華氏65度の冬

うたを翻訳するということ

Book Of Love もしくはコカコーラはお好きですか (1957.The Monotones)



最初に「American Pie」を聞いたのは、前にも書いたようにマドンナのバージョンだったのだけど、曲がアップテンポに変わってからの最初の歌詞である「Did you write the book of love」という部分が、なぜか私には「Do you like Coke Cola? (コカコーラはお好きですか?)」と聞こえた。そして、よく分からない歌詞ではあるけれど、最初にそういう質問を持ってくることで「アメリカ」に対するイメージを確認しようとしているのだろうな、などと、1人で納得していた。完璧に空耳だったことに気づかされたのは、10数年後のことである。

あと、歌詞の中の「pink carnation (ピンクのカーネーション)」という単語が「reincarnation (生まれ変わり)」と聞こえたりもしていて、ここにも意味は分からないなりに、宗教的なメッセージを感じとったりしていた。わざわざ宗教的な方向に聞き間違えるということは、自分の中にそういう要素があるということなので、何か、恥ずかしい感じがする。

それでもってじゃあ「Book of love」って何やねんという話になるわけなのだけど、いろいろな資料にはそれが「聖書」のことであると書かれており、私はずいぶん混乱させられることになった。だとしたら「Did you write the book of love」は「聖書を書いたのはあなたですか?」という意味になるのだけれど、その次の歌詞は「And do you have faith in God above/ If the Bible tells you so? (もし聖書にそうしろと書いてあったら、あなたは神を信じるんですか?)」となっている。「聖書を書いた人」に対する質問としては、明らかに不自然な内容なのだ。

Book of love」がそういう名前のヒット曲のタイトルだったのだということは、今回「American Pie」についての記事を書くために改めていろいろ調べてみて、初めて気づかされたことだった。これでようやく不可解だった歌詞の意味が「つながった」わけだが、しかしその「Book of love」という曲を、私は今まで1度も聞いたことがない。どんな曲だろうと思って聞いてみたら、こんな曲だった。


Book of love

Book Of Love

英語原詞はこちら


I wonder, wonder who, who-oo-ooh, who
(Who wrote the Book Of Love)

誰が書いたんだろう。
(「愛の教科書」を書いたのは誰?)


Tell me, tell me, tell me
Oh, who wrote the Book Of Love
I've got to know the answer
Was it someone from above

教えて教えて教えて。
「愛の教科書」を書いたのは誰?
知る必要があるんだ。
天にまします誰かなの?


(Oh, I wonder, wonder who, mmbadoo-ooh, who)
(Who wrote the Book Of Love)


I love you darlin'
Baby, you know I do
But I've got to see this Book of Love
Find out why it's true

愛してるんだよダーリン。
わかってるんだろう。
でも「愛の教科書」で確かめなくちゃ。
それが正しいと言いきれる理由を。


(Oh, I wonder, wonder who, mmbadoo-ooh, who)
(Who wrote the Book Of Love)

(Chapter One says to love her)
(You love her with all your heart)
(Chapter Two you tell her you're)
(Never, never, never, never, never gonna part)
(In Chapter Three remember the meaning of romance)
(In Chapter Four you break up
(But you give her just one more chance))

第1章には
「彼女を愛しなさい」と書いてある。
(ハートのすべてで愛しなさい)
第2章には
こう言いなさいと書いてある。
(ぼくは絶対絶対絶対離れはしない)
第3章には
「ロマンスの意味を覚えておきなさい」
第4章には終わらせ方が。
(でも彼女にはもう一回だけチャンスをあげること)


(Oh, I wonder, wonder who, mmbadoo-ooh, wWho)
(Who wrote the Book Of Love)

Baby, baby, baby
I love you, yes I do
Well it says so in this Book Of Love
Ours is the one that's true
Baby, baby, baby

愛してる。本当だよ。
「愛の教科書」にもそう書いてある。
ぼくらの「愛の教科書」は本物だよ。


(Oh, I wonder, wonder who, mmbadoo-ooh, who)
(Who wrote the Book Of Love)

(Chapter One says to love her)
(You love her with all your heart)
(Chapter Two you tell her you're)
(Never, never, never, never, never gonna part)
(In Chapter Three remember the meaning of romance)
(In Chapter Four you break up
(But you give her just one more chance)

(Oh, I wonder, wonder who, mmbadoo-ooh, Who)
(Who wrote the Book Of Love)

Baby, baby, baby
I love you, yes I do
Well it says so in this Book Of Love
Ours is the one that's true

(Oh, I wonder, wonder who, mmbadoo-ooh, who)
(Who wrote the Book Of Love)
I wonder who (yeah)
Who wrote the Book Of Love


The Monotones

…観客のみなさんが全員一緒に歌っている姿から、とても愛されていた曲だったのだなということは伝わってくるが、残念ながら私の心を鷲掴みにされるまでは至らなかったので、翻訳もテキトーなものになってしまった気がする。て言っか、恋の仕方までマニュアルに頼ろうというその姿勢が頂けない。

私の祖父は昔、料理に凝っていた時期があって、夏休みに遊びに行くと、NHKの料理番組の内容を事細かにメモした「男の料理帳」なるノートを、自慢げに見せびらかされたりした。それで、何か食べたいものはあるかと聞かれたので「お好み焼き」と答えたら、さっそく次の日、そのノートにもとづいて作ってくれた。のはいいのだが、出てきたものは私たちがいつも地元で食べているお好み焼きとは、似ても似つかぬ代物だった。とりわけ「自作のウスターソース」が、ひたすらセロリ臭くて味も薄くて、二口目からは苦痛でしかなかった。それで、「これはボクらの食べたかったお好み焼きではない」と、弟と一緒に感じたままの感想を口にすると、祖父はあからさまに機嫌を悪くして、「これはNHKが言う通りに作ったお好み焼きなんだ。お前らが普段どんなお好み焼きを食ってるのか知らんが、NHKがそう言ってる以上はこれが本当のお好み焼きというものなんだ」と怒り出した。そんな理不尽な話があるものかと思ったし、それ以来私はNHKが大嫌いになった。

その時のこととあのウスターソースの味を、何となく思い出してしまった。

今週のお題「私のおじいちゃん、おばあちゃん」


松本ちえ子 恋人試験

それともうひとつ、何となく思い出したのが、この曲だった。「100点とる人大嫌い」という歌詞は、今聞いてもすごく気が利いていると思う。あと、サビに近づいてくるにつれてメロディがどんどん「襟裳岬」と似通ってくる緊張感もたまらない。しかし「Book Of Love」から離れたところでいくら雑談を続けていても始まらないので、今回は「そういう曲でした」というだけにとどめて、次の曲に移ることにしたい。

ではまたいずれ。