華氏65度の冬

うたを翻訳するということ

The Well もしくはラストワルツ特集 #5 (1976. The Band)

#4 Such A Night#6


  • 中世イギリスの古典文学「カンタベリー物語」の序歌を朗誦する、詩人のマイケル·マクルーアの映像。互いに見知らぬ巡礼者同士が一堂に会して身の上話を繰り広げるその物語のプロットに、ラストワルツの出演者たちの姿を重ね、この歴史的なコンサートを祝福している。と関連書籍にはあった。

…Hath in the Ram his halfe cours yronne,
And smale foweles maken melodye,
That slepen al the nyght with open eye- So priketh hem Nature in hir corages; Thanne longen folk to goon on pilgrimages
To ferne halwes, kowthe in sondry londes;
And specially from every shires ende
Of Engelond, to Caunterbury they wende,
The hooly blisful martir for the seke
That hem hath holpen, whan that they were seeke

…は白羊宮への道の半ばを行きすぎぬ。
小さき鳥どもは調べを奏で
目を見開いて眠るとき
かくも自然はかれらが心を揺さぶるなり。
そして人びとは巡礼をこころざし
巡礼者たちは異境の岸辺へあくがれぬ。
遠きにおわす聖地へと。
中にとりわけその名も高き
イングランドはカンタベリーへ。
かれらを病より救いあぐる
褒むべき殉教者の影を慕いて。

  • マイケル·マクルーア、拍手を浴びて退場する。映像が切り替わる。

Robbie: You all know Doctor John? Mac Rebennack. Come on, Mac.
ロビー:みんな、ドクター·ジョンは知ってるよな?マック·レベナックだ。マック、頼むよ!

Dr. John: In thankfulness to The Band and all the fellas. Two, three, four, one...
Dr. ジョン:ザ·バンドと仲間たちに感謝を込めて!ツー、スリー、フォー、ワン…


Such A Night

Such A Night

詳しい翻訳記事はこちら


Such a night, it's such a night
Sweet confusion under the moonlight
Such a night, such a night
To steal away, the time is right

そういう夜だ。
今夜はそういう夜だ。
めくるめく甘い感じが
月の光の下にあふれてる。
そういう夜だ。
そういう夜なんだ。
盗みをやるのに
うってつけの時がきた。


Your eyes caught mine, and at a glance
You let me know that this was my chance
But you came here with my best friend Jim
And here I am, tryin' to steal you away from him

きみの瞳がぼくの視線を受け止めた
その感じが
ぼくにチャンスが来たことを教えてくれた。
けれどきみがここに来たのは
ぼくの親友のジムとだ。
そしてぼくは今
あいつからきみを盗もうとしてるわけだ。


Oh, but if I don't do it, you know somebody else will
If I don't do it, you know somebody else will
If I don't do it, you know somebody else will
If I don't do it, you know somebody else will

でもぼくがやらなきゃ
わかるだろう
他のだれかがやるんだよ。
ぼくがやらなきゃ
他のだれかがやるんだよ。


And it's such a night, it's such a night
Sweet confusion under the moonlight
It's such a night, such a night
To steal away, the time is right

そして今夜はそういう夜だ。
そういう夜なんだ。
めくるめく甘い感じが
月の光の下にあふれてる。
そういう夜だ。
そういう夜なんだ。
盗みをやるのに
うってつけの時がきた。


Yeah, I couldn't believe my ear
And my heart just skipped a beat
When you told me to take you walkin' down the street
Oh yeah, you came here with my best friend Jim
Here I am, I'm stealin' you away from him

ああ ぼくは自分の耳が信じられなかった。
ぼくの心臓はスキップを始めた。
きみの方から一緒に街に出ようって言われた時には。
いやはや きみがここに来たのは
ぼくの親友のジムとだ。
そしてぼくは今
あいつからきみを盗もうとしてるわけだ。


Oh, but if I don't do it, you know somebody else will
If I don't do it, you know somebody else will
If I don't do it, you know somebody else will
If I don't do it, you know somebody else will

でもぼくがやらなきゃ
わかるだろう
他のだれかがやるんだよ。
ぼくがやらなきゃ
他のだれかがやるんだよ。


'Cause it's such a night
だって今夜は そういう夜だから。

Rick: Hey! The Doctor!
リック:ヘイ、ザ·ドクター!

nagi1995.hatenablog.com
一番上に貼りつけたDr.ジョンの似顔絵は、葉踏舎管理人のマリノさんの作品を転載させて頂きました。ブログを始めて以来、素敵な絵を描かれる方と数多く出会えるようになったことは、本当に幸せなことです。

巨大な蝶ネクタイに水玉のスーツという奇抜なファッションだけでもDr.ジョンの印象は充分に強烈なものですが、映画からはあまり気づかなかったこととして、この人はものすごく大柄な人だそうなのです。ピアノを弾く彼氏の姿や、トッポジージョみたいなその声から、私は何となく「小男」だというイメージを持っていました。ひょっとしたら、「池乃めだかみたいな格好をしてる」という第一印象があまりに強かったからなのかもしれません。

「Such A Night」の翻訳記事も以前に作成済みですので、詳細は上記リンクを参照ください。(歌詞自体はあまり好きでないので、大したことは書いていないのですが)。また映画では取りあげられていないものの、「Such A Night」の後にDr.ジョンが楽器をギターに持ち替え、ボビー·チャールズを迎えて演奏された名曲「Down South in New Orleans」の歌詞についても、同じく以前に翻訳済みです。
nagi1995.hatenablog.com
そんなわけで今回は、三枚組LPの最後の面に収められていた「The Last Waltz Suite (ラストワルツ組曲)」の冒頭を飾る「The Well」という曲を翻訳しておくことにしたいと思います。この歌、映画との関係もコンサートとの関係も定かではなく、「ラストワルツ組曲」の中でも最も謎めいた印象の歌です。歌詞の内容も謎に満ちています。その謎の中味については、あまり深入りしても仕方ない気がするので、今回はあえていろいろコメントをつけないことにしました。ボーカルをとっているのは、リチャード·マニュエルです。ではまたいずれ。


The Well

The Well

英語原詞はこちら


I took my bucket down to the well
There's a woman, sweet mystery
She let the rope fall down in the well
Like it was meant to be
She put the jug upon her head
Walked with her back to the wind
I followed her tracks the moment she said
"Why don't you come in?"

バケツを持って
井戸まで行った。
そこには女がいて
甘美な謎があった。
彼女は井戸の底に
ロープを投げ入れた。
まるでさだめられたことのように。
彼女は頭の上に壺をのせて
風と共に歩き出した。
わたしはその後をついて行った。
彼女が言ったのだった。
「入ってきてもいいのよ?」


She killed the light, she dropped her glove
She said "Are you looking for trouble
Or looking for love, love, love?"

彼女は明かりを消し
手袋を床に落とした。
そして言った。
「あなたが探しているのはトラブル?
それとも愛?愛?愛?」


I woke in the morning dying of thirst
Headed straight back to the well
There she was with a jug on her head
The rope had just fell
The well in her eyes was deep and black
With no question or answer
She wiped my brow and I followed her back
To the Tropic of Cancer

その朝わたしは目を覚まし
喉の乾きで死にそうになって
まっすぐ井戸のところに戻った。
そこには頭に壺をのせた
彼女が立っていて
ロープは投げ落とされた後だった。
彼女の瞳の中の井戸は暗くて深く
どんな問も答えもそこには見えなかった。
彼女はわたしの額の汗をぬぐい
そしてわたしは彼女について行った。
北回帰線まで。


She killed the light, she dropped her glove
She said "Are you looking for trouble
Or looking for love, love, love?"

彼女は明かりを消し
手袋を床に落とした。
そして言った。
「あなたが探しているのはトラブル?
それとも愛?愛?愛?」


=楽曲データ=
Released: 1978.4.7.
Key: B♭→C

The Well

The Well

  • ザ・バンド
  • ロック
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