華氏65度の冬

うたを翻訳するということ

The Boys of Summer もしくは僕ら今はしゃぎすぎてる夏の子どもさ (1984. Don Henley)

The Boys of Summer

Nobody on the road
Nobody on the beach
I feel it in the air
The summer's out of reach
Empty lake, empty streets
The sun goes down alone
I'm driving by your house
Though I know you're not home

だれもいなくなった道。
だれもいなくなった浜辺。
あの夏はもう
手の届かないところに行ってしまった。
空気の中にそれを感じる。
だれもいない湖。
だれもいない通り。
太陽がひとりぼっちで沈んでゆく。
きみの家のそばにクルマを走らせる。
きみがいないのはわかってるのに。


But I can see you-
Your brown skin shinin' in the sun
You got your hair combed back and your sunglasses on, baby
And I can tell you my love for you will still be strong
After the boys of summer have gone

でもぼくにはきみが見える。
小麦色の肌が太陽の中で輝いていた。
髪をうしろにとかして。
サングラスをかけて。
ベイビー。
誓ってもいい。
ぼくの愛はぐらついたりしない。
夏の子どもたちが行ってしまっても。


I never will forget those nights
I wonder if it was a dream
Remember how you made me crazy?
Remember how I made you scream
Now I don't understand what happened to our love
But babe, I'm gonna get you back
I'm gonna show you what I'm made of

ぼくは忘れない。
あのいくつもの夜。
夢だったんじゃないかと思う。
おぼえているかい。
きみがどんな風にぼくをcrazyにしたか。
ぼくは自分がどんな風に
きみに叫び声をあげさせたかを
ちゃんとおぼえている。
ぼくらの愛に何が起こってしまったのか
ぼくにはわからない。
でもいいかい。
ぼくはきっときみを取り戻す。
ぼくという人間を
かたちづくっているものを
きみに見てほしいから。


I can see you-
Your brown skin shinin' in the sun
I see you walking real slow and you're smilin' at everyone
I can tell you my love for you will still be strong
After the boys of summer have gone

ぼくにはきみが見える。
小麦色の肌が太陽の中で輝いていた。
ゆっくりとゆっくりと
歩いているきみ。
みんなにほほえみを投げかけながら。
誓ってもいい。
ぼくの愛はぐらついたりしない。
夏の子どもたちが行ってしまっても。


Out on the road today, I saw a DEADHEAD sticker on a Cadillac
A little voice inside my head said, "Don't look back. You can never look back"
I thought I knew what love was
What did I know?
Those days are gone forever
I should just let them go but-

きょう道で
グレイトフル・デッドのステッカーを貼った
キャデラックを見かけた。
頭の中で小さな声が
ぼくにささやいた。
「振り返るな」
「絶対に振り返るな」
愛が何かってことぐらい
わかっているつもりでいた。
でも 何をわかっていたんだろう。
あの日々は永遠に過ぎ去ってしまった。
それを受け入れるべきなんだろう。
でも


I can see you-
Your brown skin shinin' in the sun
You got that top pulled down and that radio on, baby
And I can tell you my love for you will still be strong
After the boys of summer have gone

ぼくにはきみが見える。
小麦色の肌が太陽の中で輝いていた。
オープンカーのほろを引き下げて
ラジオをつけるきみ。
ベイビー。
誓ってもいい。
ぼくの愛はぐらついたりしない。
夏の子どもたちが行ってしまっても。


I can see you-
Your brown skin shinin' in the sun
You got that hair slicked back and those Wayfarers on, baby
I can tell you my love for you will still be strong
After the boys of summer have gone

でもぼくにはきみが見える。
小麦色の肌が太陽の中で輝いていた。
髪をうしろにとかして。
ウェイハーラーのサングラスをかけて。
ベイビー。
誓ってもいい。
ぼくの愛はぐらついたりしない。
夏の子どもたちが行ってしまっても


The Boys Of Summer - Don Henley

=翻訳をめぐって=

  • the boys of summer…この boys は「少年」とか「青年」というイメージで訳されることが多いようですが、私は何と言うか人間がいくつになっても持ち続けている子どもの部分と言うか、でもいったん失われたらやはり二度と返ってこない子どもの時代というか、そういうイメージをずっと感じていたので、「子ども」で訳しました。
  • I'm gonna show you what I'm made of…直訳は「僕が何でできているか(その材料)を僕は君に見せよう」。意訳になっています。
  • Deadhead とは、グレイトフル・デッドというバンドのファンの間で使われていたロゴマークだそうです。参考にさせて頂いたリンクの中に、この歌詞をめぐるドン・ヘンリー自身のインタビュー記事が紹介されていたので、孫引きさせてもらいます。


In an interview with NME in 1985, Henley explained the 'Deadhead sticker on a Cadillac' lyrics as an example of his generation selling out:
1985年のNIMEとのインタビューの中で、(ドン)ヘンリーは「キャデラックに貼られたデッドヘッド・ステッカー」の歌詞について、彼らの世代の終焉を表す例として説明した:

"I was driving down the San Diego freeway and got passed by a $21,000 Cadillac Seville,
『俺はサンディエゴのフリーウェイをドライブしていて、21000ドル(約2百万円)で売られているキャデラック・セビリアの横を通り過ぎたんだけど、

the status symbol of the Right-wing upper-middle-class American bourgeoisie
そいつは(かつて)アメリカのブルジョアジー(中産階級)の中でも上流で反体制派の奴らのステータス・シンボルだった車でね、

– all the guys with the blue blazers with the crests and the grey pants –
― 紋章付きの青いブレザーとグレーのパンツ(ズボン)を着込んでいた連中の ―

and there was this Grateful Dead 'Deadhead' bumper sticker on it!"
そしてその車には、グレイトフル・デッドの「デッドヘッド」のバンパー・ステッカーが貼られていたんだ!』

  • 「自由と個性のアイコン」とも言われる「レイバン社のウェイハーラーのサングラス」ってどんなんかと思って調べてみたら、こんなんでした。(「ぎんなんどんなんこんなん」の出典は桂南光ちりとてちん」)。


  • crazy という言葉は、「精神病者」に対する明らかな差別語だと思います。この歌のように歌い手が自分自身に対して使う場合でも、社会が規定したそういう「人間のカテゴリー」の存在を受け入れそれに自分を当てはめるということは、結果的にその言葉によって迫害されている人たちへの差別そのものを認めることにつながると思います。ですから私自身がこの歌を歌うことは、そのことに気づかされて以来、今ではもうありません。


奈々瀬ひとみ「みずうみ」


夏の色調 - 麗蘭


鈴木祥子 - 夏はどこへ行った


真心ブラザーズ 『サマーヌード』

今週のお題「私の『夏うた』」…夏は始まったばかりだというのに、私が思い出すのは「夏が終わってしまう歌」ばかりです。他にも何曲かあるそういう歌は、9月が見えてきた頃に改めて取りあげることにしたいと思います。ではまたいずれ。

The Boys of Summer

The Boys of Summer

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