華氏65度の冬

うたを翻訳するということ

High Fidelity もしくは昔ハイファイ今ワイファイ (1980. Elvis Costello & The Attractions)


High Fidelity

High Fidelity

英語原詞はこちら


Some things you never get used to
Even though you're feeling like another man
There's nothing that he can do for you
To shut me away as you walk through
Lovers laughing in their amateur hour
Holding hands in the corridors of power
Even though I'm with somebody else right now

まるで別の人間になったように
感じることがあったとしても
絶対に慣れることができない
ことというのがいくつかある。
おまえが歩こうとしている道から
おれを閉め出すことは
あいつにはできない。
アマチュア時代の時間を
笑いあっている恋人たち。
権力の回廊で
お互いの手を握りあっている。
もしもおれがこの瞬間
他の誰かといたとしても。


High fidelity
Can you hear me?

ハイ·フィデリティ
「高い忠実度」という名を持つおまえよ。
聞こえるか?


There's a new kind of dedication
Maybe you'll find it down the tunnel
Maybe I got above my station
Maybe you're only changing channels

新しいタイプの
献身というものがある。
おまえはそれを
トンネルの奥で見つけるかもしれない。
あるいはおれは
身の程知らずなのかもしれない。
あるいはおまえは変わり続ける
たったひとつの
チャンネルなのかもしれない。


Even though you're nowhere near me
And I know you kiss him so sincerely now
Even though the signal's indistinct
And you worry what silly people think
Who just can't wait to feel so frozen out
I bet he thinks that he was chosen out of millions
I suppose he'll never know about

おまえがおれのそばの
どこにもいなくて
そしておまえがあいつに今
心からのキスを贈っていることが
おれに分かっていたとしても
たとえ気配はハッキリしなくて
そしてふざけた連中が
寒さに耐えかねて出ていく人間のことをどう考えてるかを
おまえが気にしていたとしても
あいつは自分が100万人の中から
選ばれた一人だと
思ってるに違いないとおれは思うね。
あいつにはきっと最後まで
わからないだろうね。


High fidelity
Can you hear me?
High Fidelity

ハイ·フィデリティ
「高い忠実度」という名を持つおまえよ。
聞こえるか?
ハイ·フィデリティ

=翻訳をめぐって=

「ハイ·フィデリティ」というのは、よく耳にする「ハイファイ」という言葉の「略さない言い方」で、「高忠実度、高再現性」という元々の意味から転じ、音響機器などにおいて「原音や原画に忠実な再現」という意味を持つ言葉。昔「ハイ·ファイ·セット」という名前のバンドがあったけど、そういう意味だったのかということは今の今まで知らなかった。

一方「ワイファイ」のワイは「ワイヤレス(無線)」のワイらしいのだけど、「ファイ」の方には意味がないらしい。無線LANの規格に名前をつける必要が生じた際に「ハイファイ」をもじってつけられた名前というだけのことであるらしく、Wikipediaには「無線LANの国際標準規格であるIEEE 802.11規格を使用したデバイス間の相互接続が認められたことを示す名称」という定義が載っていたが、元々意味がよく分からないまま使っていた「ワイファイ」という言葉の意味が、なまじ調べてしまったせいで一層わからなくなってしまった。「相互接続が認められたことを示す名称」って、何なのだろう。「相互接続が認められている状態を示す名称」ならまだ意味を類推できるのだが、何しろ意味が分からないので、勝手に添削するわけにも行かない。

コンピュータ用語って、本当にわからない。パソコンを「立ちあげる」という言い方を初めて聞いた時から、もう完全に分からない。「立ちあがる」は自動詞なのである。何で「が」を「げ」に変えるだけで、そんな無造作に他動詞化できるのだろう。せめて「立てあげる」と言うべきではないのだろうか。て言っかどうして「立ちあがらせる」と言えないのだろうか。という違和感がチクチク胸を刺すのだが、何しろ「立ちあげる」の意味が今でも分かっていないものだから、文句を言いたくても言えない。本当に、どうして「パソコンをつける」じゃいけないのだろう。

コステロが歌うこの歌の内容はといえば、相変わらず分かりにくい。冒頭の部分に「Even though you're feeling like another man」という言い回しが出てきたので、歌詞の中の「you」は男性なのかと最初は思ったのだったが、この「you」は「人にはそれぞれ事情がある」の「人には」を英語化したような言い方であるようなので、特定の二人称というわけでもないらしい。そして他の部分の「you」は明らかに「女性の恋人」を指している。

歌のテーマは「恋人の裏切り」なのだと考えて間違いないと思う。その上で「ハイ·フィデリティ」というサビの繰り返しをどう解釈するかなのだが、自分に忠実であることを約束していたはずのかつての恋人をなじっているようにも聞こえるし、あるいは「ハイファイ」のロゴが入ったレコードプレイヤーか何かを相手に部屋で一人でグチっているような内容にも聞こえる。とにかく言えるのは、恋人に裏切られた状態にあるこの主人公にとって「ハイ·フィデリティ」という言葉は「皮肉な響き」を持っているのだろうなということである。

…今回の記事は初めから終わりまで、自分でも何を書いてるのかさっぱり分からない。分からないことの上で、この曲のPVのコステロの歌い方や動き方は、「怒るでしかし」を連発している横山やすしのようでとても面白かった。それだけ。またいずれ。

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High Fidelity

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