華氏65度の冬

うたを翻訳するということ

Wishing The Days Away もしくはダーリンラムネを買ってきて (1986. Billy Bragg)



id:fukaumimixschool さんのブログ「ミチコオノ日記」から、ジャケット画像を頂きました。
nagi1995.hatenadiary.com

Wishing The Days Away

英語原詞はこちら


On Monday I wished it was Tuesday night
So I could wish for the weekend to come
On Tuesday I wished that the night would pass
So I could call you on the phone
Now a man can spend a lot of time
Wondering what was on Jack Ruby's mind
And time is all I have without you here

月曜日にはこれが
火曜日の夜だったらいいのにって思った。
少しでも早く週末が
回ってきてほしいから。
火曜日になったら今度は
夜が早く過ぎることばかり願ってた。
そしたらきみに
電話をかけることができるだろ。
ひとりの男が本気になれば
ジャック·ルビーの頭の中を
想像してみたりすることだけで
時間をいっぱいつぶせるんだぜ。
ぼくにあるのは時間だけで
ここにはきみがいないんだ。


On Wednesday when you hung up
It was as much as I could do
To stop from wishing Thursday
Would pass so quickly too
They're out there making history
In the Lenin Shipyards today
And here I am in the Hammersmith Hotel
Wishing the days away

水曜日にはきみが忙しくて
ぼくは木曜日も同じくらい
あっという間に過ぎてくれればいいのにって
思うのをがまんするだけで
精一杯だった。
いまポーランドのレーニン造船所では
みんなが歴史を作ってる。
ぼくはこのハマースミス·ホテルで
毎日が早く過ぎ去ってくれることだけを
願っている。


There's always room for one more soul
Down in the Human Zoo
I don't want you to come here though
I want to come home to you
Somebody's knocking at the door
Its later than I think
And its time to put on these stinking clothes
And get out there and stink

人間動物園に行けば
もう一人分のスペースがいつも空いている。
きみに家には来てほしいけど
ここには来てほしくない。
誰かがぼくのドアを叩いた時には
思ってたより遅い時間になっていた。
ひどい体臭がしみついた服を着て
出ていかなくちゃ。
くさいぜ。
くさってるぜ。


On Friday I wished there was something more
To be seen in the letters you send
On Saturday I wished it was Sunday
Oh will this torment ever end
Sometimes I get a notion to put a torch
To the tools of my trade
Here I am in the Hammersmith Hotel
Wishing the days away

金曜日には
きみが送ってきてくれた手紙に
もっといろんなことは書いてないものかって
そんなことばかり願ってた。
土曜日には
今日が日曜日ならいいのにと思った。
ああこの拷問は終わるのだろうか。
ときどき自分の仕事の道具に
懐中電灯を加えた方がいいんじゃないかって
気持ちになることがある。
ぼくはこのハマースミス·ホテルで
毎日が早く過ぎ去ってくれることだけを
願っている。


Wishing The Days Away

=翻訳をめぐって=

  • Jack Ruby…1963年にアメリカ大統領ジョン・F・ケネディを暗殺した実行犯として逮捕されたリー・ハーヴェイ・オズワルドにダラス警察署内のマスコミの面前で発砲し射殺した人物。オズワルドが犯人だったということも「義憤にかられた」というジャック·ルビーの殺害動機も当時から誰一人信じる人がいなかったにも関わらず、3人の人間が死んだという真実だけが我々の前に残され続けている。ついこないだ、トランプがJFK暗殺に関する機密文書を全面公開すると発表したけれど、結局大事そうな部分は全然出てきませんでしたね。
  • Lenin Shipyardsポーランド民主化運動の主人公となった、独立自主管理労働組合「連帯」が拠点をおいていた造船所。「労働者の国家」を自称していた旧ソ連-東欧圏において、労働者自身が政府の抑圧に抗し立ち上がったこの「連帯」運動は、その後東欧全体を席巻する民主化運動の先駆けとなった。ただしこの経過が「資本主義の勝利」みたいな形でまとめられることに対しては、私は疑問を感じている。
  • Hammersmith Hotel…「ハマースミス宮殿の白人」というデタラメな邦題がつけられたクラッシュの歌があるが、あそこで「宮殿」と訳されている「palace」はライブハウスの名前であり、この「ハマースミス·ホテル」とは直接は無関係だと思われる。「ハマースミス」はそもそもロンドン西部の地名であり、イングランド北部の田舎の出身であるビリーブラッグはそこのホテルを上京時のねぐらにしていたということなのだろう。たぶん。
  • 3番は「オルタナティブ·バージョン」として、別の歌詞で演奏されているテイクが存在する。YouTubeで聞けるのは上記の歌詞だが、iTunesミュージックで配信されているのはオルタナバージョンの歌詞である。その別歌詞は以下の通り。

Wasn't it a shock to find
The king was human too?
Still I think he understands
Much more of me than you do.
It seems a proper shame to steal,
His clothes but not his crown,
Here I am in the Hammersmith hotel,
Singing the government down.

王様も人間なんだって気づいた時には
ビックリしなかった?
今でもあの人の方がぼくのことを
きみよりよくわかってるんじゃないかと
思う時がある。
盗みを恥じることは
正しいことであるようだ。
王冠はともかく
あの人の服に関してはね。
ぼくはこのハマースミス·ホテルで
政治の歌を歌っている。

…何だかよく分からない歌詞だが、つまるところ「国王などというのはドロボーと一緒だ」という内容のことが、英国的な持って回った言い方で歌われているのであろう。いま私はこの記事を伊勢名物赤福を食べながら書いているのだが、包み紙には「皇室献上品」の文字が躍っている。ドロボーと違うのは、奪われた側の人間がなぜかそのことに感激しているという点ぐらいのことだろう。

  • Down in the Human Zoo…「ハマースミス·ホテル」のことを別な言い方で表現しているのだと思われる。ブルースブラザーズの映画に出てきたみたいな、安ホテルなのだろうね。
  • Sometimes I get a notion to put a torch / To the tools of my trade…ここだけは、どういう内容のことを歌っているのか全く想像がつかない。とりあえず、直訳しておいた。


ジッタリンジン にちようび

ではまたいずれ。

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