華氏65度の冬

うたを翻訳するということ

Ice Cream Man もしくはチュウヰンガム·ブルウス (1973. Tom Waits)


Ice Cream Man

Ice Cream Man

英語原詞はこちら


I'll be clickin' by your house about two forty-five
Sidewalk sundae strawberry surprise,
I got a cherry popsicle right on time
A big stick, mamma, that'll blow your mind

2時45分頃にはあんたの家の前で
カシャカシャ言わせてますよお姉さん。
サイドウォーク·サンデーに
ストロベリー·サプライズ。
チェリー·ポプシクルも
時間通りにキッチリお届けしますよ。
ビッグ·スティックすなわち巨大な棒。
あんたのハートをぶっ飛ばしちまいますよ。


'Cause I'm the ice cream man, I'm a one-man band (yeah)
I'm the ice cream man, honey, I'll be good to you.

おれはアイスクリーム屋さんですからね。
一匹狼のアイスクリーム屋さんね。
おれはアイスクリーム屋ですよお姉さん。
悪いようにはしませんぜ。


Baby, missed me in the alley, baby, don't you fret
Come back around and don't forget,
When you're tired and you're hungry and you want something cool,
Got something better than a swimming pool

通りでおれを見失ってもお姉さん
イライラしちゃいけませんよ。
すぐに戻ってくるし
忘れたりなんてしませんからね。
疲れてお腹が空いて
何か冷たいものがほしくなったら
スイミング·プールなんかより
もっと素敵なものがありますよ。


'Cause I'm the ice cream man, I'm a one-man band
I'm the ice cream man, honey, I'll be good to you.
'Cause I'm the ice cream man, I'm a one-man band
I'm the ice cream man, honey, I'll be good to you.

おれはアイスクリーム屋さんですからね。
一匹狼のアイスクリーム屋さんね。
おれはアイスクリーム屋ですよお姉さん。
悪いようにはしませんぜ。


See me coming, you ain't got no change
Don't worry baby, it can be arranged:
Show me you can smile, baby just for me
Fix you with a drumstick, I'll do it for free

おれの来るのが見えて
あいにく小銭を持ってなくても
心配することはないですよお姉さん。
何とかなりますから。
笑ってみせてほしいなお客さん。
おれのためだけにさ。
おれのドラムスティックで
シャンとさせてあげるから。
タダでやってあげますよ。


'Cause I'm the ice cream man, I'm a one-man band
I'm the ice cream man, honey, I'll be good to you.
Be good to you, be good to you,
Good to you yeah, good to you yeah, good to you yeah, good to you yeah,
Good to you yeah, good to you, I'll be good to you, I'll be good to you...

おれはアイスクリーム屋さんですからね。
一匹狼のアイスクリーム屋さんね。
おれはアイスクリーム屋ですよお姉さん。
悪いようにはしませんぜ。
悪いようにはしませんぜ。
悪いようにはしませんぜ。

=翻訳をめぐって=

  • この歌で連呼されている「よくわからない単語」はほとんど具体的なアイスクリームの商品名なのだが、海外サイトによるとこの歌は、そうしたアイスクリームの形状というものがえろく思えてえろく思えて仕方のない人たちのために作られた歌であるらしい。こんなに平和なアイスクリームたちの何がそんなにえろいというのか私には皆目わからないのだが、一応全部画像検索したので、貼りつけておく。



=サイドウォーク·サンデー=

=ストロベリー·サプライズ=

=チェリー·ポプシクル=

=ビッグ·スティック=

=ドラムスティック=


  • この歌の主人公は人々に喜びと幸せを販売するアイスクリーム屋さんでありながら、客の女性に向かってハニーとかベイビーとかえらく馴れ馴れしい言葉で語りかけているわけだが、もしもこんな風にアイスクリーム屋さんという自分の立場を利用して若い女性をナンパしようとするとんでもない人間が日本にもいたとした場合、その男は「タメ口」を使うだろうかそれとも「丁寧語」を使うだろうかということを、私はかなりマジになって考えた。「ありえないこと」であるのは厳重に確認した上で「自分だったら」という想像までめぐらすというかなり危ない橋を私は渡ってみたのだが、考えてみた結果、やはり「自分はアイスクリーム屋さんである」という意識が「シバリ」になって「タメ口」は使えないのではないかという結論に落ち着いた。だから原詞の「ハニー」や「ベイビー」は、言えてギリギリ「お客さん」とか「お姉さん」とかになるのではないかと思う。知らんのやけど。
  • I'll be clickin' by your house about two forty-five...誰もがパソコンを使う時代になって「クリック」という言葉には「別の意味」がくっつくようになったわけだが、辞書で調べてみると元々の意味は「カチッと言わせること」である。この歌の一行目は何を言っているのか、ずいぶん考えたのだったが、おそらくアイスクリーム屋さんが「武器」にしているあのカシャカシャいうやつ。あれを鳴らして娘さんの気を引こうとしているのだと思う。「娘さん」とか言うてもーたわ。なお、あれの本名は「ディッシャー」と言うらしい。言われてみればって言うか別に言われてないのだけど、これはこれでそこはかとなくセクシィな形状をしている。

  • I'm a one-man band...「one-man band」と言われると「一人楽団」みたいなものをイメージしてしまうが、英語ではこの言い方で「一匹狼」みたいなニュアンスが表現されるのだとのこと。もっといい訳語がありそうな気もするが、思いつかない。
  • この歌を聞くたびに野坂昭如の「チュウヰンガム·ブルウス」を私は思い出すのだが、最初と終わり以外、全然似てないんだよな。むしろこの歌の「元ネタ」になっているのは、マール·トラヴィスの「16トン」という曲なのだという話である。


チューインガム·ブルース

ではまたいずれ。


=楽曲データ=
Released: 1973.3.6.
Key: E♭