華氏65度の冬

うたを翻訳するということ

All Our Past Times もしくはラストワルツ特集 #14. (1976. Eric Crapton)

#13 Further On Up The Road#15






Robbie: On the guitar, Eric Clapton! One, two, a-one, two, three...
ロビー:ギターはエリック·クラプトン!ワン、ツー、あワンツースリー…


Further On Up The Road

Further On Up The Road

詳しい翻訳記事はこちら


Further on up the road
Someone's gonna hurt you like you hurt me.
Further on up the road
Someone's gonna hurt you like you hurt me.
Further on up the road,
Baby, just you wait and see.

その道をずーっと行ったところで
おまえがおれを傷つけたように
誰かがおまえのことを傷つけるだろう
その道をずーっと行ったところで
おまえがおれを傷つけたように
誰かがおまえのことを傷つけるだろう
その道をずーっと行ったところで
ベイビー
見てるといい 待ってるといい


You gotta reap just what you sow;
That old saying is true.
You gotta reap just what you sow;
That old saying is true.
Just like you mistreat someone,
Someone's gonna mistreat you.

自分でまいた種は
自分で刈り取らなきゃいけない
昔のことわざは正しい
自分でまいた種は
自分で刈り取らなきゃいけない
昔のことわざは正しい
おまえが誰かをひどい目にあわせたら
誰かがおまえをひどい目にあわせるんだ


You been laughing, pretty baby,
Someday you're gonna be crying.
You been laughing, pretty baby,
Someday you're gonna be crying.
Further on up the road
You'll find out I wasn't lying.

笑ってやがる
かわいい顔して
いつか泣きを見ることになるんだからな
笑ってやがる
かわいい顔して
いつか泣きを見ることになるんだからな
その道をずーっと行けば
おれの言ったことは
うそじゃなかったとわかるだろうよ


Further on up the road
Someone's gonna hurt you like you hurt me.
Further on up the road
Someone's gonna hurt you like you hurt me.
Further on up the road,
Baby, just you wait and see.

その道をずーっと行ったところで
おまえがおれを傷つけたように
誰かがおまえのことを傷つけるだろう
その道をずーっと行ったところで
おまえがおれを傷つけたように
誰かがおまえのことを傷つけるだろう
その道をずーっと行ったところで
ベイビー 待ってな
きっとわかる時が来るだろうぜ

nagi1995.hatenablog.com
「Further On Up The Road」の歌詞については上記リンクで翻訳済みなので、併せてご覧頂きたい。原曲はボビー「ブルー」ブランドという人が1957年に録音した古いブルースナンバーだとのこと。(このブログでは1950年代までに発表された曲のことを「古い曲」と形容し、60年代の曲になると「今の曲」と変わらないような書き方をしている傾向があるのだが、こういう表現は果たしていつまで歴史の検証に耐えうるものなのだろうか)

有名な「クラプトンのギターのストラップが外れるシーン」について。私はそれまで何度もラストワルツを見ていたにも関わらず、実は本に書いてあるのを読むまで自分の目で「それ」に気づいたことが一度もなかった。クラプトンからロビーへの「ソロの受け渡し」が、余りにも自然だったからである。よく見てみるとまるでストラップが落ちることが初めから分かっていたようなタイミングでギターが大写しになり、クラプトンのギターソロが「これぐらいで終わるのがちょうどいいかな」というぐらいの絶妙なタイミングで、フワッとギターが「落ちて」いる。空に星があるように。浜辺に砂があるように。人間が「神」を信じたくなってしまう瞬間というのは、こういう時なのかもしれない。

よく言われるように、クラプトンのギターソロとロビーのギターソロは「対照的」だと思う。極めて難しいフレーズを難しくも何ともなさそうな顔して弾いてみせるのがクラプトンの特徴だとすれば、難しくも何ともないフレーズを極めて難しそうな顔して弾いてみせるのがロビーの特徴だと思うわけだけど、私にはどうしたわけか昔から「難しくも何ともないフレーズを極めて難しそうな顔して弾いてみせるギタリスト」にばかり心を惹かれてしまう傾向がある。自分自身がフェイクで生きてる人間だからなのだろうか。しかし例えば森鷗外と石川啄木の本が並んでいたら私は絶対石川啄木の本を手に取ってしまうし、松任谷由実には目もくれずに中島みゆきばかり聞いていたし、聖子派ではなく明菜派だったし、宇多田ヒカルより倉木麻衣のことを応援していたし、幽遊白書でも蔵馬みたいなやつよりは桑原みたいなやつの方が断然、好きだったのである。

何の話なのだ。

もうちょっと「一般的な例」で言ってみるならば、例えば箱根駅伝でめちゃめちゃ脚の長い男前のランナーがストライド走法で悠然と走っているのと、足の短い団子鼻のランナーがピッチ走法で必死でそれに競り合っている場面を見たら、誰だって短足ランナーの方を応援したくなるのが人情というものなのではないだろうか。と言うか私の家では正月に親戚が集まるたびに、テレビの中の「一番足の短いランナー」にみんなで声援を送るのが年中行事みたいになっていた。おかげで「足が短くて団子鼻であること」は「正義」なのだといったような感覚が、いまだに私の中には息づいている。

やっぱり、何の話なのだ。あと、全然「一般的」な話にもなっていない。

しかしながらそんな風に考えてみると、クラプトンという人はすごく「損」をしているかわいそうな人なのではないかという風にも、思う。人間の子どもは簡単な計算を解いただけでホメられるのに、どんなに難しい計算を解いてもホメてもらえない、鉄腕アトムの悲しみみたいなものを感じてしまう。そんな気持ちが分かるようになったこと自体、私という人間がちょっとぐらいは「成長」したことの証でもあるのだろうか。今までまともに聞いたことが全然なかったのだけど、そろそろクラプトンのアルバムも「ちゃんと」聞いてみようかなという気持ちに、なりつつある。それにつけてもクラプトンの指は、長い。

クラプトンがラストワルツで「Further On Up The Road」の前に歌ったのは、「All Our Past Times」という曲だった。今回はその歌詞を翻訳しておくことにしたい。作詞がクラプトン、作曲がリック·ダンコというラストワルツにふさわしい曲で、リックのソロアルバムにも収録されている。

歌詞の大まかな風景は、「恋人に逃げられてしまった男が、過去を水に流して戻ってきてほしいと呼びかける歌」なのだと思う。そんな風に要約してしまったら身も蓋もない感じもするけれど、細かい歌詞ばかりが気になってそういう「大づかみなテーマ」が見えにくくなってしまう場合というのが、こうしたシンプルな歌では、起こりうる。と言うか私自身が、三回ぐらい読み返してみるまで「そういう歌」であることに気づけなかったのである。最初は「生き方」みたいなことをテーマにした歌なのかと思ったけれど、たぶん実際は、もっと具体的なことを歌っている歌なのだ。


All Our Past Times

All Our Past Times

英語原詞はこちら


I don't want to be the one to say I'm sorry.
I don't want to be the one to take the blame.
I don't want to be the one to throw it over.
I don't want to be the one to feel ashamed.

人にごめんなさいを
言わなくちゃならないような人間には
なりたくない。
罪を負わなくちゃならないような人間には
なりたくない。
物事を投げ捨ててしまう人間には
なりたくない。
恥ずかしい思いを
しなくちゃならないような人間には
なりたくない。


I don't want to be the one who thinks of nothing.
I don't want to be the one to tell you what you have seen.
After all this time, well I thought that you were mine.
I just want to be the one who would share this dream.

何も考えてないような人間には
なりたくない。
きみがもう知ってることを
知ったかぶって教えるような人間には
なりたくない。
つまるところ今回は
きみはぼくのものだって思ったわけだけど
ぼくはただ
この夢をわかちあえるような
そういう人間になりたい。


All our past times should be forgotten.
All our past times should be erased.
I don't care how much it costs;
'Cause I don't count the loss
As long as I can see your face again.

ぼくらのすべての過去は
忘れ去られてしまうべきだ。
ぼくらのすべての過去は
消されてしまうべきだ。
それがどれだけ大変なことであろうと
ぼくはかまわない。
きみの顔をもう一度見ることができるなら
損得勘定なんてぼくはしないから。


You don't have to tell me when you're leaving,
If it's half past one, if it's maybe four.
It makes no difference where you think you're going,
But please remember not to slam the door.

きみが出ていきたいと思った時には
ぼくに言う必要はない。
それが午前一時半のことであろうと
それとも四時のことであろうと。
きみがどこに行きたいと思っていようと
それは関係ない。
でもどうか忘れないでほしい。
ドアをピシャンと閉めるのだけは
やめてくれ。


All our past times should be forgotten.
All our past times should be erased.
I don't care how much it costs;
'Cause I don't count the loss
As long as I can see your face again.

ぼくらのすべての過去は
忘れ去られてしまうべきだ。
ぼくらのすべての過去は
消されてしまうべきだ。
それがどれだけ大変なことであろうと
ぼくはかまわない。
きみの顔をもう一度見ることができるなら
損得勘定なんてぼくはしないから。


Yes, I don't care how much it costs;
You know I don't count the loss
As long as I can see your face again.

そう。
それがどれだけ大変なことであろうと
ぼくはかまわない。
きみの顔をもう一度見ることができるなら
損得勘定なんてぼくはしないから。