華氏65度の冬

うたを翻訳するということ

Roaming Sheep もしくは尋羊冒險記 (1993. おおたか静流)


FFⅢ OP

Roaming Sheep

さまよえるひつじ

Roaming sheep in serch of the place you've never known
Listen to the until you can hear the sign

見知らぬ場所を捜して
さまよえるひつじよ
「風」に耳をすましなさい
みちびきの声が聞こえるように


Roaming sheep in front of the gate that's closed so tight
Take a rest on the until you can find the key

かたく閉ざされた門の前で
さまよえるひつじよ
「大地」の上で休みなさい
鍵が見つかるように


Roaming sheep in search of the people full of love
Bathe yourself in the until your minds soothed again

愛に満ちた人を捜して
さまよえるひつじよ
「水」でからだを清めなさい
たましいが再び静まるように


Roaming sheep in front of the deep and dreamless sleep
Here you're by the able to warm your heart

夢のない深い眠りに
さまよえるひつじよ
そばに「火」があるでしよう
心をあたためなさい


Each and every moment
Oh,as time goes by
All in this world has to change

時の流れとともに
すべてのものは変わりゆく


Roaming sheep in serch of the place you've never known
Better take your breath until you can hear the sign

見知らぬ場所を捜して
さまよえるひつじよ
息をととのえてごらんなさい
みちびきの声が聞こえるように


Roaming sheep in serch of the place you've never seen
Better watch your step until you can find the key

まだ見ぬ場所をさがして
さまよえるひつじよ
足元をごらんなさい
鍵が見つかるように


Roaming sheep in serch of the place you may never reach
Better love < yourself> Tomorrow's another day

たどり着けぬ場所を捜して
さまよえるひつじよ
「あなた自身」をいつくしみなさい
明日はひかりがみえるでしょう


原詞·訳詞とも、おおたか静流さんのウェブサイトにかつて掲載されていたものを転載させて頂きました。







この曲は「ファイナルファンタジーⅢ」というゲームソフトのイメージソングになっていたらしいが、私はそのゲームをやったことがない。知っていたのは大昔に周防正行監督の「シコふんじゃった」という映画を深夜テレビで見て以来、おおたか静流さんの音楽が大好きだったからである。

「青春というものにこんなに見事に決着をつけてみせた小説を他に知らない」というのは、それと同じくらい大昔に読んだ、村上春樹の「羊をめぐる冒険」についてのとある書評だった。「そんな小説なら、読んでみなければならない」と、自分自身が青春に決着をつけねばならない必要性を感じ始める年頃を迎えていた私は、思った。それで、読んでみた。

読んでみた感想は、「青春に決着をつけるって、こういうことなのか?」というものだった。

でも、心には残った。

ちなみにそれ以来、他の村上春樹の作品もいろいろ読んではみたものの、どれひとつとして、「読んでよかった」と思える気持ちになれたものはない。むしろ読めば読むほど、イライラしてくる。「やれやれ」と「悪くない」だけで世の中渡って行けると思ったら大間違いだぞ、という感想しか、私の荒んだ心からは出てこない。

けれども「羊をめぐる冒険」だけは、とても素直に読めた。そしてその時以来、「青春に決着をつける」という言葉は自分の心に引っかかって離れないテーマとなり、今に至っている。つまりは、10代の日々が20年以上昔のことになってしまおうとしている現在もなお、私は自分の青春に何ら決着をつけきれていないということなのである。

このブログを書き始めた理由も、結局はそこに存在している。

現在「スマホ断ち」を宣言して一心不乱に次回作品の制作に取りかかっておられるはずの「ミチコオノ日記」の作者の人も、恐らくはどこかにそうした気持ちと言うか、感覚みたいなものを持っているのではないかと思う。うまく言えないけれど、ああいう風に青春もしくは思春期をテーマにした作品を描き続けている人は、描いて形にすることを通してしか、「自分の中の青春」を「外に追い出す」ことができないのではないかという気がする。

そしてそれは、絵を描く人たちに限ったことではない。何であれ「外に出して形にする」という作業を通してしか、人間「自分の中にあるもの」とは、「向き合う」ことができないのである。そして「外に出されてしまったもの」は、もはや二度と「自分の一部」になることはない。

自分の青春というものに、私はまだ決着をつけることができているわけではないのだけれど、「つく」時には恐らくそういう形で「つく」ことになるのだろうなと、漠然と思っている。何十歳になれば「つく」のにかに関しては、全く想像がつかないのだけど。

そしてその時には恐らく「あふれる熱い涙」がこぼれるのだろうなとも、何となく思っている。ちょうど「羊をめぐる冒険」の主人公が、他の村上春樹の作品の中では一度も見せたことのないような形で、そうしてみせたようにである。

そんな村上春樹の小説が、21世紀の中国ではもうずっと以前から大人気になっているらしい。かつて私が中国語の勉強を始めた頃にネットで初めて出会った友人は、「日本語で村上春樹を読めるようになるのが目標」だという、自分より二回りぐらい若い人だった。何を読みたいのかと尋ねたら「挪威的森林」だというので、おいおいと思った。いくら顔が見えない気安さがあっても、男目線で書かれたあんなえろい作品について、二回りも年下の人とあれこれ話ができるほど、私の面の皮は厚くない。

その代わりと言っては何だけど、私が日本語で「羊をめぐる冒険」を朗読するから、そちらは中国語で「尋羊冒險記」を朗読してみてくれないかと提案してみたところ、その人は気持ちよくOKしてくれた。それで、交換日記みたいな形で音声ファイルのやり取りがずいぶん長いこと続いた。おかげで「村上春樹的な中国語」には、ずいぶん詳しくなった。

その時こちらから送った音声ファイルを、今回思うところあって、まとめてYouTubeに上げてみた。あんまり大っぴらにやっていいことではないと思うので、あくまで「日本語を勉強している外国の人たちのための学習資料」という形をとっているのだけれど、興味がある人がいたら、聞いてみてください。↓
尋羊冒險記 A Wild Sheep Chase - YouTube

「思うところあって」と書いたのは、「ミチコオノ日記」を通じて知り合った下記の方のブログ記事を読んで、まるで「羊をめぐる冒険」そのものじゃないかと、ビックリしたからである。それで「読んだことありますか」と尋ねたら、「ない」という。それなら、読んでみてもらうしかないと思った。

kao-kao.hatenablog.jp

紹介されたkao-kaoさんも、もちろんビックリしていたけれど、「不思議な出会い」を感じたのは私の側も同じである。「ミチコオノ日記」というブログと出会った先月あたりから、私の周辺にはうねりのようにいろんな「出会い」が渦巻いている。個々人の思いや考えに関わらず、いろんな人の人生にいっぺんにいろんなことが起こるのは、こういう時なのかもしれない。

だから私もちょっとだけ「新しいこと」を始めてみたくなった。

私は「自分でゼロから新しいものを作り出す」ということは何もできない人間なのだけど、「人が作ったものを味わいつくしたい」ということに関しては、割とこだわりを持っている。そしてその意味で、翻訳と朗読ということは、とてもよく似ている。どちらも「人の作った作品」の力を借りてではあれ、私自身にとってはそれが「自分の中にあるものを外に出して決着をつける」ための、デトックスにも似た作業になるのである。

だから私は翻訳と同じくらい朗読ということにもこだわりを持ってきたのだけれど、あくまで「自分のための趣味」としてであり、ごく限られた相手を除いては、人に聞かせるものではないと思ってきた。

でも今回のことをきっかけに、「朗読」に関してもこれからは少しずつ、自分が読んできたものを紹介させてもらおうかと考えている。

それをこのブログでやるのがふさわしいかどうかということについては、今のところまだ検討中なのですけどね。


私は羊

ではまたいずれ。
でぃどぅどぅんだん。

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羊をめぐる冒険

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