Tomorrow I may be splittin' to Britain or Norway
I'm saying bye, bye, bye baby
Now that I heard all that jazzing whereas I have had it, I've had it

じゃあ行くわね
バイバイ もう行くからね
バイバイって私は言ってるの
自分で言ったのに
何でウソみたいに聞こえるのかしらね


I'm through now with you now
So baby it's au revouir
Adios, ciao, ciao, goodbye

あなたとはおしまい。
じゃあねベイビー、オーヴォワール
アディオス、チャオ、チャオ
グッバーイ

=翻訳をめぐって=

  • どうせ「ついているだけ」の適当な歌詞だろうと思って適当な気持ちで訳し始めたのだけど、意外と難解で奥深い歌詞だったように思えた。
  • まずわからなかったのは This is the last time we'll meet on the street going your way という歌詞。「これが最後になる」と言っているのに、どうして次のフレーズでは未来形が使われているのだろう。goingという現在分詞の使い方も、わからない。それっぽく意訳はしてみたけれど、正確さについては全然保証できない。
  • butter your breadというのは「相手の気持ちを引くためにわざと感情をむき出しにすること」を形容するスラングであるらしい。すごく奥深い言葉だとは思うけど、すごく分かりにくい。
  • it's fair…これについても「天気がいい」のか「もういい」的な意味なのか、私には判断できない。
  • R.S.V.P.はフランス語「repondez s'il vous plait(ご返事お願いします)」
  • Now that I heard all that jazzing whereas I have had it…ここがまたすごくアンニュイで分かりにくかった。jazzには「ホラを吹く」という意味があるので、たぶん訳詞のような意味だと思うのだけど、確信は持てない。
  • Adios, ciao, ciao, goodbye…思い出したのはこのコントだった。ではまたいずれ。ちゃお。


ベンジャミンさん