華氏65度の冬

うたを翻訳するということ

Delilah もしくは三毛猫デライラのフーガ (1991. Queen)


Delilah

Delilah

英語原詞はこちら


Delilah, Delilah, oh my, oh my, oh my - you're irresistible
You make me smile when I'm just about to cry
You bring me hope, you make me laugh - you like it
You get away with murder, so innocent
But when you throw a moody you're all claws and you bite -
That's alright!

デライラ、デライラ、
いやはやまったく
…きみにはかなわないよ。
泣きそうな時にもきみがいると
笑顔になってしまう。
きみはぼくに希望をくれるし
ぼくのことを笑わせてくれる。
…きみもそれが好きなんだろ。
きみは殺しをやっても
けろっとしていられる。
…どれだけ無邪気なんだ。
でも機嫌を悪くしたら最後
きみは全身を爪にして噛みついてきて
…仕方ないけどね。


Delilah, Delilah, oh my, oh my, oh my - you're unpredictable
You make me so very happy
When you cuddle up and go to sleep beside me
And then you make me slightly mad
When you pee all over my Chippendale Suite

デライラ、デライラ、
いやはやまったく
…何するかわからないやつだな。
きみはぼくを
めちゃめちゃ幸せにしてくれる。
ぼくのそばに寄り添って
眠ってくれる時には。
それでもって次の瞬間には
ぼくをちょっとだけmadにさせる。
チッペンデールの家具セットの
そこらじゅうにおしっこを引っかけて。


Delilah, Delilah,
Hey - Hey - Hey,
You take over my house and home
You even try to answer my telephone
Delilah, you're the apple of my eyes
Meeow, Meeow, Meeow,
Delilah - I love you

デライラ、デライラ、
おいおいおい。
ぼくの家と家庭とを
乗っ取ってしまったきみ。
ぼくの電話にまで出ようとする。
デライラ、
目の中に入れても痛くないよ。
にゃーにゃーにゃー
デライラ、愛してるよ。


Oh you make me so very happy - you give me kisses
And I go out of my mind ooh,
Meeow, Meeow, Meeow, Meeow,
You're irresistible - I love you Delilah
Delilah - I love you
Oooh - I love your kisses
Oooh - I love your kisses...

ああきみはぼくを
めちゃめちゃ幸せにしてくれる。
きみがぼくにキスしてくれると
ぼくはもう普通じゃなくなってしまう。
ああ、にゃーにゃーにゃーにゃー
きみにはかなわないよ。
愛してるよデライラ。
きみのキスが好きなんだ。
きみのキスが好きなんだ。



「mad」という言葉は「精神病者」に対する差別表現です。ここでは原文をそのまま転載しました。


=翻訳をめぐって=

  • フレディ·マーキュリーが在世中に発表されたクイーンの最後のアルバム「Innuendo」より。「デライラ」というのはフレディ氏が可愛がっていた三毛猫の名前で、この歌は彼女に捧げられている。ドラマーのロジャー·テイラーはこの曲が「気に入らなかった」とかで、レコーディングには参加しなかったとのこと。エイズで亡くなる直前までそんな風に他のメンバーと「ケンカ」ができていたというエピソードには、むしろ「幸せだったんだろうな」と感じさせられる。
  • 映画「ボヘミアン·ラプソディ」でも描かれていたが、フレディ氏の猫好きは有名で、自分の飼い猫の「全員」をプリントした、上の写真のようなシルク製の「猫ベスト」を作ったりもしていたらしい。左胸の青空をバックにした猫がデライラさんだとのことで、下が本人の近影。
  • 三毛猫は日本以外にもいなかったことはないらしいが、基本的に「日本原産」の猫だと言われており、欧米の人の多くは三毛猫のたたずまいに「日本のイメージ」を重ねているのだという。北欧では「Mike」で通じるらしいが、他の英語圏では「calico cat」と呼ばれている。「calico」とは「更紗 (染織工芸品)」のこと。ロビー·ロバートソンの自伝にも、そういえば「calico cat」が出てきた。
  • oh my, oh my…この「oh my」は、「あらあら」的なニュアンスの間投詞。「私の」の後に続くのが「神」であるにせよ「スパゲティ」であるにせよ、とりあえず誰かに手伝ってもらったり同意してもらったりしたいのだがその相手がとっさには思い浮かばない、という状況で発せられるのだと思う。知らんのやけど。
  • irresistible…「抵抗できない」「圧倒的な」もしくは「非常に魅力的な」
  • You get away with murder…「get away with〜」は「〜を持ち逃げする、~でその場を切り抜ける、~を見つからずにやってのける、〔悪いことをしたのに〕何の罰も受けないで済む、罰を逃れる、~にうまく成功する、いんちきが通用する、許される、逃げきる、まかり通る」等々の意味。
  • throw a moody…「throw a fit」で「カッとなる」という意味になる。「不機嫌をぶつける」みたいなニュアンスなのだと思う。
  • cuddle up…「すり寄る」
  • Chippendale Suite…「チッペンデール」というのは18世紀のイギリスの伝説的な家具職人の名前なのだそうで、その人がデザインしたスタイルの家具も一般的に「チッペンデール」と呼ばれているらしいからまさか本人が作った家具ではないと思うのだけど、何しろフレディ氏は大金持ちだったわけだから、そういうのを自部屋に置いていた可能性も、ないではないと思う。調べてみるとチッペンデールの家具は「基本的に革張り」なのだそうで、これは、相当に、匂いが残ったと思う。

  • you're the apple of my eyes…直訳は「君は私の目の中のリンゴだ」。この「目の中のリンゴ」というのは元々「瞳」を意味していたらしく、昔の解剖学では眼球の中にはああいう「固くて黒い丸いの」が入っていると思われていたらしい。つまるところ「あなたは私にとって自分の視力と同じくらい大切だ」という意味になるわけであり、それを「目の中に入れても痛くない」という「日本の慣用句」で翻訳することには疑問もあるのだが、まあ、ここでは、問題ないと思う。
  • Meeow, Meeow, Meeow…この「猫の声」のところでは、ブライアン·メイ氏が同時に自分のギターをトーキング·モジュレーターにつないで音を出しているらしい。…手の込んだことを。


ゴロちゃん

そんでもってこれは私が世界で一番好きな猫歌である。それと、じゃりン子チエのエンディングで小鉄がケン玉してるやつの動画も探してみたのだが、何ということだろう。見つからなかった。ではまたいずれ。


=楽曲データ=
Released: 1991.2.4.
Key: G

三毛猫ホームズのフーガ (角川文庫)

三毛猫ホームズのフーガ (角川文庫)