華氏65度の冬

うたを翻訳するということ

藍蓮花 もしくは ひどく暑かった日の夕立 (2002. 許巍)


許巍 藍蓮花

藍蓮花

中国語原詞はこちら


めいよう シェンま なんごう つーだん
沒有什麼能夠阻擋
にー とい つーよう だ しぁんわん
你對自由的嚮往
ティエンま しんコん だ シェん
天馬行空的生涯
にーだ しン りゃおうー チェンくあ
你的心了無牽掛

あなたの自由へのあこがれを
はばむことのできるものは何もない。
空をゆく天馬のような人生。
あなたの心に
とらわれはない。


チョアンぐぉ ようあンだ すぇいゆえ
我穿過幽暗的歲月
いぇあ ツェん かんたお ファんほぁん
也曾感到彷徨
たん にー てぃートウ でぃ シュンちぇン
當你低頭地瞬間
ツァイ ファーちゅえ ちゃおしあだ ルー
才發覺腳下的路

薄暗い時間の中をくぐり抜け
迷っているような
気持ちになることもあった。
視線を地面に落とした時に
はじめて気づくのだ。
そこには道があることに。


しンちょんな つーよう でぃ シーちぇ
心中那自由地世界
るーツで チんチェ かおよぁん
如此的清澈高遠
シェんコァイちぇ よん ぷー てぃあおリん
盛開著永不凋零
ランリェンほぁ
藍蓮花

心の中のあの自由な世界は
こんなにも澄みきって
深い空のように果てしない。
いつまでもしおれることなく
咲き続けている
藍蓮花のようだ。




=中国語歌詞の「ふりがな」のめやす=

  • ひらがな表記とカタカナ表記について: 中国語や朝鮮語には、日本語の濁音と非濁音に相当する音の区別がありません。しかしその一方で、日本語にはない「有気音」と「無気音」の区別が存在します。同じ「か」という音でも、痰を吐くように「カハァ」(中国語ではka/ 朝鮮語では카) と発音するか、口の前にティッシュをぶら下げてもその紙が揺れないぐらいにやさしく「か」(中国語ではga/ 朝鮮語では가) と発音するかの違いが、大陸の人たちには「か」と「が」が違うのと同じくらい、「違う音」に聞こえるのです。その違いを表現するために、当ブログでは有気音にカタカナ、無気音にひらがなのルビを当てています。だからカタカナでルビが振られている箇所は、口から唾が飛び出すぐらい思いきり「空気を出して」歌って下さい。
  • 「ん」の表記について: 「ん」の音には3種類あります。唇を閉じて発音される「m」の音、舌先を上の歯茎につけて発音される「n」の音、口を開けて発音される「ng」の音です。当ブログでは「ng」を「ん」、「n」を「ン」と表記し、「m」は思い切って「む」で表記しました。この例に従うと日本語の「3万円になります」は、「さむまんえンになります」という表記になります。
  • 太字について: 太字の部分は、中国語に独特の「そり舌音」と呼ばれる発音になっています。日本の文字で表記すると同じ「チャ」や「シャ」の音でも、舌を口の天井に当てて発音するのです。具体的には、下で口の天井を後ろ向きになぞってゆくと、途中で「カド」にぶつかると思います。そこに舌を当てて発音して下さい。
  • 後は、適当です。

本格的に勉強したい人には、漢字を入力すれば拼音と呼ばれるローマ字のルビを自動的に表示してくれるサイトがたくさんありますので、探してみて下さい。



爆風スランプの「runner」という歌が流行ったのは私が小学生の時で、当時の私はそれを「陸上部の歌」なのだと思って聞いていた。そのこと自体は間違っていなかったのかもしれないが、私の耳に聞こえていた歌詞の内容は、かなり、間違っていた。

走る走る おれたち
流れる汗疹そのままに
いつかたどりついたら
君に打ち上げられるだろう
たとえ今は小さくもない
太陽だとしても
元は同じおれたち
記録は作った日の夕立

...「今は小さくもない太陽」だということは、この歌い手は現在陸上選手としてかなりビッグになっているということなのである。けれども「元は同じおれたち」。最初は同じスタートラインから始まったのだ。立派な記録を打ち立てること、それも確かに大切なことかもしれないが、記録などというものは作った端から他の誰かに塗り替えられてしまう、その場限りの夕立みたいなものにすぎない。そんなことに一喜一憂するのではなく、走っているこの瞬間を大切にしよう。そういう歌詞だと思っていたのである。

そしてそんな風に勘違いした上で、何と爽やかでイサギヨい歌なのだろうと感動していたのだった。こういう「華氏65度の冬」も、私の人生にはたくさん存在している。以前にとりあげたBabeの「君は!」なんかも、そのひとつだったな。

中国のロック歌手、許巍(シウ·ウェイ)が2002年にヒットさせたこの曲が、そのエピソードとどういう風に関係しているのかといえば、どういう風にも関係していない。昨日も一昨日も、ひどく暑い日だった。「ひどく暑かった日の夕立」という「runner」の公式歌詞が口をついたのに合わせて、頭の中を回り始めたのがこの歌のメロディだった。それだけの事情である。

とはいえ今みたいに暑い季節に聞いてみると、じっさい心なしかスッキリした気持ちになれる歌なのだな。この歌についての詳しいことは、下記のサイトを通じて私も今回初めて知りました。
japanese.cri.cn
過酷な夏が続いていますが、みなさんご自愛ください。ではまたいずれ。


=楽曲データ=
Released: 2002.12.1.
Key: E♭

藍蓮花

藍蓮花

  • 許巍
  • マンドポップ
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes