華氏65度の冬

うたを翻訳するということ

Four Strong Winds もしくはラストワルツ特集 #6 (1963. Ian & Sylvia)

#5 Helpless#7



Robbie: Everybody knows him. You know this guy, I bet.
ロビー:彼のことはみんなが知ってる。きっと知ってると思うよ。

Neil Young: Thank you, man, for letting me do this.
ニール·ヤング:ありがとう。ここでやらせてくれて。

Robbie: Oh, shit. Are you kidding? Are you kidding?
ロビー:なに言ってんだよ。ギャグかい?冗談きついよ。

Neil: I'd just like to say before I start that it's one of the pleasures of my life to be able to be on the stage with these people tonight.
ニール:始める前に一言いいたいです。今夜このステージでこんな人たちと一緒に演奏できることは、ぼくの人生で最高の喜びのひとつです。

  • 「Helpless」のイントロをハーモニカで吹き始めるヤング。

Neil: They got it now, Robbie.
ニール:もうみんな、何を演奏するか分かったみたいだよ。ロビー。


Helpless

Helpless

詳しい翻訳記事はこちら


There is a town in north Ontario,
With dream comfort memory to spare,
And in my mind
I still need a place to go,
All my changes were there.

オンタリオ州の北のはずれに
町がある
夢のようにやさしい思い出が
あふれているところ
そしてぼくの心にはそれでも
行かなくちゃならないところがある
ぼくのすべてを変えてくれるような
そんなところ


Blue, blue windows behind the stars,
Yellow moon on the rise,
Big birds flying across the sky,
Throwing shadows on our eyes.

青い青いいくつもの窓が
星のかげに浮かぶ
黄色い月がのぼってゆく
ぼくらの瞳に影を投げかけながら
大きな鳥たちが空を横切ってゆく


Leave us
Helpless, helpless, helpless

ぼくらを
孤立無援のまま 孤立無援のまま
孤立無援のまま
おきざりにしてくれ


Baby can you hear me now?
The chains are locked
and tied across the door,
Baby, sing with me somehow.

ぼくの声がきこえるか
鎖には錠前がかけられ
ドアはしばりつけられてる
それでもなんとかして
ぼくと一緒にうたってくれないか


Blue, blue windows behind the stars,
Yellow moon on the rise,
Big birds flying across the sky,
Throwing shadows on our eyes.

青い青いいくつもの窓が
星のかげに浮かぶ
黄色い月がのぼってゆく
ぼくらの瞳に影を投げかけながら
大きな鳥たちが空を横切ってゆく


Leave us
Helpless, helpless, helpless.

ぼくらを
孤立無援のまま 孤立無援のまま
孤立無援のまま
おきざりにしてくれ




nagi1995.hatenablog.com
ラストワルツの中でも一二を争うぐらい好きな曲。好きな場面。(という表現を既に一度や二度でなく使ってしまっていることも自覚しているのだけれど)。当然のごとく翻訳もとっくの昔に済ませてあるので、詳細は上記リンクをご覧下さい。自分で作った訳詞への思い入れがとりわけ深い曲でもあります。

映画の中でのこの歌のシーンにまつわる有名な裏話として、ニール·ヤングはこのとき鼻の穴に真っ白なコカインの塊を詰め込んで舞台に上がって来たため、最初に撮影された映像にはしっかりそれが写っており、後からスコセッシのスタッフがえらく苦労して「普通の鼻の穴」に見えるように映像を加工した、というエピソードがある。つまり「ドラッグを決めた人間はこういう顔になるのですよ」という見本のような映像があそこには流れていることになるわけなのだが、それを知ったからと言って初めて見た時に「何てキレイな目をした人なんだ」と感動した私の第一印象には、いささかも傷がつくものではない。この歌を歌っている時の映画の中の彼氏の表情、そしてそれを両側から力強く支えているリックとロビーの表情が今でも私は大好きだ。

また、映画の中ではシルエットでしか登場しないジョニ·ミッチェルさんのコーラスも、魅力である。何でもあそこでステージに顔を出してしまうと、後で自分の出番が回ってきた時のインパクトが小さくなってしまうからと周りに言われて、舞台裏からコーラスをつけていたらしい。映画の中にはそんな説明は一切でてこないから、私はあのシルエットはエミルー·ハリスさんだったのだろうかとかなり長いこと思い込んでいたものだった。

それにつけても、これだけ豪華なメンバーに応援してもらってるのだから、この歌は全然「Helpless」ではないよな。

21世紀になるまで音源は公開されていなかったが、「ラストワルツ」で「Helpless」を歌った後、ニール·ヤングはもう一曲「Four Strong Winds」というカナダの有名なフォークソングを歌っている。イアン&シルヴィアというデュオグループが1960年代の初めに発表した歌で、今でもカナダではイベントやコンサートの締めくくりなどに広く愛唱されている曲らしい。日本で言うなら「若者たち」や「今日の日はさようなら」に相当する楽曲と言えるだろうか。歌のテーマは、冬の到来を控えて出稼ぎに行かねばならなくなった農村青年の恋の行方であり、吉幾三や細川たかしの歌の世界とも、何となく重なっている。この曲の主人公に自分を重ねて共感できる人は、関西出身の私が思いもよらないぐらい、案外この日本にも多いのかもしれない。

今回はそれを翻訳しておくことにしたいと思う。ではまたいずれ。


Four Strong Winds (Last Waltz)

Four Strong Winds

英語原詞はこちら


Four strong winds that blow lonely,
Seven seas that run high,
All those things that don’t change, come what may.
But our good times are all gone,
I’m bound for moving on.
I’ll look for you if I’m ever back this way.

四季を通じてさびしく吹きすさぶ
強い風。
高く荒れ続ける
七つの海。
何が起こっても
変わることのない摂理。
けれどもぼくらの素晴らしい時間は
過ぎ去ってしまい
ぼくは
旅立たなくちゃいけなくなった。
もしこの道を帰ってくることができたなら
またきみのことを探そうと思っている。


Think I’ll go out to Alberta,
Weather’s good there in the fall.
I got some friends that I can go a’working for,
Still I wish you’d change your mind
If I asked you one more time,
But we’ve been through that a hundred times or more.

アルバータに行こうと思ってるんだ。
あそこは秋の気候がいい。
働くところを世話してくれる
友だちもいることだし。
もしもういっかい頼んだらきみは
気持ちを変えてくれるんじゃないかって
まだ思ってる。
でもぼくらはもうそんなことを
100回以上も繰り返してきたんだよな。


Four strong winds that blow lonely,
Seven seas that run high,
All those things that don’t change, come what may.
But our good times are all gone,
I’m bound for moving on.
I’ll look for you if I’m ever back this way.

四季を通じてさびしく吹きすさぶ
強い風。
高く荒れ続ける
七つの海。
何が起こっても
変わることのない摂理。
けれどもぼくらの素晴らしい時間は
過ぎ去ってしまい
ぼくは
旅立たなくちゃいけなくなった。
もしこの道を帰ってくることができたなら
またきみのことを探そうと思っている。


If I get there before the snow flies,
If things are looking good,
You could meet me if I send you down the fare.
But by then it will be winter
ain’t much for you to do
And those winds sure blow cold way out there

もし雪が降り出す前にそこに行けたら
もしも物事がうまく行きそうな感じだったら
会いに来てくれるかな。
ぼくが旅費を送ったら。
でもその頃にはもう
冬になってるだろうし
きみが来たって大して
やることはないかもしれない。
外にはきっと例の風が
冷たく吹いてることだろうし。


Four strong winds that blow lonely,
Seven seas that run high,
All those things that don’t change, come what may.
But our good times are all gone,
I’m bound for moving on.
I’ll look for you if I’m ever back this way.

四季を通じてさびしく吹きすさぶ
強い風。
高く荒れ続ける
七つの海。
何が起こっても
変わることのない摂理。
けれどもぼくらの素晴らしい時間は
過ぎ去ってしまい
ぼくは
旅立たなくちゃいけなくなった。
もしこの道を帰ってくることができたなら
またきみのことを探そうと思っている。


I’ll look for you if I’m ever back this way.
またきみのことを探そうと思っている。


Four Strong Winds (Ian & Sylvia)


=楽曲データ=
Written by Ian Tyson in the early 1960s
Key: C

Four Strong Winds

Four Strong Winds

Four Strong Winds

Four Strong Winds