華氏65度の冬

うたを翻訳するということ

Simon Zealotes もしくはジーザス·クライスト·スーパースター#8 (1970. Tim Rice)

Jesus Christ Superstar


Simon Zealotes

  • パレスチナの砂漠の中の廃虚。そこに無数の群衆が躍り出て、いつの間にかイエスを囲んで踊っている。先頭でイエスを讃える歌を歌っているのは、12使徒の1人の熱心党のシモン。

Simon Zealotes

熱心党のシモン

英語原詞はこちら


[Crowd and Simon:]
Christ you know I love you.
Did you see I waved?
I believe in you and God
So tell me that I'm saved.
Christ you know I love you.
Did you see I waved?
I believe in you and God
So tell me that I'm saved.

[群衆とシモン]
救世主よ
私はあなたを愛しています
私が手を振るのを
ご覧になって頂けましたでしょうか?
あなたと神とを私は信じます
だから私は救われたと言ってください


[Crowd:]
Jesus I am with you.
Touch me, touch me, Jesus.
Jesus I am on your side.
Kiss me, kiss me, Jesus.

[群衆]
ジーザス
私はあなたと共にあります
触れてください
触れてくださいジーザス
ジーザス
私はあなたのおそばにおります
キスしてください
キスしてくださいジーザス


[Simon:]
Christ, what more do you need to convince you
That you've made it, and you're easily as strong
As the filth from Rome who rape our country,
And who've terrorized our people for so long.

[シモン]
救世主よ
どう言ったら分かって頂けるでしょうか?
あなたは偉大なことをやりとげたのです
われわれの故郷を踏みにじり
われわれの民を長きにわたり脅かしている
ローマから来たあの五代目にも
優に立ち向かえるだけの力を
あなたは備えておられる!


[Crowd:]
Jesus I am with you.
Touch me, touch me, Jesus.
Jesus I am on your side.
Kiss me, kiss me, Jesus.

[群衆]
ジーザス
私はあなたと共にあります
触れてください
触れてくださいジーザス
ジーザス
私はあなたのおそばにおります
キスしてください
キスしてくださいジーザス


[Crowd and Simon:]
Christ you know I love you.
Did you see I waved?
I believe in you and God,
So tell me that I'm saved.

[群衆とシモン]
救世主よ
私はあなたを愛しています
私が手を振るのを
ご覧になって頂けましたでしょうか?
あなたと神とを私は信じます
だから私は救われたと言ってください
(×4)


Christ you know I love you.
Did you see I waved?
I believe in you and God,
So tell me that I'm saved.

Christ you know I love you.
Did you see I waved?
I believe in you and God,
So tell me that I'm saved.

Christ you know I love you.
Did you see I waved?
I believe in you and God,
So tell me that I'm saved.

[Crowd:]
Jesus I am with you.
Touch me, touch me, Jesus.
Jesus I am on your side.
Kiss me, kiss me, Jesus.

[群衆]
ジーザス
私はあなたと共にあります
触れてください
触れてくださいジーザス
ジーザス
私はあなたのおそばにおります
キスしてください
キスしてくださいジーザス


[Simon:]
There must be over fifty thousand,

[シモン]
ここに集まった人間は
5千人をくだりませんよ


[Crowd:]
Fifty thousand!

[群衆]
5千人!


[Simon:]
Screaming love and more for you.

[シモン]
あなたのために愛と
それ以上のものを捧げると
叫んでいます。


[Crowd:]
Love! Love! Love!

[群衆]
愛してます!愛してます!愛してます!


[Simon:]
And everyone of fifty thousand
Would do whatever you asked them to.

[シモン]
そして5千人がひとり残らず
あなたの言葉に従って
何でもやります!


[Crowd:]
Go, Simon!

[群衆]
行け行けシモン!


[Simon:]
Keep them yelling their devotion,
But add a touch of hate at Rome.
You will rise to a greater power.
We will win ourselves a home.
You'll get the power and the glory

[シモン]
この5千人に心ゆくまでその信仰を
叫ばせてやってくださいませ。
けれどもその中にほんの少し
ローマに対する憎しみというものを
付け加えて頂けましたなら
あなたはそこからさらに強大な力を
引き出せることになるでしょう。
われわれは自らの故郷をわがものとし
あなたは力と栄光を手にするのです。


[Crowd:]
You'll get the glory

[群衆]
あなたは栄光を手にするのです。


[Simon:]
For ever and ever and ever

[シモン]
永久に永遠にトワにトコシエに!


[Crowd:]
Ever and ever

[群衆]
永久に永遠に!


[Simon:]
You'll get the power and the glory

[Crowd:]
You'll get the power

[Simon:]
For ever and ever and ever

[Crowd:]
Ever and ever

[Simon:]
You'll get the power and the glory

[Crowd:]
You'll get the power

[Simon:]
For ever and ever and ever

[Crowd:]
You'll get the glory

[Simon:]
You'll get the power, you'll get the glory
You'll get the power, you'll get the glory

[Crowd:]
You'll get the power

[Simon:]
You'll get the power, you'll get the glory
Yeah!

[Crowd:]
You'll get the glory

[Simon:]
You...

[Crowd:]
You'll get the power

[Simon:]
You'll get the power, you'll get the glory
You'll get the power, you'll get the glory

[Crowd:]
You'll get the glory

[Simon:]
You'll get the power, you'll get the glory
Yeah!

[Crowd:]
You'll get the power

[Simon:]
You...

[Crowd:]
You'll get the power,
Forever Amen!

[Crowd and Simon:]
Amen!

[群衆とシモン]
アァーーーーアーァアアアアア
メン!


Jesus Christ Superstar 1973. 今回は28:30〜32:36

=翻訳をめぐって=

あまりに繰り返しが多いので終わりの方の翻訳は省略させてもらった。「熱心党のシモン (Simon Zealotes)」とは12使徒の中でもほとんど聖書に名前の出てこない人たちの1人なのだが、ローマ帝国の支配に対するユダヤ人の地下抵抗組織「熱心党 (The Zealots)」に所属していたことからこう呼ばれていたと言われている。

シモン(英語読みはサイモン)と群衆が熱唱しているのは典型的なスタイルの「ゴスペルソング」で、ゴスペルというのは感動的なものなのだが、それが「生きた1人の人間」に捧げられているさまというのはやはりものすごく不気味な感じがするし、見ていて落ち着かない気持ちがする。それを最初のうちは天皇的な微笑をたたえて見おろしているイエスの姿がまた不気味で、正視に耐えない。後ろの方で苦々しげな表情を浮かべているユダの姿だけが何となく「救い」に感じられるシーンだと思う。違う感じ方をする人もいるのかもしれないが。

ちなみに「ゴスペル」という言葉の元々の意味は新約聖書の「福音書」のことなので、 文脈的にはこのロックオペラの中に「ゴスペル」が登場することは「正しい」ことだし「必然的」なことだとも言えるだろう。何でも最初は「good spell (よき言葉)」と呼ばれていたのがいつの間にか「god spell (神の言葉)」と混同されて、「不必要に神秘的なイメージ」がくっつくことになってしまったらしい。

the filth from Rome (ローマから来たあの5番目)」という歌詞だけが何のことかよく分からなかったのだが、調べてみると「ローマから派遣されてきた五代目の司令官」という意味で、後に出てくる「ピラト」のことを指しているフレーズなのだという。たとえばの話、第二次大戦後の米軍による日本の占領が今でも継続していて、マッカーサーから五代目にあたる司令官が現在の我々の上に君臨したりとかしていたら、これはものすごく「イヤ」な話だ。軽々しく「たとえば」の話にしてしまったが、沖縄ではその占領が「本土」より20年も長く続いていたのだし、そして現在でも実質的に占領下と変わらないような状況が継続している。だからシモンたちが「ローマへの反逆」を求めることはそれだけのリアリティと切実さにもとづいていることなのであって、かれらのことを「無知な群衆」的な目で見下したり描き出したりすることは間違っていると私は思う。

しかしそんなかれらの思いとイエスの思いはどんな風に「ズレて」いたのか。まだ私は先を知らないのだけど、どんな風に描かれているのか非常に興味深い気がしている。



というわけでまたいずれ。