華氏65度の冬

うたを翻訳するということ

Christmas Time (Is Here Again)もしくはすてきなホリデイ (1967.The Beatles)


Christmas Time (Is Here Again)

Christmas Time (Is Here Again)

英語原詞はこちら


Christmas time is here again
Christmas time is here again
Christmas time is here again
Christmas time is here again

クリスマスが今年もやってきた
クリスマスが今年もやってきた
クリスマスが今年もやってきた
クリスマスが今年もやってきた


Ain't been round since you know when
Christmas time is here again
O-U-T spells "out"

クリスマスが今年もやってきたって
去年に思って以来だね。
「O,U,T」は「出てけ」という意味。


Christmas time is here again
Christmas time is here again
Christmas time is here again
Christmas time is here again

クリスマスが今年もやってきた
クリスマスが今年もやってきた
クリスマスが今年もやってきた
クリスマスが今年もやってきた


Ain't been round since you know when
Christmas time is here again
O-U-T spells "out"

クリスマスが今年もやってきたって
去年に思って以来だね。
「O,U,T」は「出てけ」という意味。


Christmas time is here again
Christmas time is here again
Christmas time is here again
Christmas time is here again

クリスマスが今年もやってきた
クリスマスが今年もやってきた
クリスマスが今年もやってきた
クリスマスが今年もやってきた


Ain't been round since you know when
Christmas time...

[music continues and fades to background]
O-U-T spells "out"
クリスマスが今年もやってきたって
去年に思って以来だね...

[音楽、フェイドアウト]
「O,U,T」は「出てけ」という意味。

[spoken]

This is Paul Mccartney here,
I'd just like to wish you everything you wish yourself for Christmas.

ポール·マッカートニーです。
きみがクリスマスにかなってほしいと思っている、すべてのことがかないますように。


This is John Lennon saying on behalf of the Beatles, have a very
Happy Christmas and a good New Year.

ビートルズを代表してジョン·レノンです。思い切り素敵なクリスマスを。そして良いお年を。


George Harrison speaking.
I'd like to take this opportunity to wish you a very
Merry Christmas, listeners everywhere.

こちらジョージ·ハリソンです。
この場を借りまして、全てのリスナーの皆さんが素敵なクリスマスを過ごせるよう、お祈り申し上げます。


This is Ringo Starr and I'd just like to say
Merry Christmas and a really Happy New Year to all listeners

リンゴ·スターです。ぼくが言いたいのは、メリークリスマスと良いお年をってことだけ。すべてのリスナーの皆さんに。


And Christmas time is o'er,
and your bonnie clay is through.
Happy breastling to you people
all our best from me to you.
When the beastly brangom mutton
to the heather and little inn.
And be strattened oot in matether
to yer arms once back again.
Och away, ye bonnie.

そしてクリスマスの時は去りゆき
汝がボニー·クレイも過ぎゆきぬ。
幸せなるブレストリングを全ての民に。
我らが最善を汝に贈るなり。
獣的にふるさと気分の羊肉を
ヒースと小さき寝床に届けるとき。
マツセラが内にて汝が腕の先まで
いま一度シャッキリさせるべし。
おっとどっこい。いとしきそなたよ。

=翻訳をめぐって=

1967年に録音された、ビートルズの唯一のクリスマスソングなのだとのこと。公式ファンクラブの会員向けに毎年無料で配布されていたソノシートレコードの、この年の版にだけ収録されていた曲なのだそうで、1995年に至るまで一般向けに発売されることはなかったらしい。
abbeyroad0310.hatenadiary.jp
若い読者の皆さんは「ソノシート」というもの自体を知らないと思うのだけど、私が子どものころまでは雑誌の付録などによく挟まれていた「ペラペラのレコード」である。小学校に上がるか上がらないかの頃、ドラえもんとパーマンとハットリくんからの「とっておきのメッセージ」みたいなものが収録されたソノシートが子ども雑誌についてきて、大喜びでかけてもらおうとしたところ、母親は

ソノシートをかけるとレコード針が痛むっ

と主張してガンとしてプレーヤーを使わせてくれず、泣いたことを覚えている。おそらくは母親自身に「泣かされた経験」が山ほどあったからそうしたカタクナな対応になったと思われるのだけど、あの時代においてもそんな風に「使い捨てにされること」が普通なメディアだったものだから、ソノシートにしか録音されることがないままに歴史に埋もれていった貴重な楽曲や音声資料というものは、きっと気が遠くなるほどたくさん存在しているのだと思う。



1967年のクリスマスにソノシートで配布された音源というのはもっと長くて、メンバーの不規則発言みたいなものもいろいろ収録されていることがうかがえるのだが(←これはこれで、YouTubeで聞ける)、上に訳出したのは1995年に公式発売された際に「編集された」歌詞である。曲の後半には4人のメンバーそれぞれからのクリスマスメッセージが収録されているのだけれど、その内容が「真面目」であることから、この部分には1963〜1964年ぐらいに録音された音声が使われているのではないかと、推測されているらしい。本来このブログはそういうマニアックな領域にまで踏み込むタイプのブログではないはずなのだけど、何しろビートルズのことに関してばかりは「ちゃんと」書いておかないと後が怖いのである。

それで私自身は、今回初めてこの曲を聞いたのだけど、まあ、やっぱり、それほど大騒ぎするほどの曲でもないと思う。紛うことなき「ビートルズの曲」であり、かつ「クリスマスソング」でもあるわけだけど、それだけやんけ。という感じがする。それだけで別に構わないわけなのだけど。

O-U-T spells "out"

って何やねん、と思って調べてみたところ、子どもの遊びやゲームの世界において、負けて失格者になったメンバーに「お前はアウト」と囃し立てて追い払うためのフレーズであることが明らかになった。日本にも同じようなタイプの「囃し歌」は必ず存在しているはずだと思うのだが、適確な例えが思い浮かばない。一昔前の「笑っていいとも」で、退場者が出るたびにシャ乱Qの「ズルい女」が使われていたな、ということが何となく思い出される程度である。それにつけてもクリスマスの歌を歌っている最中に「お前はアウト」って、どういう意味なのだろう。海外サイトでは当時ベトナム戦争に大量の地上軍を派遣していたアメリカに対して「撤兵せよ」というメッセージを発していたのではないかという解釈が展開されていて、それはうがちすぎだろうとも一方では思うのだけど、「out」という一単語からそこまでの「連想」を働かさずにいられなかった当時のリスナーの人たちというのは、本当に「真面目な人たち」だったのだろうなと感じる。

And Christmas time is o'er,
and your bonnie clay is through.
Happy breastling to you people
all our best from me to you.
When the beastly brangom mutton
to the heather and little inn.
And be strattened oot in matether
to yer arms once back again.
Och away, ye bonnie.

...この最後の部分はジョンによる自作の「ナンセンス詩」の朗読であると他サイトでは解説されているのだけど、確かに全然意味が分からない。とはいえ、この時期のジョンが量産している同種の散文詩みたいなものを「ナンセンス詩」というカテゴリーに「分類」してしまうのは、果たして「いいこと」なのだろうかと、私は常々疑問に感じている。「ナンセンス詩」とは「意味のない詩」ということであり、これらの詩をそのようなものとして「理解」するということは、「意味なんて初めからないんだ」という一方的な「決めつけ」になってしまってはいないだろうか。そういう姿勢で他人の作品と向き合うことは、誠実さに欠けている態度なのではないかと、私には思えてならない。

とりあえず言えることとして、この詩を読んでいる時のジョンは「ドイツ語っぽい感じ」を醸し出そうとしているように思う。同時に「古典文学の重々しい感じ」を出そうとしている雰囲気でもある。そういう内容で「ふざけて」いるわけである。「意味」は必ずしも、「ない」わけではないと思う。

「辞書に載っていない単語」も結構出てくるが、例えば「brangom」は「bring home」の、「strattened oot」は「straighten out」の「ヒネった言い方」になっているのだと思われ、試訳ではそれにもとづいた訳し方をしている。

「bonnie clay」は直訳すると「いとしい泥の塊」みたいな「ヘンな言葉」になるが、響きから見て「俺たちに明日はない」という映画の主人公だった「ボニーとクライド」という「人名」にかかった言葉なのではないかという気がする。(この映画とこの曲は「同じ1967年」に公開されている)。なので試訳では音訳するにとどめた。

「breastling」は実在するスラングであるらしく、「breast (胸)」と「wrestling (レスリング)」を組み合わせた造語なのだという。小籔千豊という人がラジオで「セックス」のことを「プロレス」という言葉で表現していたのを聞いたことがあるけれど、大体「それと同じ使われ方」をしているらしい。

「matether」だけはいくら調べても意味が想像できなかったので、「マツセラ」と音訳するにとどめた。それにつけても、これだけの労力を注ぎ込むのに見合った内容に、果たして今回の記事は、なっているのだろうか。


竹内まりや すてきなホリデイ

メリークリスマス良いお年を。ではまたいずれ。


=楽曲データ=
Recorded: 1967.11.28.
Released: 1995.12.4.
Key: D