華氏65度の冬

うたを翻訳するということ

Sweet Home Chicago もしくはブルースブラザーズ特集#26 (1936. Robert Johnson)


  • バンドが「スイートホーム・シカゴ」を演奏する中、ブルース・ブラザーズはひそかにステージを抜け出し、孤児院を救うため、シカゴに向かう。

SCENE 300
Location: THE STAGE - IN CONCERT - THE BLUES BROTHERS

JAKE Thank you. That was for Wilson Picket. This is dedicated to the great Magic Sum.
ジェイク:ありがとう、今のはウィルソン・ピケットに捧げる曲でした。次の曲は偉大なマジック・サムに捧げます。

The group launches into their second number, "Sweet Home Chicago."
バンドは二曲目の"Sweet Home Chicago."を演奏しはじめる。




…ト書きは若干説明不足だが、この曲の最中にステージ上のブルースブラザーズと観客席のマーサー(警察責任者)が目を合わせる描写がある。2人はそこで一刻も早くステージを離れなければ逃げられなくなることを悟り、ブギウギを踊りながら一旦ソデに引っ込むのである。


ジョン・キャンディ - Wikipedia

Jake and Elwood dance the boogie-woogie with each other to the delight of the audience. Half way through the sweet Home Chicago Jake and Elwood go off back stage.
ジェイクとエルウッドは観客のためにブギウギを踊りながら、曲の途中でバックステージに抜け出す。


Before he and Jake can get away, the tremendous man puts his arms around both of them.His name is Klenfner.
ジェイクとエルウッドが逃げようとしているところで、2人の肩をつかんだ大柄な人物がいる。彼の名前はクレンフナーである。




JAKE: It looks like the Mafia is out there.
ジェイク:何だ、ここにはマフィアまでいるのか?

KLENFNER: You guys are great! Hot! Insane! I want to record you!
クレンフナー:お前たち、すごいよ!熱いよ!Insaneだよ!おれはお前たちのレコードを作りたい。
…Insaneは「精神病者」に対する差別語です。ここでは原文をそのまま転載しました。

JAKE: Bullshit!
ジェイク:ふざけんな。

KLENFNER: I don't bullshit. I run Clarion Records... the largest recording company on the eastern sea board..
クレンフナー:ふざけてなんかいない。私はクラリオン・レコードの経営者だ。東海岸で一番大きいレコード会社だぞ。

JAKE: So what?
ジェイク:だから何だ?

He pulls an envelope out of his pocket.
クレンフナー、ポケットから封筒を取り出す。


KLENFNER: Here! Here's ten thousand in cash. An advance on your first recording session. Is it a deal?
クレンフナー:どうだ!現金で1万ドルある。これでお前らの最初のレコーディングセッションの前金というわけに行かないか?

JAKE:Yeah, sure it's a deal.
ジェイク:…行く。

Elwood: Yeah, yeah, sure.. sure it's a deal. Ah listen all these cops out here they're sorta waiting for us. We gotta get outta here without nobody seeing us. Do you know a back door outta this place?
エルウッド:行く。行くよ。あー…ところで聞いてくれないか。外に警官がいっぱいいるだろ。おれたちのことを待ってるみたいなんだ。誰にも見られないようにここから出て行かなくちゃ行けないんだけど、あんた、裏口か何か知らないかい?

KLENFNER: Sure. I used to be head bouncer here back in 70s. There's an electrical service trapdoor right behind your drummers riser.
クレンフナー:もちろん。おれは70年代にここの警備員の責任者だったんだ。ステージのドラマーが座ってるところの後ろに、電気工事用の落とし戸があるぜ。

He offers his hand. Jake shakes it and takes the envelope. He opens it and removes half the money, handing it back to Klenfner. The rest he shoves in his pocket.
クレンフナー、手を差し出す。ジェイク、その手を握り、封筒を受け取る。ジェイクはそれを開けて半分をクレンフナーに渡し、残りを自分のポケットに突っ込む。


JAKE: Listen, Do us a favor. Give fourteen hundred to Ray at Ray's Music Exchange in Calumet City. Give the rest the band.
ジェイク:聞いてくれ。頼みがある。キャルメット・シティのレイの楽器店の店主に1400ドル渡してくれ。残りはバンドメンバーにわけてやってくれ。

KLENFNER: You got it.
クレンフナー:了解だ。
…「I got it」:相手の言ったことを理解できた時の「分かりました」で、「You got it」:相手の頼み事や依頼を承諾する時の「了解しました」。私は、知りませんでした。

The band continues "Sweet Home Chicago", Jake doing a blistering vocal and Elwood a spirited harp solo. As The Colonel steps out into the spotlight for a magnificent guitar riff, Jake and Elwood duck behind the drums. Willie gives them a thumbs-up signal and they disappear through the trap door.Camera: CUT TO
バンドは"Sweet Home Chicago"の演奏を続けている。ジェイクは激しいボーカルをとり、エルウッドは霊が乗り移ったようなハーモニカのソロを聞かせる。カーネルがスポットライトの中に進み出て最高のギターソロを鳴らしている中、ジェイクとエルウッドはドラムセットの裏側にかがみこむ。ウィリーが親指をあげてみせ、2人は落とし戸の中に消える。


SCENE 301
Location: REAR OF BALLROOM

OFFICER #2: Something's wrong.
警官2:何かおかしいぞ。

MERCER: Where's Jake?
マーサー:ジェイクはどこだ?

Camera: CUT TO
SCENE 302
Location: TUCKER MC ELROY

TUCKER: Where'd those Blues Brothers go?
タッカーブルース・ブラザーズはどこに行ったんだ?

The band continues its soulful music.(NOTE: The band is playing "Sweet Home Chicago." This version continues over the entire following chase sequence.)Camera: CUT TO
バンドはソウルフルな演奏を続けている。(注:曲は"Sweet Home Chicago"。この曲はこのシーンの間中、流れ続けている)


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Blues Brothers - Sweet Home Chicago

Sweet Home Chicago

Come on
Oh baby don't you wanna go
Come on
Oh baby don't you wanna go
Back to that same old place
Sweet home Chicago

おいで。
お前も行きたくないか。
おいで。
お前も行きたくないか。
昔と何も変わらないふるさと。
なつかしいシカゴへ。


Come on
Baby don't you wanna go
Hidehey
Baby don't you wanna go
Back to that same old place
Oh sweet home Chicago

おいで。
お前も行きたくないか。
なあなあ。
お前も行きたくないか。
昔と何も変わらないふるさと。
なつかしいシカゴへ。


Well, one and one is two
Six and two is eight
Come on baby don't ya make me late
Hidehey
Baby don't you wanna go
Back to that same old place
Sweet home Chicago

えー、いちたすいちはにで
ろくたすにははちだ。
おいでよベイビー。
遅れちまうよ。
なあなあ。
お前も行きたくないか。
昔と何も変わらないふるさと。
なつかしいシカゴへ。


Come on
Baby don't you wanna go
Back to that same old place
Sweet home Chicago


Six and three is nine
Nine and nine is eighteen
Look there brother baby and see what I've seen
Hidehey
Baby don't you wanna go
Back to that same old place
Sweet home Chicago

6+3は9で
9+9は18だ。
あそこを見ろよブラザー
ベイビー。
おれが見たものを見てくれよ。
なあなあ。
お前も行きたくないか。
昔と何も変わらないふるさと。
なつかしいシカゴへ。


Oh come on
Baby don't you wanna go
Come on
Baby don't you wanna go
Back to that same old place
Sweet home Chicago


Sweet Home Chicago

=翻訳をめぐって=

  • 曲紹介でジェイクはこの曲を「マジック・サムに捧げる」と言っているけれど、この曲を最初に録音して世に広めた人は「巨人」ロバート・ジョンソンその人なので、このブログではそちらの名前で取りあげることにした。マジック・サムのバージョンも、めちゃめちゃかっこいい。一番有名なのはエリック・クラプトンのバージョンかもしれないけれど、とにかく数え切れないくらいの人にカバーされている名曲である。


Magic Sam - Sweet Home Chicago (Good Quality)

  • この曲に関するトリビア、と言ったら苦労して調べた人に対して失礼にあたるのかもしれないけれど、興味深い事実を教えてくれるサイトを見つけたので、ブックマークしておきました。

www.tapthepop.net

  • 「地名の謎」もさることながら、この曲に関する一番の謎はどうして何回も「足し算」が出てくるのかというところにあるのではないかと思うのだけど、こちらはいくら調べてもハッキリしたことは分からなかった。考察しているサイトもないことはないけれど、あまりにこじつけ的な解釈だったので、紹介する気にはなれない。
  • Look there brother baby and see what I've seen…映画ではここでエルウッドが観客席のマーサーを見つけ、ジェイクに注意をうながす。そのためのアドリブの歌詞なので、文字だけ読むと少しわかりにくいことになっている。

…残すところはあと5回となりました。続きます。