華氏65度の冬

うたを翻訳するということ

Rebels もしくはHEY-HEY-HEY 〜追悼トム·ペティ②〜 (1985. Tom Petty & Heartbreakers)



前回触れた、私が聞いたことのある唯一のトム・ペティ&ハートブレイカーズのアルバムの中で、一番印象に残っていたのが、最初に収録されていたこの曲だった。今回調べてみて、85年のライブ・エイドで歌われていた曲だったのだということを、初めて知った。タンバリンのお姉さんたちのテンションが、ものすごい。そしてホーンセクションには「南部の気持ち」が込められているのを、聞き取ることができるように思う。

私は南軍旗が大嫌いだし、ステージに南軍旗を掲げるミュージシャンの歌は絶対に聞かない。

でも旗を振り回したりすることなく、こうした形で歌われる「南部の気持ち」には、げんしゅくな気持ちで向き合わねばならないといつも感じさせられる。


Rebels (Live Aid)

Rebels

英語原詞はこちら


Honey don't walk out I'm too drunk to follow
You know you won't feel this way tomorrow
Well - maybe I'm a little rough around the edges
Or inside a little hollow
I get faced with somethings sometimes
That are so hard to swallow - Hey!

ハニー、行かないでくれ。
おれはめちゃめちゃ酔っ払ってるから
追いつけない。
なあ、明日はそんな気持ちにはさせないからよ。
ええと、おれはたぶん
ちょっとだけ荒削りにできてるんだ。
心の中にちょっとだけ
穴が空いてるって言うか。
ときどき何かに向き合うと
それがものすごく納得できないことに思えてくるんだ。
ヘイヘイヘイ!


I was born a rebel
Down in Dixie on a Sunday morning
Yeah - with one foot in the grave
And one foot on the pedal
I was born a rebel

おれは叛逆者として生まれた。
ある日曜の朝に
ディキシーの片隅で。
ああ
片足を墓穴に突っ込んで
片足をアクセルの上に置いて
おれは叛逆者として生まれたんだ。


Well she picked me up in the morning
And she paid out my ticket
Yeah she screamed in the car
And left me out in the thicket
Well - I never would've dreamed
That her heart was so wicked
Oh - but I keep coming back
'Cause it's so hard to kick it
Hey, hey, hey

母親は朝、おれを連れて出かけ
おれの切符代を払った。
ああ
車両の中で母親は金切り声をあげ
おれを藪の中に置き去りにした。
何て言ったもんだろう。
おれは母親がそんな
ひどい心の持ち主だなんて
夢にも思ったことはなかった。
ああ、でも
おれは帰ろうとしつづけてる。
その思い出を振り払うのは
あまりに大変なことだから。
ヘイヘイヘイ!


I was born a rebel
Down in Dixie on a Sunday morning
Yeah - with one foot in the grave
And one foot on the pedal
I was born a rebel

おれは叛逆者として生まれた。
ある日曜の朝に
ディキシーの片隅で。
ああ
片足を墓穴に突っ込んで
片足をアクセルの上に置いて
おれは叛逆者として生まれたんだ。


Even before my father's fathers
They called us all rebels
Burned our cornfields
And left our cities level
I can still feel the eyes
Of those blue bellied devils
When I'm walking round tonight
Through the concrete and metal
Hey, hey, hey

親父やその親父やそのまた親父の頃から
おれたちは叛逆者って呼ばれてきた。
やつらはおれたちのトウモロコシ畑を焼き払い
おれたちの街を更地にしてしまった。
おれは今でもあの青い腹をした
悪魔たちの視線を感じることがある。
今夜コンクリートと金属の間を
うろついているこの瞬間にも。
ヘイヘイヘイ!


I was born a rebel
Down in Dixie on a Sunday morning
Yeah - with one foot in the grave
And one foot on the pedal
I was born a rebel

おれは叛逆者として生まれた。
ある日曜の朝に
ディキシーの片隅で。
ああ
片足を墓穴に突っ込んで
片足をアクセルの上に置いて
おれは叛逆者として生まれたんだ。

=翻訳をめぐって=

  • inside a little hollow…「心の中に空洞がある」と訳したが、「自分が空洞の中にいる」という意味かもしれない。
  • 'Cause it's so hard to kick it…ここの翻訳は、難しかった。「kick it」には「始める」「リラックスする」「習慣をやめる」等々のさまざまな意味がある。「記憶を振り払う」という意味だろうと思って上のように訳したが、誤訳かもしれない。
  • Of those blue bellied devils南北戦争の時、北軍の兵士たちが青い制服を着ていたことに由来する言い方だとのこと。
  • Through the concrete and metal…軍事的にだけでなく、経済的にも南部が「征服」されてしまった実感が込められた歌詞なのだという。なお、この曲の成り立ちについてトム・ペティ自身の語った言葉を見つけることができたので、それは紹介しておいた方がいいと思った。

It’s a story song, about a guy being arrested for being drunk and disorderly. And his frustration at basically what a screw-up he is. And he’s trying to blame it on his heritage. And it’s not really working… . But it wasn’t meant to be the theme of the South or anything. It was just a story, really, that dealt with this person who had problems and was trying to lay it on his heritage.
これはストーリーソングなんだ。酔っ払って騒ぎを起こして捕まった一人の男の歌。彼のフラストレーションは、自分の人生が何て大失敗だったんだってところに向けられている。そしてそれを彼は、自分の生まれのせいにしようとする。もちろんそんなことはうまく行かない…でも、これは南部とかそういうことをテーマにした歌ではない。そうやってあらゆる問題を自分の生まれのせいにしてしまおうとする、そういう人間のことを扱ったストーリーなんだ。

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