華氏65度の冬

うたを翻訳するということ

Damned For All Time/Blood Money もしくはジーザス·クライスト·スーパースター#13 (1970. Tim Rice)

ⅩⅡJesus Christ SuperstarⅩⅣ


Damned For All Time/Blood Money

  • 砂漠の真ん中でうずくまるユダ。そこへ、ローマの弾圧を象徴する幻覚だろうか。地平線から巨大な戦車が何台も現れて、ユダに迫ってくる。必死に逃げるユダは、とうとうカヤファの城塞に駆け込む。

Damned For All Time/Blood Money

永遠の呪い/血まみれのカネ

英語原詞はこちら


[Judas:]
Now if I help you, it matters that you see
These sordid kinda things are coming hard to me.
It's taken me some time to work out what to do.
I weighed the whole thing out before I came to you.

[ユダ]
なあ、力になろうか。
あんたたちが抱えてるその問題に
関係のあることだ。
どうしようもなく下劣なことだよ。
その考えをおれは
押さえられなくなってる。
どうすべきか結論を出すのには
かなりな時間が必要だった。
ここに来る前におれはあらゆることを
秤にかけてみたんだ。


I have no thought at all about my own reward.
I really didn't come here of my own accord.
Just don't say I'm ... damned for all time.

報酬を受け取ろうなんて考えちゃいない。
おれは本当に
来たくてここに来たわけじゃないんだ。
どうか言わないでくれ。
おれは一生呪われることになるなんて。


I came because I had to; I'm the one who saw.
Jesus can't control it like he did before.
And furthermore I know that Jesus thinks so too.
Jesus wouldn't mind that I was here with you.

おれがここに来たのは
来るしかなかったからだ。
おれは見てしまった男なんだ。
ジーザスはもう前みたいには
コントロールが利かなくなってる。
しかもおれにはわかる。
あいつも自分でそれに気がついてるんだ。
おれがここであんたらといても
あいつは何も気にしないことだろう。


I have no thought at all about my own reward.
I really didn't come here of my own accord.
Just don't say I'm ... damned for all time.

報酬を受け取ろうなんて考えちゃいない。
おれは本当に
来たくてここに来たわけじゃないんだ。
どうか言わないでくれ。
おれは一生呪われることになるなんて。


Annas, you're a friend, a worldly man and wise.
Caiaphas, my friend, I know you sympathise.
Why are we the prophets? Why are we the ones
Who see the sad solution - know what must be done?

アンナス、あんたは友だちだ。
世間のことをよく知っていて
それにかしこい。
カヤファ、わが友よ。
あんただったら
わかってくれるに違いない。
何でおれたちは
生まれつきの予言者なんだろうな。
どういう悲しい解決策が
とられなければならないかということが
どうしておれたちには
わかっちまうんだろうな。


I have no thought at all about my own reward.
I really didn't come here of my own accord.
Just don't say I'm damned for all time.

報酬を受け取ろうなんて考えちゃいない。
おれは本当に
来たくてここに来たわけじゃないんだ。
どうか言わないでくれ。
おれは一生呪われることになるなんて。


[Annas:]
Cut the protesting, forget the excuses.
We want information. Get up off the floor.

[アンナス]
ごちゃごちゃ言わなくていい。
言い訳は忘れろ。
我々がほしいのは情報だ。
こっちに上がってきたまえ。


[Caiaphas:]
We have the papers, we need to arrest him.
You know his movements. We know the law.

[カヤファ]
我々には聖書の教えがある。
あの男を逮捕しなければならない。
おまえはあの男の運動のことを
知っているわけで
我々は律法を心得ている。


[Annas:]
Your help in this matter won't go unrewarded.

この問題についてのおまえの助力が
無報酬というわけには行かないだろう。


[Caiaphas:]
We'll pay you in silver, cash on the nail.
We just need to know where the soldiers can find him.

[カヤファ]
即金で銀貨で支払わせてもらうよ。
どこに兵隊を送れば
あの男を見つけられるか
それだけ教えてくれたらいい。


[Annas:]
With no crowd around him.

[アンナス]
群衆があの男のことを
囲んでいないような条件でな。


[Caiaphas:]
Then we can't fail.

[カヤファ]
そうすればしくじることはない。


[Judas:]
I don't want your blood money!

[ユダ]
おまえたちの血まみれのカネなんて
いらない!


[Caiaphas:]
Oh, that doesn't matter, our expenses are good.

[カヤファ]
おやおや気にすることはない。
我々は出し惜しみしないよ。


[Judas:]
I don't need your blood money!

[ユダ]
おまえたちの血まみれのカネなんて
いらない!


[Annas:]
But you might as well take it. We think that you should.

[アンナス]
だが、受け取っておいた方がいいぞ。
我々はそう思う。


[Caiaphas:]
Think of the things you could do with that money,
Choose any charity - give to the poor.
We've noted your motives.
We've noted your feelings.
This isn't blood money - it's a ...

[カヤファ]
カネの使い道を考えるのは楽しいぞ。
そのカネを慈善に使うこともできる。
貧乏人にくれてやることだ。
我々にはおまえがなぜここに来たか
よくわかっているし
おまえの気持ちもよくわかっている。
これは血まみれのカネなんかじゃない。
言わば…


[Annas:]
A fee.

[アンナス]
手数料ですな。


[Caiaphas:]
A fee nothing more.

[カヤファ]
手数料だ。それだけのことだよ。


[Judas:]
On Thursday night you'll find him where you want him.
Far from the crowds, in the Garden of Gethsemane.

[ユダ]
土曜日の夜、あんたらが望むかたちで
あの人のことをみつけることができる。
群衆から遠く離れて
ゲッセマネの園で…


[Choir:]
Well done Judas. Good old Judas.

[コーラス]
よくやったぞユダ。
われらがユダよ。

  • 砂漠の真ん中で我に返ったユダの頭上を、二機の戦闘機が飛び去ってゆく。


Jesus Christ Superstar 1973. 今回は46:15〜51:30

翻訳をめぐって

  • カヤファの台詞の「We have the papers」というのが、わかりにくかった。最初は「イエスの逮捕状はとってある」みたいな意味かと思ったが、「paper」が複数形になっている理由がわからない。調べてみると「the papers」で「聖書」という意味になる場合がありうるのだそうで、おそらくそれだろうと思い、半ば想像で翻訳した。

なぜ、屈辱的な形で投げ落とされるカネをユダは受け取ったのか。せめてそれぐらい拒否することはできなかったのか、と10代で初めて見た時には感じたことをおぼろげに覚えているが、今になって見直してみると地面に投げ落とされるあのカネは暴力の象徴、と言うより暴力そのものなのであって、それを受けずに帰ることはユダには「許されない」のである。そしてそもそも彼がそこに駆け込んだ理由がローマの弾圧という「暴力」の恐怖に「屈服」したことによっていた以上、もはやどこまでも「屈服」し続けること以外に彼の「生きる」道はありえないわけなのだ。これはユダが「蹂躙されるシーン」だったのだなということが、この年になって初めて分かった気がした。

最後の「Good old Judas」は「ユダのおっさんよ」みたいな形でも訳せると思うが、とりあえず「われらがユダよ」にしておいた。

それにしてもアンナスの声は高い



木。ではまたいずれ。