華氏65度の冬

うたを翻訳するということ

Riverdance もしくは大河之舞 (1994. Bill Whelan)



このブログのテーマは「うたを翻訳すること」なので、歌詞のついていない音楽のことをどんな風に取りあげたらいいのかということが非常に悩ましいのだが、布袋寅泰氏のファンサイトの人が親切にもネットに上げてくれていたセットリストを読み直してみるならば、1994年の5月に奈良の大仏の前で開催されたユネスコ主催のコンサート、「GME'94 "AONIYOSHI"」の「歌以外の部分」は、ざっと以下のような人たちによって支えられていた。

東京ニューフィルハーモニック管弦楽団
劉宏軍と天平楽府
レナード衛藤と彼の率いる和太鼓集団
近藤等則
ウェイン·ショーター
ザ·チーフタンズ


=House Band=
Ray Cooper (Percussion)
Jim Keltner (Drums)
Phil Palmer (Guitar)
Pino Palladino (Bass)
Wix Wickens (keyboards)
Ed Shearmur (keyboards)


AONIYOSHI OVERTURE

東京ニューフィルハーモニック管弦楽団を指揮していたのは、非常にいかついヒゲ面が印象的なおじさんで、多くの映画音楽を手がけていたマイケル·ケイメンというアメリカ人の作曲家だったことを後に知る。私が本物のオーケストラというものを見たのは確かこの時が初めてで、舞台そのものが巨大な船となってこちらに押し寄せてくるかのような迫力を感じたのを覚えている。

劉宏軍と天平楽府は、正倉院に保存されている大昔のシルクロードの楽器を復元して現代風のアレンジで演奏するということをやっていた人たちで、その後も奈良では平城遷都1300年などの節目節目で登場していた。「やっていた」と過去形で書いたが、Wikipediaに項目がなかったので、今でもやったはるのかどうかは分からない。こういう試みには心惹かれる部分もあるのだけれど、奈良時代といえば日本列島の大半の人々が縄文時代と変わらない生活をしていたはずの時代であり、そんな中でごく一部の人間がこんなキンキラキンの格好をして暮らすのを保証するために、関東や九州から連れてこられた人たちが奴隷労働を強制されていたのだということを思うと、真似したい気持ちにはあんまりなれない。十二単や何かから「武士道」みたいなものに至るまで、こういうのが「日本文化」として海外に発信されることに対しては、私は一貫して懐疑的な気持ちを持っている。このことは、書いておくしかないと思う。

レナード衛藤。この人は、カッコよかった。このコンサートのことを思い出すたびに私の脳裏に浮かぶ映像は、裸の上半身に赤や青の絵の具を塗りたくってステージを走り回っていたこの人の姿がほとんどである。和太鼓集団「鼓童」の出身だとのことで今ではもう50代なかばになってはるはずなのだが、動画サイトなどを見る限り今でも精力的に叩きまくってはるご様子である。

近藤等則とウェイン·ショーターは節目節目で出てきていろんなミュージシャンと競演していたが、この2人が他の伴奏を一切まじえずに繰り広げた「FOOTPRINTS INTO THE FUTURE」と題するセッションのことが完全に私の記憶から抜け落ちていたことは、自分にとっても全く不覚だった。どうしても聞いてみたい人は下の動画の53:30から聞くことができる。ちなみに下の動画は現在ネット上で確認することのできる「GME'94」コンサートの唯一の「完全版」である。消されてしまわないことを祈りたい。


GME94. 完全版

しかしどれだけ悔やんでも悔やみきれないのは、当時の私がチーフタンズの演奏を「聞き流し」、その名前を記憶にさえとどめていなかったことである。ヴァン·モリソンとの共作アルバム「Irish Heart Beat」との出会いを通じてアイルランドの伝統音楽の魅力を知り、「チーフタンズ」が私にとって特別な名前になったのは、あのコンサートから大体2年後ぐらいのことだった。動画の中では2002年に他界されたデレク·ベルさんがケルティックハープを弾いている。本当にあの時の私は何を見ていたのだろうかと思う。


GME94. The Chieftains & Ryu's Orchestra

動画を見てビックリさせられたのは、それだけではない。後半になって曲がテンポアップすると、小枝のようなお姉さんが出てきてアイルランド式のステップダンスを踊り始める。確かにこんなお姉さん、いたし、横で東アジア的な踊りを踊っていた国籍不明の文楽人形みたいなのも、記憶には残っていた。しかしこのお姉さん、よくよく見るとひょっとしたら、「リバーダンス」で初代のプリンシパルを務めていたジーン·バトラーさんその人だったのではないだろうか。

気になり出すと止まらなくなり、ムキになって調べてみたら、あのときチーフタンズと一緒に奈良に来ていたのはジーンさんではなくその妹のキャラ·バトラーさんだったことが明らかになった。しかしそんなことは私にとってどうでもいい。その数年後から何年にもわたって自分が「一目でいいから見てみたい」と思いこがれることになったリバーダンスというものの片鱗に、実は私は15歳の時点で、既に直接触れていたのである。そのことに今まで一度も気づかなかったということが、私にとっては、衝撃だった。

「リバーダンス」とは何か。初演から20周年を記念して来日公演があった時の特設ページに簡単な紹介が載っていたので、私があれこれ言うよりも、そこから引用したい。それにつけてもこうした何年も前のイベントのための特設ページの「廃墟」って、ネット上には一体いつの時代まで残り続けているものなのだろう。

<リバーダンス>は1994年、ヨーロッパ最大の音楽祭である「ユーロビジョンソングコンテスト」から生まれた。毎年、各国が持ち回りでホスト国となるこの歌謡祭で、この年、ホスト国となったアイルランドのTVプロデューサー=モイヤ・ドハティーは、番組の幕間の穴埋めのために何か出し物を企画しなければならなかった。

そこで彼女はヨーロッパ全土で3億人ものTV視聴者を持つこの番組で、「何か新しいアイルランドのイメージをアピールできるものを」「何かアイルランド的なものを」見せたい、という思いから、長年温めていたアイデアを基に、同僚のジョン・マカルガン、音楽家ビル・ウィーランとともに作り上げたのが、現在も<リバーダンス>公演第一部のクライマックスを飾る7分間のパフォーマンスだった。

 シンプルな黒いコスチュームで統一された、総勢24人のダンサーがコーラスラインのように横一列に整列し、上半身を直立させたまま、もの悲しくも胸が高鳴るアイルランド独特の音楽に合わせて強烈なタップの靴音を響かせたとき、ヨーロッパ全土3億人の視聴者はこれまでに見たこともないダンスに釘付けとなった。
 凄まじいスピードで音楽に合わせ、タップとステップを刻むダンス。一糸乱れぬ、群舞の圧倒的な迫力。そのダンスが終わるや否や、幕間にもかかわらず、会場では嵐のようなスタンディングオベーションが巻き起こった。そして瞬く間に視聴者から驚嘆と称賛の声が湧き上がり、ヨーロッパ全土は熱狂に包まれた。

 伝統的な音楽に合わせて民族衣装でぴょんぴょん跳ねながら踊る――他ならぬアイルランド人自身が、そんなフォークロアでローカルな印象しか持たなかったアイルランド独特のダンスを、モダンでスタイリッシュに演出して創作した、全く新しい衝撃的なダンス。
 モイヤのアイデアから生み出されたそのダンス・パフォーマンスの反響は凄まじく、「もっと見たい」という熱烈な声に後押しされて、モイヤとジョン・マカルガン、ビル・ウィーランはこの7分間のパフォーマンスを核に、2時間のショーを作り上げた。それが1995年、ダブリンで初演された――ショー・ビジネスの奇跡と称される――<リバーダンス>である。


「熱狂」という言葉は「精神病者」に対する差別語です。ここでは原文をそのまま転載しました。

...私がこの「リバーダンス」のことを知ったのは、確か1997年のことだったと思う。今でも基本的には変わっていないけど、「情報」として一番安価でたやすく手に入るのは「文字」であり、その次が「音声」である。「映像」になると一挙にハードルが高くなり、「生の公演」というものになるとこれはもうカネも時間も有り余っている人たちにのみ許された天上の楽しみである。だからポケットに入れて持ち歩ける文学や音楽の「手軽さ」とは区別され、踊りや演劇というものは私にとって少年時代からずっと「敷居の高い」ものであり続けてきた。

そんなわけで私は、「リバーダンス」というのがどれだけ世界を夢中にさせている総合芸術であるかということを雑誌で読んだり話に聞いたりはしても、長いことサントラのCDの音からその舞台を想像するだけでガマンしなければならなかった。ビデオはあったけど1万円もしたし、そういうのは基本的にレンタル屋の店先には並ばないものだったからである。

ようやく見ることができたのはYouTubeの時代になってからのことだったけど、その時にはそれまで見たくて見たくて仕方なかった他のいろんな映像も一斉に出回っていたものだから、初めて見た印象というものはすっかり散漫になってしまい、もはやほとんど残っていない。それから数えても既に10年以上の時間が流れていることになる。つくづく我々は「有難味のない時代」を生きているものだと思う。

それはともかくとして今回初めて私が気付かされたのは、その「リバーダンス」の初演がまさに「AONIYOSHI」の開催と同じ1994年の出来事だった、という「時代の符号」である。詳しく調べてみると、その年アイルランドで開催された「ユーロビジョン」の幕間で「リバーダンス」が初公開され、全ヨーロッパの視線を釘付けにしたのは、「AONIYOSHI」から僅か数週間前にあたる4月30日のことだった。つまり、その興奮いまだ冷めやらぬ空気の中で、チーフタンズをバックにしたあのキャラ·バトラーさんのアイリッシュダンスは、踊られたのだ。そして彼女が舞台に出てきた時に、ヨーロッパから見に来たと想像される観客の間から一斉にあがった大歓声には、そうした意味が込められていたのだ。

すごいものを、私は見ていたのだな。と思う。そしてその「つながり」に自分が気づくずっとずっと前の時代から、世界はしっかりと「つながって」いたのだな。



ユーロビジョン·ソング·コンテスト」というのは、1956年以来全ヨーロッパ的な規模で毎年開催されている紅白歌合戦的な音楽イベントで、どの国の代表が優勝するかによって、次の年の開催国が決まるらしい。スケールの大きな話である。「リバーダンス」は上述のように、1994年のアイルランド大会の際、幕間の放送時間の穴埋めとして企画されたパフォーマンスだったのだが、放送されるやすさまじい反響を呼び、その年のコンテストの優勝者など誰も覚えていない有様だったということが、いろいろな本に書かれている。

その「伝説の8分間」の動画を、とても幸せなことに、今ではYouTubeでいつでも見ることができる。ダンスに先立ち、アイルランドのボーカルグループ、Anúna(アヌーナ)によって歌われたテーマソングの試訳と併せ、下に紹介しておきたい。


Eurovision94 Riverdance

Riverdance (Cloudsong)

英語原詞はこちら


Hear my cry in my hungering search for you
Taste my breath on the wind
See the sky as it mirrors my colors
Hints and whispers begin

飢えにも似た気持ちで
あなたを探し求める
わたしの叫びを聞いてください。
風の中で
わたしの息を味わってください。
わたしの色を映しだす
空を見てください。
気配とささやきが
聞こえてくるはずです。


I am living to nourish you, cherish you
I am pulsing the blood in your veins
Feel the magic and power of surrender to life
Uisce Beatha

あなたをはぐくむために
いつくしむために
わたしは生きています。
わたしはあなたの血管の中に
脈打つ鼓動です。
生命に身をゆだねる時に
生まれる魔法と
力を感じてください。
イシュカ·バーハ (生命の水)


Every finger is touching, searching
Until your secrets come out
In the dance as it endlessly circles
I linger close to your mouth

あなたの秘密が
明らかになる時まで
すべての指が触れています。
感じています。
終わりなく円を描く踊りの中で
わたしはあなたの口もとに
とどまっています。


I am living to nourish you, cherish you
I am pulsing the blood in your veins
Feel the magic and power of surrender to life
Uisce Beatha

あなたをはぐくむために
いつくしむために
わたしは生きています。
わたしはあなたの血管の中に
脈打つ鼓動です。
生命に身をゆだねる時に
生まれる魔法と
力を感じてください。
イシュカ·バーハ (生命の水)


Uisce Beatha: ラテン語でアルコールのことをさす「Aqua vitae (生命の水)」が、ゲール語に置き換えられた表現。「ウイスキー」の語源になっていることから、ゲール語としては国際的に最も有名な言葉のひとつ。

当初は1回きりの7分間の出し物として企画された「リバーダンス」だったが、1年後の1995年には約20の演目からなる2時間の総合芸術として世界中の舞台で上演されるようになり、現在でも毎年のように公演が行われている。YouTubeにはその1995年の初公演の一部始終を含め、ほとんどの映像が出そろっていて、ハッキリ言ってこれはハマる。「歌と踊りにうつつを抜かす」という言葉があるけれど、見始めると全く同じ踊りを何時間となく繰り返し眺めていても全然飽きないという恐るべき状態に陥ってしまう。これだけの映像が大盤振る舞いされているのは、小さな画面でこれを見た人間は絶対に「本物」を見たくならずにはいられないはずだという、リバーダンス側の断固たる自信があるからに違いないと思う。豪気なことである。

リバーダンスの魅力に触れたファンサイトの類は日本語圏にも無数にあるけれど、最後に各演目の動画を、「Riverdance.com」のシーン解説のページに書かれているソネットの翻訳と、歌詞がある曲はその対訳つきで、貼りつけておくことにしたい。


Riverdance1995


Riverdance2002

Act One

第一幕

In a primitive and powerful world, our ancestors knew fear and joy and fire, worked wood and stone and water to make a place they could call home. The first peoples knew the world as a place of power, their songs and dances and stories are negotiations with elemental powers. The first half of this performance shows them coming to terms with the world and with themselves.
原始的な力強い世界において、我々の祖先たちはおそれとよろこびと火の力を知り、木と石と水とで、すみかと呼びうるものをつくりあげた。最初の人類にとって世界とは力の場所であり、その歌と踊りと物語とは根源的な力との対話であった。このパフォーマンスの前半では、その世界とかれら自身の姿とが形にされてゆく様子が示される。

Reel Around the Sun

太陽をめぐるリール

The sun brings life and light and fire, the opening dance sequence celebrates this benevolent masculine power.
The sun is the light of morning, exuberant and clear.

太陽は生命に光と火をもたらす。オープニングのダンス·シークエンスは、その慈悲深く荒々しい力をことほいで踊られる。
太陽は朝の光であり、豊穣かつ鮮明だ。


Riverdance2002 Reel Around the Sun

The Heart's Cry

心の叫び

There is also that other primeval mystery, the salmon swimming upstream, the blind urgings of nature, heart yearning to heart. We need and sustain each other; we keep this knowledge in song since the beginning of time.
ここにまた、原初からの謎がある。流れを遡る鮭、blindな本能の衝動、心を求める心...我々は互いを必要とし、互いに支え合っている。この知識を我々は時間というものが始まった時から、歌というものの中に守り続けている。

「blind」は「視覚障害者」に対する差別表現です。ここでは原文をそのまま転載しました。


Riverdance95 The Heart's Cry

The Heart's Cry


Where the river foams and surges to the sea
Silver figures rise to find me
Wise and as daring, following the heart's cry
I am that deep pool, I am that dark spring
Warm with a mystery I may reveal to you

泡を立てて逆巻きながら
川が海へと流れ込むところ
銀色の影があらわれて
わたしのことを見つける。
賢明かつ大胆不敵に
心の叫びを追い求めている。
わたしは深い淵だ。
わたしは暗い泉だ。
謎めいた友愛の心を
わたしはあなたのために明らかにしよう。


In time
Time holds the heart's key
Key to everything is love
Love makes the heart flower
Flower into a deep desire
Passion in the heart's fire
Passion and desire

時の中にある。
時が心の鍵を握りしめている。
すべての鍵は愛だ。
愛は心を花に変える。
深い渇望へと手向けられた花に。
心の火の中の情熱。
情熱と渇望。


See the eagle rise above the open plain
Golden in the morning air
Weaving and soaring, watchful and protecting
I am your shelter, I will enfold you
Warm with a mystery I may reveal to you

平原の上に高く舞い上がる鷲が
朝の空気の中で
黄金色に輝いているのを見なさい。
迷うようにゆらめいては
まっすぐに急上昇してゆく。
油断なくそして慈しむように。
わたしはあなたの巣穴だ。
あなたのことを包んであげよう。
謎めいた友愛の心を
わたしはあなたのために明らかにしよう。


In time
Time holds the heart's key
Key to everything is love
Love makes the heart flower
Flower into a deep desire
Passion in the heart's fire
Passion and desire

時の中にある。
時が心の鍵を握りしめている。
すべての鍵は愛だ。
愛は心を花に変える。
深い渇望へと手向けられた花に。
心の火の中の情熱。
情熱と渇望。

Countess Cathleen – Women of the Sidhe

キャスリーン伯爵夫人/シー(妖精)の女たち

Sensual, nurturing, independent and fierce, the power of women as they celebrate themselves in a dance of empowerment.
官能的で、母性的で、独立していてかつ獰猛。力のみなぎるダンスの中で、女性たちの力が自らをことほぐ。


Riverdance95 Countess Cathleen

Caoineadh Chú Chulainn

クー·フーリンの哀歌

A lone piper mourns Cú Chulainn, the implacable Bronze Age warrior, the great hero of Celtic myth.
孤高のイーリアン·パイパーがクー·フーリンを悼む。かたくなな銅の時代の戦士、ケルト神話の偉大なヒーローである。


Riverdance95 Caoineadh Chú Chulainn

Thunderstorm

雷雨

The brute power of elemental forces, beyond human control, beyond human understanding.
荒々しい自然の力。人間のコントロールも理解をも超えている。


Riverdance Thunderstorm

Firedance

ファイアダンス

In ancient Ireland fire and pride and beauty come out of the south, from the land of the sun. The power of the sun invests itself in the passion of the dancer.
太古のアイルランドにおいて、火と誇りと美とは南から、太陽の国から訪れるものだった。ダンサーの情熱の中には太陽の力が宿っている。


Riverdance95 Firedance

Shivna

シヴナ (2002年から追加された演目)

The myth of Mad Sweeney, Suibhne or Shivna, haunts Ireland since mediaeval times. Driven by forces inside himself, outside himself, a man dances desperately in the power of the moon. The powers are cruel and arbitrary, female and savage.
アイルランドには中世から、Mad Sweeneyの名で知られるシヴナの伝説が存在する。内なる力、外なる力に突き動かされ、月の力の中で一人の男が絶望的に踊り続ける。月の光は残酷で気まぐれで、女性的で凶暴だ。

「mad」は「精神病者」に対する差別表現です。ここでは原文をそのまま転載しました。


Riverdance Shivna

Shivna


A Bhennáin, a bhúiredáin
A bhéicedáin bhinn
Is bhinn linn in cúicherán
Do ní tú 'sin ghlinn

おお若き牡鹿よ。
悲しげな声をあげるお前よ。
メロディアスな声をあげる叫び屋よ。
その声は我々の耳に心地よい。
谷間に叫ぶお前よ。


A dhrainéin, a dhelgnacháin
Dil dol doh roh day
A mhinéin na chonaire
Dil dol doh ray
A dhriséoc, a dhruimnechóc
Dil dol doh roh day
A chaillech, a chuirrechennach
In raga for ech?

おおトゲだらけの
ブラックソーンの小枝よ。
ディドル ダーラ デイ。
おお小道のミネンよ。
ディドル ダー レイ
おおアーチをなすイバラよ。
ディドル ダーラ デイ。
おお丸い頭の鬼婆よ。
馬に乗ってゆくのか。


Is mé Suibhne sirthechán
Lúath reithim thar gleann
Nochan é m'ainm dligthechán
Mó is ainm dam Fer Benn Rather is it Fer Benn

わたしはシヴナ。
哀れな嘆願者。
勢いよく谷間を駆ける。
それは私の正しい名前ではない。
フェル·ベンと読んでほしい。


原詞はゲール語。やや意味不明な部分も含め、ここでは英訳された歌詞から再訳しています。

Slip into Spring – The Harvest

春の中へ/収穫
(1996年から追加された演目)

The wheel of the seasons turns slowly, from harvest through dormant winter into the miracle of spring. New growth, exhilaration, the world turns and is made new again.
季節の車輪はゆっくりと回る。収穫の秋から休眠の冬を抜けて奇跡の春へ。新たな芽生えと陽気な明るさの中で、世界は回り、生み直されてゆく。


Riverdance04 Slip into Spring

Riverdance

Our story begins in the evocation of the Riverwoman. As the power of the river grows, as the barren earth becomes fertile, our story rises until it floods the world in a vital, joyous riot of celebration
我々の物語は「川の女」の召喚に始まる。川の力が増すごとに、不毛の大地は肥沃となり、それが祝祭の洪水となって世界に溢れだすまで、我々の物語は続く。


Riverdance2017 上海

Act Two

第二幕

War, famine and slavery shattered the ancient bonds between people and place. Forced dislocations marked and altered the histories of the native peoples. As we came into history we learned to guard what we valued, to accommodate ourselves to others, to learn new ways of being ourselves, to embrace new kinds of courage. Cast out and momentarily orphaned, we learned to belong to the world.
戦争、飢饉、そして奴隷制は、人と土地とのふるい結びつきを引き裂いた。強いられた故郷喪失は、人々の歴史を刻印し、作り変えてきた。我々が価値を置いてきたものを守り抜くこと、我々自身を他の人々と和解させること、我々自身であるための新しいあり方を学ぶこと、新たな勇気を抱きしめることを、歴史に分け入ることを通して、我々は学んできた。追放され、しばしのあいだ孤児となることを通して、我々は自らが世界の一部となることを、学んできたのだ。

American Wake (The Nova Scotia Set)

アメリカの目覚め-ノバスコシア·セット
(1996年から追加された演目)

From the mid-19th century, hunger and famine and ambition drove the Irish out of their home island, across the Atlantic to a New World. Lover parted from lover, families and communities were torn apart.
19世紀中盤以降、飢えと欠乏と大志とが、アイルランド人たちを故郷の島から離れさせ、大西洋の向こうの新たな世界へと向かわせた。恋人たちは離れ離れとなり、家族や共同体は引き裂かれた。


Riverdance2002 American Wake

Lift the Wings

While those souls who were forced to emigrate were faced with the heartbreak of separation, their human spirit was often lifted by a defiant hope at the prospect of a new life.
移民となって生きることを強いられた人々が、別れに胸を引き裂かれそうになった時、その人間的精神は、新たな生活への挑戦的な希望として奮い立たせられるのが常であった。


Riverdance Lift the Wings

Lift the Wings


How can the small flowers grow
If the wild winds blow
And the cold snow is all around?
And where will the frail birds fly
If their homes on high
Have been torn down to the ground?

風が吹きつけ
冷たい雪に覆われる中で
小さな花は
どうやって育つのだろう。
高い樹上にあった巣を
大地に叩きつけられて
やせ衰えた鳥たちは
どこに向かって飛ぶのだろう。


Lift the wings that carry me away from here and
Fill the sail that breaks the line to home
But when I'm miles and miles apart from you
I'm beside you when I think of you, a Stóirín a Grá

翼を広げて
わたしをここから連れて行ってください。
帆をいっぱいに張って
ふるさとへの道を断ち切ってください。
けれどもこれから何マイル離れても
あなたのことを思うたびに
わたしはあなたのそばにいます。
あ すとーりーん あ ぐろー (私の宝物よ)


How can a tree stand tall
If a rain won't fall
To wash its branches down?
And how can the heart survive?
Can it stay alive
If its love's denied for long?

その枝を洗ってくれる
雨が降らなくなったなら
木はどうして高く
立ち続けていることができるだろう。
そしてその愛が永遠に
拒まれてしまったなら
その心はどうやって
生き続けることができるだろう。
生きていることさえ
できるのだろうか。


Lift the wings that carry me away from here and
Fill the sail that breaks the line to home
But when I'm miles and miles apart from you
I'm beside you when I think of you, a Stóirín
And I'm with you as I dream of you, a Stóirín
And this song will bring me near to you, a Stóirín a Grá

Heal Their Hearts – Freedom

自由よ、かれらの心を癒せ

The music and dance that forged a sense of identity are now exposed to new and unfamiliar cultures. Ultimately, in the blending and fusion that follows, the emigrants find that the totality of human experience and expression is greater even than the sum of its many diverse parts. From the darkness a lone voice sings and is then joined by other immigrants, reflecting the universal yearning of the dispossessed wherever they make their home.
人々のアイデンティティを築きあげてきた音楽と踊りが、今や全くなじみのない文化の前にさらされる。混合とフュージョンが繰り返される中で、人間の経験と表現の総合性は、バラバラなままの多文化の総和よりも素晴らしいものであることに、移民たちは気づくのだ。闇の中からひとつの声が立ちあがり、他の移民たちの声がそれに和す。かれらが自らの街を築きあげたすべての場所に、すべてを奪われた人々の普遍的な叫びがこだましている。


Riverdance Heal Their Hearts

Heal Their Hearts – Freedom

In the deep night
From a dark space
I hear voices calling out in heartache
They are wounded
They are broken
But their spirit rises when awoken
Yes, they may be poor in birth - but
Yes, how great each one is worth
Heal their Hearts
Feed their Souls
Their lives can be golden if your love enfolds

深い夜 暗い場所から
心を痛めた声が叫ぶのが聞こえる。
傷ついた声 壊された声
けれども目覚めが訪れた時
その魂は立ちあがる。
そうだ。
かれらの生まれは貧しいかもしれない。
けれども そうだ。
その一人ひとりはどれだけ
かけがえのない存在だろう。
その心を癒せ。
その魂を満たせ。
愛に包まれたとき
その生命は黄金の輝きを放つ。


In their dreamtimes
In their visions
How they always hunger after freedom
Every hard load
Every dark road
Leads them on to reach a new horizon
Yes, they may be poor in birth - but
Yes, how great each one is worth
Heal their Hearts
Feed their Souls
Their lives can be golden if your love enfolds

夢の中で 幻の中で
かれらはいつもどんなにか
自由を追い求めてきたことだろう。
すべての重荷が
すべての暗い道が
かれらを新しい地平へと導く。
そうだ。
かれらの生まれは貧しいかもしれない。
けれども そうだ。
その一人ひとりはどれだけ
かけがえのない存在だろう。
その心を癒せ。
その魂を満たせ。
愛に包まれたとき
その生命は黄金の輝きを放つ。


Lord, where is our freedom?
When will our hope begin?
Lord, what of the promise you made?
When will it come?
We have waited for the time
For the truth to live, when justice will shine
Too long those hands of greed
Held on and made us bleed
When will your people breathe
Lord, will it come?

神よ
我々の自由はどこにあるのですか。
いつになったら希望が訪れるのですか。
神よ
あなたが我々に約束してくださったことは
どうなるのですか。
いつになったらそれは叶うのですか。
我々はずっと待ち続けてきました。
生きることの真実を。
正義が照らす日を。
貪欲の手はあまりに長く
我々に血を流させてきました。
あなたの民はいつになったら
息を吹き返すことができるのですか。
神よ その日は来るのでしょうか。


Lord, what of our children?
Will they always depend on you?
Lord, why are they scattered and torn
And their young hearts in chains
How they hunger for liberty
Feel their hatred of poverty
Let their spirit rise, soaring free
Lord let it come
Our day will come

神よ 我々の子どもたちは
どうなってしまうのでしょうか。
かれらはあなたに
従い続けるのでしょうか。
神よ かれらはなぜ引き裂かれ
離れ離れにされ
その若い心を鎖に
つながれねばならないのでしょうか。
かれらはどんなに
自由にかつえていることでしょう。
貧困の中から来る
かれらの憎悪を感じとってください。
その魂を立ちあがらせ
自由に羽ばたかせてください。
神よ その日に出会わせてください。
我々の日は必ず訪れる。

Trading Taps

タップの交換
(1996年から追加された演目)

The wealth of the poor is in song, dance and story. Under the street-lamps in the new cities the dancers perform with pride in their heritage, curious to see what other traditions bring, struggling to bridge the gap between old dreams and new realities.
歌や踊りや物語の中には、貧しさの中の豊かさを見出すことができる。新しい街の街灯の下で、ダンサーたちは自らの伝統に誇りを持ち、別の文化がもたらすものに好奇心を感じながら、古い夢と新しい現実との橋渡しを築きあげようとするかのように、踊っている。


Riverdance96 Trading Taps

Macedonian Morning

マケドニアの朝

Meeting the new, what we learn first is that there is something familiar in what is strange, something strange in what we had thought familiar. A tune from another place, another lifetime, can turn and haunt in the heart.
新しいものと出会った時、我々が最初に学ぶのは、見知らぬものの中に何かなつかしいものがあり、馴染み深いものの中にも何か不思議なものがあるということだ。違った場所、違った人生から聞こえてくる音は、我々の心を変え、そして離れなくなることが、時として起こる。


Riverdance95 Macedonian Morning

Marta's Dance – The Russian Dervish

マルタの踊り/ロシアのムスリム僧

Meeting the new, what we learn first is that there is something familiar in what is strange, something strange in what we had thought familiar. A tune from another place, another lifetime, can turn and haunt the heart and inspire the dances from a distant homeland.
新しいものと出会った時、我々が最初に学ぶのは、見知らぬものの中に何かなつかしいものがあり、馴染み深いものの中にも何か不思議なものがあるということだ。違った場所、違った人生から聞こえてくる音は、我々の心を変え、そして離れなくなることが、時として起こり、遠い故郷の踊りには新しい刺激が与えられる。


Riverdance95 The Russian Dervish

Andalucía

アンダルシア
(1996年から追加された演目)

In the cauldron of the big city, the pulsing energy of the streets is reflected in the fiery Latin dance rhythms.
大都市の大鍋の中で、街頭のエネルギーの波動は燃えるようなラテンのダンスのリズムの中にこだまする。


Riverdance Andalucía

Anna Livia

アンナ·リヴィア
(2015年から追加された演目)

The river flows full circle from sea to sky to mountain and back home. Collecting, gathering, arriving enriched, fulfilled, ready to start its journey once more.
海から空へ、山へ、そして故郷へ。完全な円環を描いて川は流れる。いろいろなものを集め、結びつけ、豊かさをもたらし、満たし、そしてもう一度旅の始まりの場所に立とうとしている。


Riverdance Anna Livia

Slow Air / The Tunes

スロー·エア/旋律

Always the child of the emigrant feels the tug of the home place; always that child feels the urge to return. What she or he brings there is a sustaining knowledge: we are who we once were, we are who we have become.
ふるさとに帰りたいという気持ちを感じる時、移民の子どもはいつも、故郷の地とのつながりを感じている。彼や彼女をそんな気持ちにさせるのは、受け継がれてきた記憶である。「我々はかつていた場所の人間で、そこからやってきた人間なのだ」


Riverdance Slow Air / The Tunes

Heartland

心のくに

With newfound confidence and pride, the child of the emigrant carries treasured memories home to their birthplace. A long journey ends under a native sky, a new and richer journey has taken its place.
新しく見つけた自信と誇りを胸に、移民の子どもは自分の生まれた場所へ、宝物のような記憶を持ち帰る。地元の空の下に長い旅は終わりを告げ、さらに新しく豊かな旅が始まろうとしている。


Riverdance95 Heartland

Home and the heartland

High in the sky through the clouds and rain
Every familiar field seems like an old friend
When every hand that you shake is like a warm embrace
Could only be one sweet place
Home and the heartland

空高く
雲と雨を突き抜け
すべてのなつかしい土地が
ふるい友だちのように見える。
差し出されたすべての手を
暖かい抱擁のように
あなたが握りしめるとき
そこが幸せの場所になる。
ふるさと そして こころのくに


Sing out your songs and
Ring out your stories and rhymes
Weave from your dreams
The mystical dances that lead us to
Bind in heart and mind

あなたの歌を
思いきり歌ってください。
あなたの物語の調べを
高らかに聞かせてください。
夢の中から
つむぎだしてください。
神秘のダンスが私たちを
心臓と心の結びつきへと
いざなってくれます。


As we circle the world with our wandering airs
Gathering here and there, leaving behind our share
Like the leaves in the wind, they are blown along
Melodies rising from
Home and the heartland

さまよう旋律と共に
私たちは世界を回る。
そこかしこで結びつき
そこで分かち合えたものを
あとに残して。
風の中の木の葉のように
それは空気の中を踊っている。
ふるさととこころのくにから
メロディが立ちのぼる。


Sing out your songs and
Ring out your stories and rhymes
Weave from your dreams
The mystical dances that lead us to
Bind in heart and mind

あなたの歌を
思いきり歌ってください。
あなたの物語の調べを
高らかに聞かせてください。
夢の中から
つむぎだしてください。
神秘のダンスが私たちを
心臓と心の結びつきへと
いざなってくれます。


Riverdance2002 Heartland

Finale

We are one kind. We are one people now, our voices blended, our music a great world in which we can feel everywhere at home, Ní neart go chur le cheile, together we are strong.
我々はひとつだ。いまや我々は同じ人間だ。我々の声は混じり合い、我々の音楽はあらゆる場所を故郷に変えてしまうひとつの偉大な世界だ。Ní neart go chur le cheile。つながりあうことで、我々は強くなれる。


Riverdance2013 Finalehttps://youtu.be/

ではまたいずれ。