華氏65度の冬

うたを翻訳するということ

Milkman Of Human Kindness もしくは忝のうございますの牛乳屋さん (1983. Billy Bragg)


誰だってみんな 優しい人ばかり
だから お早うございますの 帽子屋さん
微笑む時は 誰でも優しい人ばかり
だから お早うございますの 帽子屋さん
赤い帽子 紫の帽子 みんなにあげます
ひとつずつ ルル……
笑ってください そして手をつないで

谷山浩子「お早うございますの帽子屋さん」1975年


Milkman Of Human Kindness

Milkman Of Human Kindness

英語原詞はこちら


If you're lonely, I will call -
If you're poorly, I will send poetry

もしもさみしかったら
私が訪ねて行ってあげます。
もしも元気がなかったら
私がポエムを贈ってあげます。


I love you
I am the milkman of human kindness
I will leave an extra pint

愛してますよ。
私は人間のやさしさを運ぶ牛乳屋さん。
1パイントおまけしときますね。


If you're sleeping, I will wait
If your bed is wet, I will dry your tears

もしもあなたが寝ていたら
私は待ちます。
もしもあなたのベッドが濡れていたら
私が涙をふいてあげます。


I love you
I am the milkman of human kindness
I will leave an extra pint

愛してますよ。
私は人間のやさしさを運ぶ牛乳屋さん。
1パイントおまけしときますね。


Hold my hand for me I'm waking up
Hold my hand for me I'm waking up
Hold my hand for me I'm making up
Won't you hold my hand - I'm making up

私のために手を握ってください。
シャキッとしたいんです。
手を握ってください。
シャキッとしたいんです。
私のために手を握ってください。
決心しなくちゃいけないと思うんです。
手を握ってくださいませんか。
決心しなくちゃいけないと思うんです。


If you are falling, I'll put out my hands
If you feel bitter, I will understand
I love you
I am the milkman of human kindness
I will leave an extra pint

もしあなたが危なくなったら
手を差し伸べます。
あなたがつらい時には
理解します。
愛してますよ。
私は人間のやさしさを運ぶ牛乳屋さん。
1パイントおまけしときますね。


お早うございますの帽子屋さん

=翻訳をめぐって=

私の心はよごれてしまったのだろうか。昔はそんなこと全然思わなかったのに、いま聞いてみるとこの牛乳屋さんがとても「うさんくさい人」なのではないかという気がしてきてしまう。

けれども私がこのブログを始めた時にそもそも自分がやりたかったことというのは、それこそこの牛乳屋さんみたいなことだったのではないかとも、一方では強く思うのである。

翻訳をめぐって、特に解説が必要なことはないと思う。歌詞の中の1パイントは568ccにあたるということぐらいだろうか。普通のペットボトル一本分より一回り多い。日本の牛乳瓶には200ccしか入っていないけど、イギリスの牛乳瓶はでかいのだな。

この曲はビリー・ブラッグのデビューアルバム「Life's A Riot With Spy Vs Spy (人生はスパイVSスパイのお祭り騒ぎだ)」の冒頭を飾る曲。この人の3枚目の「Talking With The Taxman About Poetry (税務署の人間と詩について語る)」は、ここ10年で私が出会った中では最も再生回数が多いアルバムのひとつなのだけど、歌詞が結構むずかしく、どういうことが歌われているのかいまいちハッキリとその内容をつかめずにいる。(もっとも、イギリスの人にとっては極めて平易な内容で歌われているのだと思う。なまじ平易な内容だから外国人にとってはかえって難解になるということが、ことばの世界では往々にして起こる。ニュースや国会答弁の日本語しか知らない人が上方落語を聞く時の「大変さ」を想起されたい)。

一番好きな「シェリー」という曲について、初期の段階で翻訳を試みてみたのだが、思うように行かなかったもので、それから最近まで、この人の曲は取りあげてこなかった。しかし、たとえ不十分でもまずは訳してみることが大切なのではないかという気が、してきている。現在のところ、日本語のネット世界でこの人に関する情報は非常に少ないのだけれど(だって、Wikipediaにさえ項目がないのだ)、それならなおのこと「ビリーブラッグについて知りたければまず『華氏65度の冬』を読めばいい」と胸を張って言えるような内容の記事を、自分で書くのが筋なのである。そうすれば、決して数が多いわけではない日本のビリー好きの人たちはおのずと集まってきてくれるのだから、誤訳をただしてもらえたり楽曲についてより深く教えてもらえたりする機会も、それだけ増えてゆくというものではないだろうか。誰かが書いてくれるのを待っているだけでは、たぶん誰も書いてくれないまま終わってしまうのだ。

そんなわけで、200曲目以降せっかく順調にPV数を伸ばしているこのブログではあるのだけれど、ここで再び「趣味に走る」ことにします。次回以降、しばらくにわたって、「Talking With The Taxman About Poetry」のアルバム全訳にエネルギーを注ぎ込むことにしてみたいと思います。興味のない皆さんは適当にスルーして頂ければ結構なので、読者をやめるといったような極端な行動にまでは走らないで頂けると幸いです。そのうちまたビートルズも訳しますので(…こういう物言いこそ、それこそ読者の方に対して失礼というものかもしれないな)

何はともあれまたいずれ。

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The Milkman of Human Kindness

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