華氏65度の冬

うたを翻訳するということ

Jailhouse Rock もしくはブルースブラザーズ特集#31完結編 (1957. Elvis Presley)



SCENE 383
Location: EXT. JOLIET PRISON - DAY
The first two chords of "Jailhouse Rock" are heard.
Camera: CUT TO
ジョリエット刑務所。「監獄ロック」の最初の2コードが聞こえる。


SCENE 384
Location: INT. JOLIET PRISON CELL BLOCK
Jake and Elwood stand in adjoining cells in their Blues Brothers clothes. They snap their fingers simultaneously to the music. The brothers launch into a gutsy rendition of "Jailhouse Rock". The camera pulls back to reveal that ever member of the band is in prison with them, including the black inmate from scene 3.
(Note: This spirited rock and roll number is the climax of the film. The band will be identified and as each one does solo, their names are supered. All of the guest stars, etc. will each sing several lines of the lyrics in the location in which we found them).
ジェイクとエルウッドは隣同士の監房で、ブルースブラザーズの衣装に身を包んでいる。2人は曲に合わせて同時に指を鳴らす。2人が歌い出したのは「監獄ロック」の一節だ。カメラが引くと、他のバンドメンバーも一緒に刑務所に入っているのが分かる。シーン3に出てきた黒人の囚人もそこにいる。
(この元気いっぱいのロックンロールナンバーが、この映画のクライマックスである。バンドの1人1人がソロをとり、彼らの名前が映し出される。ゲストスターたちもそれぞれ一節ずつ、それぞれの場所で「監獄ロック」を歌う)。


SCENE 385
Location: INT. RAY'S - DAY - CLOSEUP - RAY
singing part of "Jailhouse Rock".
レイ・チャールズの「監獄ロック」


SCENE 386
Location: INT. SOUL FOOD CAFE - DAY - CLOSEUP - WAITRESS
singing part of song.
アレサ・フランクリンの「監獄ロック」


SCENE 387
Location: INT. CHURCH - DAY - CLOSEUP - REVERAND JAMES
singing part of song.
ジェームズ・ブラウンの「監獄ロック」


SCENE 388
Location: INT. ORPHANAGE BOILER ROOM - DAY - CURTIS
singing part of song.
孤児院の子どもたちの「監獄ロック」


SCENE 389
Location: EXT. SOUL FOOD CAFE - DAY - TWO SHOT - OLD BLACK MEN
wave bye-bye.The movie is now over.
昼間のソウルフード・カフェで年老いた2人の黒人が手を振り、映画は終わる。
…おそらくジョン・リー・フッカーともう1人の「ブルースの巨人」がイメージされていたのだろう。


Everyone will immediately leave the theatre and tell their family and friends about the marvelous picture they just saw. Eighty percent of the audience will see it at least twice.Camera: FADE OUT
Camera: THE END
みんな劇場を出たら直ちに今見たばかりの素晴らしい映画のことを、家族や友人に話すだろう。観客の80%が、最低2回はこの映画を見ることだろう。カメラ、フェイドアウト

THE END


The Blues Brothers - Jailhouse Rock (Elvis Presley cover) - 1080p Full HD

Jailhouse Rock

The warden threw a party in the county jail.
The prison band was there and they began to wail.
The band was jumpin' and the joint began to swing.
You should've heard those knocked out jailbirds sing.
Let's rock, everybody, let's rock.
Everybody in the whole cell block
was dancin' to the Jailhouse Rock.

所長が州刑務所でパーティを開いた。
そこには監獄バンドがいて
みんなが泣き出した。
バンドが飛び跳ねて
関節は踊りだした。
ノックアウトされたカゴの鳥たちが
歌うのが聞こえたはずだ。
ロックしよう、みんな、ロックしよう。
刑務所中の囚人が
監獄ロックで踊っていた。


Spider Murphy played the tenor saxophone,
Little Joe was blowin' on the slide trombone.
The drummer boy from Illinois went crash, boom, bang,
the whole rhythm section was the Purple Gang.
Let's rock, everybody, let's rock.
Everybody in the whole cell block
was dancin' to the Jailhouse Rock.

スパイダー·マーフィーがテナーサックス。
リトル·ジョーはスライド·トロンボーンを吹いていた。
イリノイ生まれのドラマーボーイはクラッシュしてドンブンバン。
リズムセクションは丸ごとパール·ギャングだ。
ロックしよう、みんな、ロックしよう。
刑務所中の囚人が
監獄ロックで踊っていた。


Number forty-seven said to number three:
"You're the cutest jailbird I ever did see.
I sure would be delighted with your company,
come on and do the Jailhouse Rock with me."
Let's rock, everybody, let's rock.
Everybody in the whole cell block
was dancin' to the Jailhouse Rock.

43号が3号に言った。
「お前ほどかわいい懲役は見たことがない。
友だちになれたら最高なんだけどな。
来いよ。一緒に監獄ロックをやろう」
ロックしよう、みんな、ロックしよう。
刑務所中の囚人が
監獄ロックで踊っていた。


The sad sack was a sittin' on a block of stone
way over in the corner weepin' all alone.
The warden said, "Hey, buddy, don't you be no square.
If you can't find a partner use a wooden chair."
Let's rock, everybody, let's rock.
Everybody in the whole cell block
was dancin' to the Jailhouse Rock.

負け犬サックは石の塊の上に座り
一人ぼっちで大声で泣きわめいてた。
所長が言った。
「なあきょうだい、スクエアになることはない。
相手をみつけられなかったら
椅子と一緒にやればいいじゃないか」
ロックしよう、みんな、ロックしよう。
刑務所中の囚人が
監獄ロックで踊っていた。


Shifty Henry said to Bugs, "For Heaven's sake,
no one's lookin', now's our chance to make a break."
Bugsy turned to Shifty and he said, "Nix nix,
I wanna stick around a while and get my kicks."
Let's rock, everybody, let's rock.
Everybody in the whole cell block
was dancin' to the Jailhouse Rock.

シフティ·ヘンリーがバグスに言った。
「天国のはからいだ。誰も見てないぞ。
脱獄するなら今がチャンスだ」
バグシーはヘンリーの方を向いて言った。
「だめだめ。しばらくここで楽しみたいんだ」
ロックしよう、みんな、ロックしよう。
刑務所中の囚人が
監獄ロックで踊っていた。


Dancin' to the Jailhouse Rock
Dancin' to the Jailhouse Rock
Dancin' to the Jailhouse Rock
Dancin' to the Jailhouse Rock

監獄ロックで踊ってた。
監獄ロックで踊ってた。
監獄ロックで踊ってた。
監獄ロックで踊ってた。


Elvis Presley - Jailhouse Rock (Music Video)

=翻訳をめぐって=

  • 「しゃーれた看守のはからいで」という漣健児の名訳があるわけだけど、ここでは正確さにこだわった翻訳を心がけてみた。
  • threw a party…throwという単語にはそれだけで「パーティを開く」「催す」という意味がある。
  • The prison band was there and they began to wail...wailは「声を上げて泣く、泣き叫ぶ、嘆き悲しむ、不平を言う」。「うれし泣き」と訳したいところだけどいくら探してもそうしたポジティブな訳語を見つけられないので、自重した。
  • the joint began to swing..,このjointは多分「体の関節」と訳すしかないのだと思う。誰か特定の人物をさすような言葉では、おそらくない。しかしそれだとjointsになりそうな気もする。確信の持てない訳詞。
  • jailbirdsは「囚人」。「カゴの鳥」と訳しても間違いではないと思うが、日本語ではどちらかと言えば「制度や慣習に縛られて自由になれない状態」に対して使う言葉であって、囚人を表現する言葉としてはあまり使われないと思う。
  • Spider MurphyLittle Joeは、エルヴィスのバンドメンバーだった人の名前だとのこと。
  • The drummer boy from Illinois went crash, boom, bang,…「イリノイ」という地名で「シカゴのギャング」をイメージさせようとしてるのだろうな。こういうの、あまり好きじゃない。私がイリノイ人なら、きっとイヤな気持ちになる。「どんぶんばん」はあまりに名訳なので、漣訳をそのまま使わせてもらいました。
  • Purple Gang1920年代にミシガン湖周辺地域で活躍した実在のギャング団の名前なのだとのこと。
  • sad sackは第二次大戦中の米軍で、「負け犬」や「弱虫」に対して使われた言葉だとのこと。ふん。私ならホメ言葉として受けとりたい。
  • squareは「四角形」→「四角張った人、堅苦しい人、まじめ人間、古臭い人、慣習にこだわる人、保守的な人」。ほぼ日本語化しているとも思うので、そのまま使った。
  • Shifty Henryは有名なロサンゼルスのブルースシンガーの名前。一方でBugs20年代に実在したBen “Bugsy” Siegel というギャングスターの名前なのだとのこと。
  • Nix…日本語の「やばい」と非常に近い意味で使われる間投詞だが、ここでは「ノー」の強調ぐらいの意味。
  • Dancin' to the Jailhouse Rock…「監獄ロックで踊ろう」と訳したくなってしまうところだが、これは Everybody in the whole cell block was dancin' to the Jailhouse Rock という歌詞の前半部分が省略されているだけだから、あくまで訳語は「踊ってた」である。日本のミュージシャンが「踊ろう!」と言いたい時に「ダンシング!」と現在進行形を使ってしまう「悪いくせ」は、このフレーズの「誤訳」に原因があったのではないだろうかといったようなことを、ちょっと思う。


やすっ!


平尾昌晃 かんごくロック 1958 / Jailhouse Rock

…最近亡くなった平尾昌晃さんのバージョンも、これを機会に改めて聞きたくなった。


監獄ロック 浜村美智子

…この人のバージョンは今回初めてきいたのだけど、漣訳にはない迫力があった。


奥田民生 監獄ロック

…絶対すぐに消されてしまいそうな気配が漂ってる動画だけど、奥田民生バージョン。

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ステージの後ろの文字は「It's never too late to mend (改心するのは今からでも遅くない)」



最初に机に跳びあがって踊りだす囚人の役を演じていたのは、イーグルスの中で私が一番好きなジョー・ウォルシュだった!知らなかった!うれしかった!







映画史上に残ると私が信じてやまないこのラストシーンは、台本段階ではずいぶん違ったイメージで構想されていたんだということが意外に感じられましたが、末尾の「観客の80%がもう一度見たいと思うだろう」という野望あふれる宣言まで含めて、最後はト書きをそのまま転載しました。足かけ1ヶ月にわたったブルースブラザーズ特集は今回をもって終了です。最後まで読んでくださったみなさん、とりわけ毎回欠かさずつきあい続けて下さったid:guzuniさん、id:soulknuckleさん、id:koharuwestさんの御三方の存在には、言葉に尽くせないぐらい勇気づけられてきました。読者数もPV数も減ってしまいましたが、完成したこの全訳をネットの片隅に貼り出し続けておけば、思いもよらないような形でいろんな人たちの役に立てることがあるであろうことを私は信じてやみません。何より私自身がずっとネットの上に探し続けてきたのがこうした「意訳でない本物の完全版」だったからです。応援してくださった皆さんに改めて熱く御礼申し上げます。ではまたいずれ!