華氏65度の冬

うたを翻訳するということ

A New England もしくは世界の未来とあなたの未来 (1983. Billy Bragg) もしくは (1984. Kirsty MacColl)



男性が自分の歌として作った曲の女性によるカバーを、2回続けて取りあげてきたのだけれど、前々回の記事で

herhisに変えるだけで男の歌が女の歌に変わるのだとすれば、男のやることなすことと女のやることなすことというのは、実は全然違っていないのだろうなという感じがする。

などと聞いた風な口を叩いたことについて。取り消さなければならないと思う。そう思わされる歌が見つかった。何でこの歌のことを忘れていたのだろうかと思った。

この歌は、このブログの最初の方で1回だけ取りあげたことのあるビリー・ブラッグという人が、エレキの弾き語りという斬新なスタイルでデビューして「ひとりクラッシュ」とか呼ばれていた、83年当時に作ったものである。それをカースティ・マッコールという人が翌年にカバーして、全英トップ10に入るヒットになった。両方のバージョンの動画と試訳を貼りつけておいたので、まずは鑑賞してみて頂けたらと思う。最初はビリーでその次がカースティ。


A New England

A New England

英語原詞はこちら


I was twenty one years when I wrote this song
I'm twenty two now, but I won't be for long
People ask when will you grow up to be a man
But all the girls I loved at school
Are already pushing prams

この歌を書いたとき
ぼくは21歳だった。
いまは22歳で
それも長いことじゃない。
いつになったら一人前のオトコになるんだって
周りはみんな言うけれど
学校に行ってた頃に好きだった女の子たちは
みんなもう乳母車を押してるんだよな。


I loved you then as I love you still
Though I put you on a pedestal,
They put you on the pill
I don't feel bad about letting you go
I just feel sad about letting you know

ぼくはきみが好きだったし
いまでもきみが好きだ。
ぼくはきみを
あがめたてまつっていたけど
周りはきみにピルを飲ませた。
きみと別れることについて
悪いことをしたとは思わない。
ただ悲しいと思うのは
それを伝えなきゃいけないことだ。


I don't want to change the world
I'm not looking for a new England
I'm just looking for another girl
I don't want to change the world
I'm not looking for a new England
I'm just looking for another girl

別に世界を変えようなんて思っていない。
イングランドのあるべき姿を
探し求めてるわけでもない。
ぼくはただ
新しい女の子を探してるだけ。
世界を変えようなんて思っていない。
イングランドのあるべき姿を
探し求めてるわけでもない。
ぼくはただ
新しい女の子を探してるだけ。


I loved the words you wrote to me
But that was bloody yesterday
I can't survive on what you send
Every time you need a friend

きみがぼくに
書いてくれる言葉が好きだった。
でも今となっては
血塗られた過去だ。
友だちの力が必要になるたびに
きみが送ってくれるもの
それだけじゃぼくは
生きて行けないんだな。


I saw two shooting stars last night
I wished on them but they were only satellites
It's wrong to wish on space hardware
I wish, I wish, I wish you'd care

きのう流れ星をふたつ見た。
ぼくはそれに願いをかけた。
でもそれはただの人工衛星だった。
宇宙のハードウェアに
願い事だなんて間違ってるよな。
ぼくは願ってるんだ。
願ってる。
きみがぼくのことを
おもっていてくれますようにって。


I don't want to change the world
I'm not looking for a new England
I'm just looking for another girl
I don't want to change the world
I'm not looking for a new England
I'm just looking for another girl

別に世界を変えようなんて思っていない。
イングランドのあるべき姿を
探し求めてるわけでもない。
ぼくはただ
新しい女の子を探してるだけ。
世界を変えようなんて思っていない。
イングランドのあるべき姿を
探し求めてるわけでもない。
ぼくはただ
新しい女の子を探してるだけ。


Looking for another girl
Looking for another girl
Looking for another girl

女の子を探してる。
女の子を探してる。
女の子を探してる。


kirsty maccoll new england

A New England

英語原詞はこちら


I was 21 years when I wrote this song
I’m 22 now but I won’t be for long
People ask me when will I grow up to understand
Why the girls I knew at school are already pushing prams

この歌を書いたときは
21歳だった。
いまは22歳で
それも長いことじゃない。
いいかげんにオトナになって
学校で知ってた子たちが
今はもう乳母車を押してるのはどうしてなのか
考えてみろって
周りは言うんだけどね。


I loved you then as I love you still
Though I put you on a pedestal you put me on the pill
I don’t feel bad about letting you go
I just feel sad about letting you know

私はあなたが好きだったし
今でもあなたが好きだ。
私はあなたを
あがめたてまつっていたけど
あなたは私に
ピルを飲ませたよね。
あなたと別れることについて
悪いことをしたとは思わない。
ただ悲しく思うのは
それを伝えなきゃいけないこと。


I don’t want to change the world
I’m not looking for a new England
Are you looking for another girl?
I don’t want to change the world
I’m not looking for a new England
Are you looking for another girl?

私は世界を変えようなんて思っていない。
イングランドのあるべき姿を
探し求めてるわけでもない。
あなたは
新しい女の子を探してるのかな。
世界を変えようなんて思っていない。
イングランドのあるべき姿を
探し求めてるわけでもない。
あなたは
新しい女の子を探してるのかな。


I loved the words you wrote to me
But that was bloody yesterday
I can’t survive on what you send
Every time you need a friend

あなたが書いてくれた
言葉が私は好きだった。
でも今となっては
血塗られた過去だ。
友だちの力が必要になるたびに
あなたが送ってくれるもの
それだけじゃ私は
生きて行けないんだな。


I saw two shooting stars last night
I wished on them but they were only satellites
It’s wrong to wish on space hardware
I wish, I wish, I wish you’d care

きのう流れ星をふたつ見た。
私はそれに願いをかけた。
でもそれはただの人工衛星だった。
宇宙のハードウェアに
願い事だなんておかしいよね。
私は願ってる。
願ってる。
あなたが私のことを
おもっていてくれますようにって。


I don’t want to change the world
I’m not looking for a new England
Are you looking for another girl?
I don’t want to change the world
I’m not looking for a new England
Are you looking for another girl?

私は世界を変えようなんて思っていない。
イングランドのあるべき姿を
探し求めてるわけでもない。
あなたは
新しい女の子を探してるのかな。
世界を変えようなんて思っていない。
イングランドのあるべき姿を
探し求めてるわけでもない。
あなたは
新しい女の子を探してるのかな。


My dreams were full of strange ideas
My mind was set despite your fears
But other things got in the way
I never asked that boy to stay

私の夢は
へんな思いつきでいっぱいだった。
あなたは心配してたのに
私の心は決まっていた。
でも他のことがじゃまをして
私は彼氏に
行かないでって言えなかった。


Once upon a time at home
I sat beside the telephone
Waiting for someone to pull me through
When at last it didn’t ring I knew it wasn’t you

むかしむかしのこと
私は家で
電話のそばに座ってた。
誰かが私を
何とかしてくれるのを待っていた。
そして電話がついに鳴らなかった時
それはあなたじゃなかったんだって
私にはわかった。


I don’t want to change the world
I’m not looking for a new England
Are you looking for another girl?
I don’t want to change the world
I’m not looking for a new England
Are you looking for another?

私は世界を変えようなんて思っていない。
イングランドのあるべき姿を
探し求めてるわけでもない。
あなたは
新しい女の子を探してるのかな。
世界を変えようなんて思っていない。
イングランドのあるべき姿を
探し求めてるわけでもない。
あなたは
新しい女の子を探してるのかな。


I don’t want to change the world
I’m not looking for a new England
Are you looking for another girl?


Looking for another girl?
Looking for another girl?
Looking for another girl?


Girl?
Girl?
Girl?

=翻訳をめぐって=

カースティ・マッコールのバージョンの方がやや長いのは、シングル曲として発売するにあたって原曲の歌詞だけでは短すぎるので、ビリー・ブラッグが自ら彼女のために歌詞を書き加えたのだとのこと。その上で後者の歌詞がところどころ「女性バージョン」になっているのが、カースティによるアレンジなのかビリーブラッグによる改作なのかは、資料が見つからなかったので、分からない。

当初は「どこが決定的に違うのか」ということについていろいろ思いついたことを書こうかと思っていたのだけれど、評論的なことを書いても仕方がない気がする。それに「確かめたいこと」がふたつほどあるので、それを確認しないまま憶測で適当なことは書けない。とりあえずビリーブラッグが歌うこの歌とカースティ・マッコールが歌うこの歌は、ちょっとしか違わないけれどやはり完全に「違う歌」なのだということを、事実として提示できれば今回はそれでよしとしようと思う。あれこれ言うのは別の機会に回したい。

何しろ、いい曲でしょ。

ではまたいずれ。

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